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元彼の親友と、まさかのハッピーエンド
私は彼氏に、「胸が大きすぎる」って嫌がられていた。 彼はそれを理由に、1000万円を渡してきて、私に「胸を小さくする手術を受けろ」と言った...
Chương (1)
第1章
私は彼氏に、「胸が大きすぎる」って嫌がられていた。
彼はそれを理由に、1000万円を渡してきて、私に「胸を小さくする手術を受けろ」と言った。
そんな時、いきなり謎の誰かから1億円が振り込まれてきた。
しかも、【拓也の言うことは聞くな】というメッセージ付きで。
私はスマホを握りしめて、こっそり彼氏の親友にメッセージを送った。【あなたの言うことを聞かせたいなら、お金だけじゃ足りないのよ】
すると、相手からはすぐに返信がきた。【なんの話だ?意味がわからない】
私は返した。【そう?じゃあ、今から病院に行ってくるね】
そしたら、相手はやっぱり焦ったようだ。【ほかに何が欲しいんだ?】
【あなたって、18センチあるの?】
【俺は24センチだ】
【口で言うだけじゃ信じられない。見せてよ】
このあと私は、彼のすごさを、身をもって思い知らされることになった。
第1話
私の名前は中山美咲(なかやま みさき)。京市でも有名な御曹司、白石拓也(しらいし たくや)の彼女。
まあ、もうすぐ元カノになるけどね。
それもあって、拓也には、ちょっとお仕置きしてやろうと思ったのだ。
なんでちゃんと別れてから、次の人を探さないのかって?
もとと言えばこれはぜんぶ、拓也がまいた種なんだ。
拓也はどうやら私のスタイルが気に入らないようで、胸を小さくしろってしつこく言ってくるのだ。
もっとムカつくのは、私に隠れて裏アカ作って、ほかの女の子にちょっかい出してるみたい。
だからよく考えた結果、別れる前に浮気してやることに決めた。
夜、寝る前に、私はフォロワーがもうすぐ一万人になるアカウントに、初めて顔出し写真をアップした。
キャプションは【彼氏募集!イケメンで、めんどくさくない人】と書き込んだ。
条件は【身長180以上、サイズ18センチ、腹筋が割れていること】
写真を投稿したら、たった30分でフォロワーがうなぎ登り。あっという間に10万人を超えてしまいそうだった。
おだてるコメントと自撮り写真だらけのDMの中で、あるメッセージが私の目に留まった。
【彼氏、いるんじゃない?】
なんでこの人は、私がフリーじゃないって知ってるんだろう?
そう思いながら、その人のプロフィールを開いてみた。
そこで確認してみると、そのIPアドレスは私と同じ市内になってるようだが、アイコンは真っ黒で、投稿の履歴もゼロだった。
ただ自己紹介に、【完璧より、少し足りないくらいがいい】の一言だけが書かれていた。
それを見た途端、なぜか妙な予感が頭をよぎった。
この人、絶対に私のこと知ってる。
まさか、拓也だったりして。
だとしたら、ぜんぜん面白くなくなるんだけど。
そう思いながら返信しようかどうしようか迷ってたら、向こうのほうがしびれを切らしたみたい。
【そんなことして、彼氏の気持ち考えたことある?】
【乗り換えるにしたって、ネットで探すなんてやり方はよくないじゃない】
【ネットには悪いやつがいっぱいいるんだから】
【だまされて海外に売り飛ばされたりしたらどうするんだ?】
……
それを見て、私はこの人が拓也であるはずがないことを確信した。
でもこの口ぶりだと、たぶん拓也と仲がいいんだろうね。
一体、誰なんだろう。
DMの画面を見てたら、ふと、相手のIDに見覚えがある気がした。
さかのぼってみると、この人、ずいぶん前から私の投稿に「いいね」してくれてることに気が付いた。
時々、コメントまでくれることもあった。
拓也でさえ知らないアカウントなのに、こんなに長く見ててくれたなんて。
もしかしてこの人、私のこと好きなのかも。
半信半疑のまま、試しにこう返信してみた。【じゃあ、私と付き合ってみる?】
メッセージを送った瞬間、すぐに既読がついた。
こうなると、私の好奇心は、すっかりかき立てられた。
拓也の友達はだいたい会ったことあるけど……こっそり私を想ってくれてる人って、一体誰なんだろう?
数秒の沈黙のあと、また立て続けにメッセージが届いた。
【どういう意味?】
【俺に、君の彼氏になれってこと?】
【冗談はやめてくれ。正直に言うけど、俺と拓也は親友なんだ】
【彼を裏切るようなこと、絶対にできないから】
【そう。じゃあね】私はそう返した。
そのメッセージを送ると、私はDMを閉じてスマホをおいて、そのままベッドにもぐりこんだ。
次の日の朝、目覚めて私はまずSNSを開いてDMを確認してみた。
やっぱり、思った通りだ。
彼から大量のメッセージが来ていたのだった。
【じゃあねって、どういうことだよ!?】
【ちゃんと説明しろ!】
【彼氏を募集するって言ったよね、ヤケになってるだけ?それとも本気なのか?よく考えてみたけど、俺も付き合うのはアリっちゃアリだと思ってる】
【でも、浮気相手になるつもりはないから、ちゃんと俺を彼氏にしてくれるなら考えてもいいよ】
【ってなんで黙ってるんだ】
【寝たのか?】
【それとも、ほかの男としゃべってるのか?!】
そして、見ていくと相手からのメッセージはさらに続いていた。
【俺が付き合うって言ってるだろ。もう、ほかのやつを探すな】
さらにその後もまだまだ、メッセージが立て続けに送られていた。
【もう浮気相手でもいい!どうせ拓也だってロクなやつじゃないし。この前だって、あいつは君に隠れてナンパしてたんだ!】
第2話
こうやって改めて数えてみると未読のメッセージがなんと10件以上もあった。しかもまだ続いていた。
【まだおきてる?】
【もう遅いから、はやく休んでね。おやすみ】
数分後、ハートのスタンプに続いて、どきりとするような腹筋の写真が送られてきた。
写真の中の男は、部屋着のズボンをはいて、ベッドに無造作に寝そべっている。その長い脚は、なんだか持て余しているみたいだ。
自然の光のなかで、肌は健康的な小麦色に見える。
腕には血管がくっきりと浮き出ていて、その長い指は、いやでも目がいってしまう場所に置かれていた。
これって、完全に誘ってるじゃん。
そう思いながらも、私は黙々と写真を保存した。
そして顔を赤らめながら思った。意外といい体、してるじゃない。
出かける用意をしていたら、下の階で呼び鈴が鳴った。
そして、ドアを開けた使用人が感嘆の声をあげるのが聞こえてきた。
「美咲様、はやく下りてきてください。すっごく大きなバラの花束が届いてます」
バラの花束ねぇ……
ベタすぎじゃない?
そう思いながらも、私はゆっくりと階段を下りていった。
そして面倒くさそうに花束に近づいて、上に乗っていたカードをちらっと見た。
すると、バラの上にきれいな宝石箱が置かれていることに気がついた。
開けてみると、なんと私のブレスレットだった。
これは、父が生きていたときにくれた、最後のプレゼントなのだ。
父が亡くなったあと、会社の資金が足りなくなって、私は持っていた值打ちのありそうなものを全部オークションに出したんだ。
このブレスレットも、そのなかのひとつだった。
たしか、あのときは海外の方が6000万円近い値段で落札したはず。
拓也の友達が、まさかあの人を捜し出して、私のために買い戻してくれたのかな。
私は鼻をすすって、彼とのチャット画面を開いた。
【ブレスレット、受け取ったよ。買い戻してくれて本当にありがとう。よかったら、お金を振り込みたいんだけど、口座番号を教えてくれるかな?】
一括でこんな大金は払えないけど、十二回の分割ならなんとかなるはずだ。
【お金なんていらない。俺がほしいのは、君だけだよ】
……
断られるだろうなとは思ってたけど、まさかこんなにストレートに言われるなんて。
こうなるとなんて返信しようかと、私はチャット画面の上で指を止めて考えこんだ。
そのとき、電話がかかってきた。
電話は拓也からのもので、今日、友達の誕生日パーティーに付き合うのを忘れないで欲しい、という念押しだった。
「あんまり露出が多い服はだめだからな。胸はさらしでしっかりつぶしてこいよ。そのほうが小さく見えて、いい感じだからさ」
私はとりあえずはいはいっと、適当にうなずいておいた。
でも、電話を切るとすぐにクローゼットへ向かい、胸元が大きく開いたイブニングドレスを選び出した。
そして会場に着くと、拓也は何人かの友人と楽しそうに談笑していた。
でも私のドレス姿を見るなり、彼の顔つきは一瞬で変わった。
それから拓也はあわてて私の腕を引いて、部屋の隅に連れていった。
「なんだよこの格好!なんでこんな服で来たんだ!」
私は拓也を無視して、彼の肩越しに、少し離れた場所へ目をやった。
好奇心や下心が入り混じったたくさんの視線のなか、私はふと、吸い込まれそうなほど深くて暗い瞳と、目が合ってしまった。
井上蓮(いのうえ れん)が、たったひとりで隅の席に座っていた。騒がしい音楽と人ごみの向こうから、まっすぐに私を見つめていたのだ。
なぜだろう。私はその瞬間金縛りにあったみたいに、身動きひとつできなくなった。
先に視線をそらしたのは、蓮のほうだった。
彼はグラスのお酒を一気に飲み干すと、一瞬、笑ったように見えた。でもすぐにまた、いつもの淡々とした表情に戻っていた。
どき、どき、どき。
そんな彼に私の胸はとつぜん高鳴り始めた。
それと同時に、あるとんでもない考えが、ふと頭をよぎった。
あの人って、もしかして彼なんじゃ……
でも、その可能性をすぐに否定した。
私が知るかぎり、蓮はずっとクールで冷めた人だったから。
何に対しても、まるで興味がなさそうな感じで。
私が挨拶しても、いつも軽くうなずくだけ。
本当に、びっくりするくらい口数が少ない人だ。
私のことを好きだなんて、ありえない。むしろ、嫌われているとさえ思っていたくらいだ。
「美咲、だまりこくってどうしたんだよ?なんとか言えって!」拓也が不満そうに私の目の前で手を振った。
私は眉をひそめて、拓也の手を振りほどいた。「このドレス、すごく私に似合ってると思わない?」
そう言いながら、私はわざとぐっと胸を張って見せた。
とたん、拓也は気分が悪くなったような顔になった。
私がさらに一歩近づくと、彼はさっと口もとを押さえて、トイレに駆け込んでしまった。
拓也は、胸の大きな女性を見るとめまいを起こす、という変な体質なのだ。
これほど変わった体質はないだろう。
でも、もっと変わってるのは、胸の大きい子が受け付けないくせに、以前はあんなにしつこく私を口説いてきたことだ。
どうして私が、拓也のその体質を知っているかというと……
それは、少し前に彼とホテルに行ったときの出来事がきっかけだった。
あのころの私は、拓也のことを、本気で受け入れようとしていた。
そしたら彼は、なんと肝心なその場面で、いきなり気を失って倒れてしまったのだ。
第3話
そのことで頭にきた私は拓也に冷たい水をぶっかけて目を覚まさせてやった。
すると私の鋭い視線に負けて、拓也はついに白状した。
彼、実はスーパーモデルみたいな体型が好みなんだって。
ウエストが細くて、脚が長くて、胸は小さいのがいいんだと。
そのただ一つだけ最後の条件を除けば、私は拓也の理想のタイプそのものだった。
拓也が本音を打ち明けてくれて、私はやっと理解することができた。
どうりで、彼はいつも私に胸を小さく見せるように言ってきたわけだ。
口では「他の男に見られると嫉妬する」なんて言ってたけど。
本当は、拓也自身が受け入れられないだけだったんだ。
トイレから戻ると、拓也は視線をさまよわせながら近寄ってきて、また手術の話を蒸し返してきた。
しかし、私が返事をするより早く、突然、知らない番号からメッセージが届いた。
【君のスタイルはすごくいい。拓也は見る目がないだけ。手術なんてする必要ないから】
あの男だ。
私は唇をきゅっと噛んで、グラスの炭酸水を一気に飲み干した。
そしてこう返信した。【休憩室へ行くんだけど、一緒に来る?】
すると、相手はびっくりしたみたいで、ずいぶん経ってからやっと返信がきた。
【本気?】
【もちろん】
【急すぎるよ。まだ心の準備ができてない】
【じゃあいい。それなら、私一人で行ってくるから】
【待って!】
【行くよ】
相手が食いついてきたのを見て、私は拓也にひと声かけた。
そして席を立とうとした、その時。個室のドアが開けられた。
目を上げると、入り口にマタニティウェアを着た女の人が立っていた。
彼女はきょろきょろと周りを見渡していて、明らかに誰かを探しているようだった。
またどっかの遊び人のボンボンが、誰かのお腹を大きくしちゃったみたい。
どこのろくでなしがやらかしたんだろうって、私もちょっと興味津々だった。
そしたら次の瞬間、その女の人は拓也の前にやってきて、泣きわめきながら彼に責任を取れって騒ぎ出した。
近くで見ると、たしかにその女の体型は、拓也の好みどストライクのようだ。
拓也にはもう何の感情もなかったけど。
でも、こういうことに腹が立たないわけがない。
だって、私もちょうど浮気をしようとしているのだから。
なんだか先手を取られたみたいで、気が収まらないのだ。
ただ出来心でネット上でちょっかいだしているのかと思っていたが、まさか相手を妊娠させてしまっていたなんて。
どうやら私は拓也を見くびっていたようだ。
何と言っても私たちのような内輪では面子は何より大事だから。
我慢にならなかった私は拓也に言い訳させる隙も与えず、思いっきりビンタを一発お見舞いして、振り返りもせずにその場を去った。
そして、謎の人物と休憩室で会う約束なんて、すっかり忘れていた。
帰り道、考えれば考えるほどむしゃくしゃしてきて、私は行き先を変えてバーに直行した。
失恋したうえに、浮気しようとしたら逆にされてたなんて。パーっと飲まなきゃやってられない気分だった。
私は拓也行きつけのバーに行って、彼がキープボトルしている高いお酒を全部出すように言った。
そして、その場にいた人全員に振る舞った。
拓也のキープボトルを全部空にして、私はやっと少しだけ気分が晴れた。
強いお酒を何杯も喉に流し込むと、頭がだんだんぼーっとしてきた。
ふと、隣に座っている人に目をやった。
蓮によく似てるような気がした。
彼も飲みに来てるのかな?
まさか。
たしか拓也が言っていた、蓮はこういう場所が嫌いだって。
だけど拓也とここに来るたびに、いつも蓮を見かけていたような気もした。
「大丈夫?」
そう思っていると蓮は心配そうに私を見つめて、様子を伺ってきた。
どうやら私、本当に飲みすぎたみたい。幻覚まで見るようになっているのだから。
私は力いっぱい首を振った。
しかしそのせいで、重心を崩してしまって、体ごと後ろに倒れこんで……
きゃっと声を上げる間もなく。
私は、がっしりとした腕に抱きしめられた。
それはほんの一瞬の出来事だった。
相手は、とても紳士的に私を椅子に座らせてくれた。
目の前を、彼の指の残像がかすめた。
なぜだろう。
その光景が、記憶の中にあった腹筋の写真に写っていた、骨ばった手と重なっていくのだ。
私、本当にどうかしてるみたい。
少しでも頭を冷やしたくて、私は氷水をもらった。
グラスに手を伸ばしたとき、うっかり隣のスマホに触れて画面が光った。
それは、私のスマホじゃなかった。
なのに、待ち受け画面は私の写真だった。
角度からして、明らかに盗撮されたものだ……
次に目を覚ますと私はベッドの上にいた。
周りの様子を見渡してみると、そこは見慣れた私の部屋だった。
ってことは、私、夢を見てたの?
でも、たしかにバーへ行って、たくさんお酒を飲んだはず。
そのあと酔っぱらってからのことは、何も思い出せない。
そこへ使用人が、酔い覚ましの薬を持ってきてくれた。
私は彼女に、昨日の夜は誰が送ってくれたのか訊いてみた。