愛は灰にして、もはや温もらず

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愛は灰にして、もはや温もらず

GoodNovel Hoàn thành

別荘が火事になったあの日、夫は初恋相手のトイプードルを助けるため、寝室のドアに鍵をかけた。 ドア越しに、私は大きくなったお腹を押さえな...

Chương (1)

第1章

別荘が火事になったあの日、夫は初恋相手のトイプードルを助けるため、寝室のドアに鍵をかけた。 ドア越しに、私は大きくなったお腹を押さえながら、開けてほしいと必死に頼んだ。煙が喉を刺し、息が詰まりそうだ。 けれど岩崎隼人(いわさき はやと)は、ドアの向こうで冷たく笑った。 「杏子の犬だって命なんだ。君は丈夫なんだから、煙を少し吸ったくらいじゃ死なないだろ。 子どもを利用して気を引こうなんて、卑怯な真似はやめろ!」 彼は犬を抱えたまま背を向け、しかも濡れたタオルで、犬の鼻まで丁寧に覆いながら去っていった。 結婚して三年。私はずっと隼人に本当のことを隠してきた。自分は葬儀関係の仕事をしていて、実家は貧乏だと嘘をついていた。 ――怖がらせたくなかったから。 父は名の知れた火葬職人。母は死刑囚の遺体に化粧を施す仕事をしている。 兄はさらにひどくて、趣味は人骨集めだ。 裏も表も顔が利く一族だ。 炎がスカートの裾に喰らいつくその瞬間、私は家族にボイスメッセージを送った。 「お父さん。隼人に本当の『生き地獄』を味わわせたい」 送信完了。その時点で、隼人とその初恋相手の行き着く先は、すでに決まっていた。火葬場の灰よりも、もっと細かく砕け散る運命だ。 第1話 炎がカーテンを飲み込んだとき、私・須藤瑠香(すどう るか)は寝室のドアを叩いていた。 ドアノブは焼けつくように熱く、掌の皮膚がじゅっと焦げる音を立てる。 私は痛みに構わず、大きく膨らんだお腹を必死で守った。 煙がドアの隙間から流れ込み、肺が焼けるように痛む。 廊下の向こうから、トイプードルの甲高い鳴き声と岩崎隼人(いわさき はやと)の優しい声が聞こえてきた。 「大丈夫だよ、いい子だ。今すぐ外に出よう」 私は体をドアに押しつけ、爪で隙間をえぐるように引っかきながら叫んだ。 「隼人!開けて!ゴホッ……私と子どもがまだ中にいるの! 火が来てるの!隼人!」 足音がドアの前で止まり、一瞬、彼の良心が目覚めたかと思った。 だが次に聞こえた声は、あまりにも冷静で、思わず震えが走った。 「瑠香、芝居はやめろ。 この程度の煙で大げさだな。杏子の犬は喘息持ちなんだ。煙は無理なんだよ。 君は丈夫なんだから、煙を少し吸ったくらいじゃ死なないだろ」 信じられなくて目を見開き、煙で涙が止まらない。 「何を言ってるの?火事だよ!私、死んじゃうのよ!この子も死んじゃう!」 隼人が、鼻で笑った。 「子どもを利用して気を引こうなんて、卑怯な真似はやめろ! 本当に子どものことを思うなら、大人しくして、杏子の邪魔をするな。 犬の命も大事にできるようになってから、開けてやる」 足音は迷いなく遠ざかっていった。振り返ることもなく。 そのすぐ後、彼が林原杏子(はやしばら きょうこ)に向かって言う声が聞こえた。「早く、濡れたタオルで犬の鼻を覆ってやれ」 私は力が抜け、その場に崩れ落ち、ドアを掻きむしった爪で血の跡を何本も残した。 この瞬間、三年間愛した男の正体がはっきり見えた。 彼にとって、私とお腹の子は、初恋相手の犬以下だ。 火の回り方が異様に早い。 空気に、鼻を刺すような臭いが混じっている。 ――テレビン油だ。 隼人は画家だ。アトリエには大量のテレビン油が保管されている。 火元は寝室のドアのすぐ外にあった。炎は、外から内へ向かって燃え広がっている。 ドアの下から染み込んでくる油を見た瞬間、全身の血が凍りついた。 これは事故じゃない。 犬を救うために私を見捨てただけじゃなく、隼人は、最初から私を消すつもりだった。 数日前、偶然目にした保険証書が脳裏に浮かんだ。 受取人の欄に書かれていたのは、両親ではなく「配偶者」だった。 事故死の場合、保険金は六億円になる。 ――そういうことか。 彼の会社の赤字を埋めるため、そして杏子の居場所を作るため。 彼は私を焼け焦げた死体にするつもりだ。 私は窓に駆け寄り、椅子を持ち上げて思いきり叩きつけた。 ガン! 椅子は跳ね返り、足の甲に直撃した。 ガラスは、びくともしなかった。 思い出した。 妊娠初期、隼人は私のお腹を撫でながら、安全のために家中の窓を防弾ガラスに換えると言った。 あのときは、彼の細やかな気遣いだと思った。 今ならわかる。これは、彼が用意した私の棺桶だった。 ここは三階。窓は封鎖され、ドアには鍵がかけられている。 私は逃げ場のない袋の鼠だ。 背中に、焼けつくような痛みが走る。火が、もうスカートに移っていた。 私は火を払おうとせず、お腹をかばうように身を伏せた。 これは母親の本能だ。 たとえ私が灰になっても、この子にほんのわずかな可能性だけは残したい。 スマホの電波が揺れ、ついに圏外になった。 隼人が電波遮断装置を起動させたのだ。 「企業秘密を守るため」そう言って、家中に設置していた。 なんて完璧な計画。 なんて底知れない悪意。 私は重たい体を引きずり、洗面所へ向かった。 そこには小さな換気口がある。もしかしたら、わずかに電波が届くかもしれない。 一歩進むたび、焼けた床で膝の皮が剥がれていく。 歯を食いしばり、私は一言も声を漏らさなかった。 須藤家の娘は、血を流しても泣かない。 そして私はようやく、換気口にスマホをかざすと、電波がかろうじて一本立った。 家族のグループチャットを開く。 録音ボタンを押し、残った力を振り絞って言った。 「お父さん。隼人に本当の『生き地獄』を味わわせたい」 送信完了。 次の瞬間、高温に耐えきれず、スマホの画面が弾け飛んだ。 第2話 激痛で意識が引き戻された。 それは皮膚が痛む程度のものじゃない。全身の神経をずたずたに引き裂かれるような痛みだった。 叫ぼうとして口を開いたが、喉から漏れたのは「ひゅう、ひゅう」と、壊れたふいごのような音だけだった。 声帯がやられている。 目を開けると、視界いっぱいに白い機械の数々。 消毒液の匂いに、自分の焼け焦げた肉の臭いが混じり、吐き気がこみ上げた。 「目が覚めたか」 病室のベッド脇に、隼人が座っていた。 手にはリンゴ、器用に皮を剥いている。 きちんと仕立てたスーツに、乱れ一つない髪。 ついさっき火事を生き延びた人間には、どう見ても思えなかった。 私が目を覚ましても、痛いかどうかも聞かない。 ナースコールを押すことすらしない。 剥き終えたリンゴをそのまま自分の口に入れ、カリッと音を立てて噛んだ。 「瑠香、ほんとに運がいいよな。 全身の四割が火傷で、それでも生きてるんだから」 彼の目にあったのは、安堵ではなかった。 そこに浮かんでいたのは、ただ一つ――私が生き延びてしまったことへの、残念そうな色だけだった。 私は彼を睨みつけ、指を差して詰問しようとした。 だが、腕は包帯だらけで、どうしても手を上げられなかった。 隼人はティッシュを取り出し、優雅に手を拭いた。 「警察には、もう話をつけてある。 君が勝手に高出力の電化製品を使って、配線が劣化してショートした。 会社は今、上場前でね。悪い噂は困るんだ。 だから、この責任は君が一人で背負ってくれ」 私は目を見開いた。驚きで、目が飛び出るかと思った。 話したい。警察に通報したい。火をつけたのは彼だ、ドアを閉めたのも彼だって。 隼人は、私の考えを読んだかのように顔を近づけた。 口元に、残酷な笑みを浮かべている。 「通報する?訴える? 瑠香、君は今、声が出ない。 それに、精神科医の診断書もある。 妊娠中のうつで、自傷傾向あり。今回の火事は自作自演だってね。 警察が信じるのは、成功した経営者の俺か、それとも気が触れた女か。どっちだと思う?」 怒りで体が震え、モニターが甲高い警告音を鳴らした。 私は必死にお腹を指さし、口の形だけで問いかけた。「子どもは?」 隼人の目が一瞬だけ揺れ、すぐに「哀れな患者を見る目」に変わった。 「子ども?何の話だ? 瑠香、一酸化炭素を吸いすぎて、頭がおかしくなったんじゃないか。 君は妊娠なんてしてない。偽妊娠だよ」 ――そんなはずない。 胎動を感じていた。心音だって聞いた。 もう七か月だったのに、偽妊娠なわけがない。 嘘だ。 彼は嘘をついている。 子どもをどこかに隠したか、それとも…… それ以上は考えるのが怖くなり、涙がこぼれ、火傷した頬を伝った。 激痛で、視界が暗くなる。 そのとき、病室のドアが開いた。 杏子が入ってきた。 真っ白なシルクのパジャマ。 一目でわかった。あれは母がわざわざ選んでくれた、上質なシルクに繊細な刺繍を施した特別なパジャマ、私の嫁入り道具だった。 今、彼女が着ていると、どうにも似合わない。 杏子の腕の中には、あのトイプードルが抱かれている。 犬の首にはダイヤモンドのネックレスがかけられていた。去年の私の誕生日プレゼントだ。 「隼人、瑠香さん起きたの?」 杏子はベッドのそばまで来て、見下ろすように私を見た。 無邪気な笑顔の奥に、隠しきれない悪意。 「瑠香さん、今の姿、すごく怖いね。 怪物みたい」 そしてわざと腕を私の前に突き出す。 白い肌に、爪先ほどの小さな赤い火傷跡が残っていた。 「瑠香さんのガラクタを守ろうとして、火の粉が飛んできたの。 隼人、心配しすぎて、絶対ここがいいって、一番いい私立病院に連れてきてくれたんだよ」 隼人は彼女の手を取り、そっと息を吹きかけた。 「だから言っただろ、うろうろするなって。跡が残ったらどうする。 この手はピアノを弾く手だ。 彼女の命の価値とは比べ物にならない」 目の前でいちゃつく二人を見て、胃の中がひっくり返りそうになった。 杏子は私に顔を向け、声を潜めて言った。 「瑠香さん、顔も焼けちゃって、声も出なくなったけど。 隼人は優しいから一生面倒みるって。 これからは家で家政婦みたいにいてね。ちょうどこの子、世話係が足りないの。 この子、瑠香さんの匂いが好きみたいだよ。焦げ臭いからね」 トイプードルが、私に向かってワンワンと吠えた。 隼人はその頭を撫で、甘い笑顔を浮かべる。「ほんと、犬のほうが物分かりいいな」 第3話 隼人が再び現れたとき、手には手術の同意書があった。 杏子の姿はなく、ひとりだけだった。 彼はその同意書を、私の胸の上に放り投げた。 「サインしろ」 必死に眼球を動かし、書かれている文字を読み取る。 皮膚移植提供同意書だった。 移植を受ける者は杏子、提供部位は両太もも内側・全層皮膚、と記されていた。 私は勢いよく顔を上げ、喉の奥から怒りに震えた声を漏らした。 隼人はネクタイを整え、いかにも当然という口ぶりで言う。 「杏子の腕が火傷している。あの手はピアノを弾く手なんだ。傷跡なんて、絶対に残してはいけない。 医者も言ってた。君の太ももの皮膚が一番合うって。どうせ、これからスカートも履かないだろ。 瑠香、人として感謝ってものを知るべきだ。 あの火事は君が起こした。杏子を驚かせたんだ、これは君の借りだ」 感謝? 思わず、笑いそうになった。 火の中に閉じ込められて、焼け死にかけた私が、今度は自分の皮膚を切り取って、あの愛人の蚊に刺された程度の火傷の埋め合わせをしろというのか。 その理屈は、卑劣なんてレベルじゃない。もう狂ってる。 私は唇をきつく噛みしめ、顔を横に背けた。 ――サインなんて、しない。 協力しないとわかると、隼人の顔から一瞬で仮面が剥がれ落ちた。 彼は焼けただれた私の顎を乱暴につかみ、無理やり彼の方を向かせる。 指が私の傷口に食い込み、思わず痛みで全身が跳ね上がった。 「瑠香、調子に乗るな。 君の家なんて、貧乏でどうしようもない。今回の入院費、一日二十万円だ。全部俺が払ってる。 この底なし沼を支える義理はない。 皮膚を杏子にやるなら、その金は皮を売った代金ということにしてやる。 取引だよ。公平だろ」 三年間の夫婦の情なんて、彼にとっては取引でしかなかった。 私は商品で、彼は肉屋。 歪んだ彼の顔を見つめながら、胸に残っていた最後の愛情が、完全に消えた。 私は血の混じった唾を、彼の顔に吐きかけた。 隼人は一瞬きょとんとし、次の瞬間、激怒した。 反対の手が私を打ち、耳鳴りが頭の中で響き続ける。 「いいだろう。上等だ。 せっかく優しく言ってやったのに」 彼はスマホを取り出し、一本の動画を再生した。 画面を、私の目の前に突きつける。 薄暗い地下室。 灯りは、くすんだ電球がひとつだけ。 本来なら「存在しない」はずの赤ん坊が、ベビーベッドに横たわっていた。 すやすやと眠っている。 心臓を、巨大な手で握り潰されたみたいだった。 ――私の子だ。 生きている……! 隼人は冷ややかに私を見下ろす。 「言っただろ。子どもはもういないって。 でも、素直に言うことを聞くなら、気が向いたら連れ戻してやってもいい。 サインしないなら……今度こそ、本当にこの世界から消してやる」 叫びたかった。 殺したかった。 隼人を、粉々にしたかった。 でも、できなかった。 体が動かない。 涙と血が混じって、頬を伝い落ちる。 震える手で、私はペンを指差した。 隼人は満足そうに笑い、ペンを私の手に握らせる。 「それでいい。 最初からそうしていれば、無駄に苦しまなくて済んだのに」 私は同意書に名前を書いた。 一画一画が、自分の肉を削るようだった。 隼人は書類を受け取り、私の頬を軽く叩く。 「手術は午後だ。 無事に終わったら、家政婦に言って子どもにミルクを飲ませてやる」 第4話 隼人は踵を返し、軽やかな足取りで去っていった。 午後二時。 数人の看護師が、乱暴に私をストレッチャーへ乗せた。 付き添う家族もなく、術前の慰めもない。 廊下はやけに長く、ストレッチャーの車輪が転がる音が、がらんとした空間に響く。 その一音一音が、まるで私を死へ送り出す鐘のように聞こえた。 杏子が鼻歌を歌いながら、私の横を歩いている。 彼女は美しいワンピースに着替え、顔には丁寧にメイクが施されていた。 「瑠香さん、皮膚の移植ありがとう。 隼人が言ってたの。あなたの皮を使えば、私はずっと彼を支配できるんだって」 彼女は楽しそうに笑い、肩を揺らす。 「そうそう、言い忘れてた。麻酔、打たないんだって。 隼人がね、皮膚の状態を保つには、そのまま切り取るのが一番いいって言ったの。 どうせこんなに焼けてるんだし、今さら一本切り傷が増えたところで、同じでしょ?」 天井の白熱灯を見つめながら、私の心はすっかり凍りついていた。 麻酔なし? 生きたまま、切り取る? ……いい。 隼人、杏子。 これはあなたたちが自分で選んだ道だ。 どうか、後悔しないで。 ストレッチャーが手術室へと押し込まれる。 背後で、重たい扉が勢いよく閉まった。 私は目を閉じ、心の中で静かに数え始める。 お父さん。お母さん。お兄ちゃん。 ――早く来て。そうじゃないと、私は本当に須藤家の恥さらしになってしまう。 手術室の中は、冷蔵庫みたいに冷え切っていた。 隼人が無影灯の下に立ち、手にはメスを持っている。 ……まさか、彼は自分でやるつもり? 「杏子がね、俺が自分の手で切り取った皮じゃなきゃ、愛の証にならないって言うんだ」 隼人は手袋をはめながら、まるで世間話でもするような軽い口調で説明した。 隣のベッドには杏子が横になり、手鏡を持って、あちこち角度を変えながら自分の顔を見ている。 「隼人、優しくしてね。皮、破らないで。 一番きれいなところが欲しいの」 隼人は甘やかすようにうなずいた。 「大丈夫。アトリエで彫刻の練習、いっぱいしたから。 手はブレないよ」 隼人が、いよいよ手を動かそうとした、その瞬間―― 手術室の壁が、突然揺れた。 ドン! まるで巨大なものがぶつかったかのような衝撃。 隼人の手が跳ね、メスがずれ、私の脚には骨が見えるほどの深い傷が走った。 「誰だ!?」 彼は怒鳴り、振り返る。 ドン!! 二度目の激しい衝撃。 壁にヒビが入り、粉塵がぱらぱらと落ちる。 杏子が悲鳴を上げた。 「隼人!地震!?」 隼人は顔色を変え、メスを持ったままドアへ向かう。 「どこの工事業者だ!? ふざけるな! 俺が誰だかわかってるのか!」 ドォン――!!! 三度目の轟音。 壁一面が、そのまま吹き飛んだ。 鉄筋コンクリートが、まるでボロボロの豆腐みたいに崩れ落ちる。 巨大なショベルカーのバケットが、壁を突き破って突っ込んできた。 太陽の光と土埃が一気に流れ込み、目を開けていられないほどまぶしい。 煙の向こうに、逆光の中で三つの影が立っていた。 衝撃で吹き飛ばされた隼人は床に転がり、埃まみれになって起き上がる。 「お前ら何者だ!不法侵入だぞ!警察を呼ぶからな!」 ギィィ―― 耳を刺すようなエンジン音が響き渡る。 大型の業務用チェーンソーが起動した音だった。 その轟音に、隼人の怒鳴り声はかき消される。 やがて煙が少しずつ収まった。 現れたのは、長年の煙で少し煤けた、父の顔だった。 黒いレザージャケットに身を包み、手には、今も油を滴らせる巨大なチェーンソー。 その目は、まるで死体を見るかのように冷たい。 父は隼人を見ることすらせず、一直線に手術台の上で血まみれの私を見た。 一度も泣いたことのない、あの頑固な男の目が一瞬で赤く染まった。 そして、ゆっくりと顔を上げ、隼人を見る。 口元に浮かんだのは、ぞっとするほど残酷な笑み。 「岩崎社長、火遊びが好きだって聞いたが? ちょうどいい。トラック一台分の炭を持ってきた。 今日はここでお前ら二人、まとめて焼いてやろうか」