離婚成立!元夫の絶望的な後悔

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離婚成立!元夫の絶望的な後悔

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十五夜の家族団欒の食事会で、深谷佑樹(ふかや ゆうき)は義理の妹・深谷鈴奈(ふかや れいな)にホットココアを作ってやった。 今回はもう我...

Chương (1)

第1章

十五夜の家族団欒の食事会で、深谷佑樹(ふかや ゆうき)は義理の妹・深谷鈴奈(ふかや れいな)にホットココアを作ってやった。 今回はもう我慢しなかった。茶碗を床に叩きつけ、離婚を切り出した。 佑樹は呆れ顔で言った。 「ただの一杯の甘い飲み物のために?」 「そうよ」 「……いいさ。後悔するなよ」 私の名前は小林知織(こばやし しおり)。佑樹と付き合って四年、結婚して二年。 その間、義妹の影は私の世界をずっと覆い続けてきた。 デートの食事にも、映画にも、記念日にも、彼女はいつもそこにいた。 結婚後でさえ、佑樹は家に彼女専用の部屋まで用意した。 彼女のために、佑樹は幾度も私をないがしろにした。 もう、こりごりだ。 第1話 十五夜の家族団欒の食事会で、深谷佑樹(ふかや ゆうき)は義理の妹・深谷鈴奈(ふかや れいな)にホットココアを作ってやった。 今回はもう我慢しなかった。茶碗を床に叩きつけ、離婚を切り出した。 佑樹は呆れ顔で言った。 「ただの一杯の甘い飲み物のために?」 「そうよ」 「……いいさ。後悔するなよ」 私の名前は小林知織(こばやし しおり)。佑樹と付き合って四年、結婚して二年。 その間、義妹の影は私の世界をずっと覆い続けてきた。 デートの食事にも、映画にも、記念日にも、彼女はいつもそこにいた。 結婚後でさえ、佑樹は家に彼女専用の部屋まで用意した。 彼女のために、佑樹は幾度も私をないがしろにした。 もう、こりごりだ。 ドアをバタンと閉めて家を出る時、まだ佑樹の声が聞こえている。 「行きたいなら行かせろ!あれだけわがままで、些細なことですぐ離婚だなんて、本当に甘やかされ過ぎだ。 ここじゃ誰も知り合いもいないくせに、どこへ行けるんだ?三日と持たずに、謝りに戻ってくるさ」 足が一瞬、止まった。胸がぎゅっと痛んだ。 最初、佑樹と結婚するために、故郷から遠く離れた街に嫁いだ。両親は心配でならなかった。 佑樹は胸を叩いて約束してくれた。 「俺がいるところが知織の家だ。絶対に帰る場所のない状況にはさせない」と。 今では、それがまるで笑い話のようだ。 秋風がひんやりと肌を撫でる。 外の冷たさよりも、心の底から這い上がってくる寒気の方が、ずっと身に染みた。 突然、スマホが鳴った。母からの着信だ。 「知織、十五夜どう過ごす?お父さんと手作りした月見団子、届いた?お父さんね、朝一番で白玉粉を買いに行って作ったのよ、すごくおいしいって!」 月見団子は、とっくに届いていた。五日も前のことだ。 ただ、開ける間もなく、鈴奈にぶち壊されていたのだけど。 あの日、届いた宅配便を受け取り、ほんの少し手を洗いに立った隙に戻ると、月見団子の箱は床に転がり、真っ白な団子は散らばっていた。 傍らには、当惑したような鈴奈と、気まずそうな顔の佑樹。 私が何かを聞くより先に、佑樹が口を開いた。 「鈴奈はわざとじゃない。責めないでくれ」 鈴奈はおずおずと私を見て、 「ただ……中身を見たくて箱を開けただけなのに……」 腹立たしさを必死で押さえ、平静を装って言った。 「あれは両親が送ってくれた月見団子なの。次から私の物を勝手に触らないで」 すると鈴奈の目がうっすら赤くなり、うなずいた。 佑樹の表情がぱっと険しくなり、私を寝室に引きずり込んだ。 「鈴奈は幼くして両親を亡くしてるから、あの子の前で自分の親の話はするなって、言っただろう?なんでそんなこと言うんだよ? 月見団子一つで、そんなに大げさに騒ぐ必要あるか?」 佑樹の手を振りほどいた時、私の手首にはもう赤い痕が浮かんでいた。 「これでもう初めてじゃないわ」 手首の痕を見て、佑樹の口調は少し柔らかくなった。 「鈴奈は、愛に飢えてる子なんだ。兄貴として、もっと面倒を見てやらなきゃ。 知織は義姉だろ。鈴奈と張り合うなよ、な? もう怒るなよ。怒ると可愛くなくなるぞ!そのうち、俺が直接月見団子作って償うから、それでいいだろ?」 結局、その件はうやむやのまま終わった。 佑樹の「償い」も、果たされることはなかった。 あまりにも長く黙り込んでしまったせいか、母は何かを察した。 「知織?どうしたの?佑樹君と喧嘩?何か嫌なことあったら、何でも私に話して?佑樹君に言ってやるから!」 押し殺していた全ての悔しさが一気に込み上げ、涙が止まらなくなった。 千々に乱れる思いを、最後はただ一言の詰まった言葉に変わった。 「お母さん……家に帰りたい……」 佑樹と知り合ったのは、大学時代のことだった。 当時、大学入試のストレスで体重が70キロ近くまで増え、必死にダイエットに励んでいた。 クラスには、「豚みたいにデブだ」と私を陰口する男子が少なくなかった。 そんな中、ただ一人、佑樹が彼らをたしなめて言った。 「美的感覚は人それぞれだろう。色白で細いだけが美しいって誰が決めた? 少なくとも俺は、小林さんがとても可愛いと思うよ」 その瞬間、彼の背中が光って見えた。 それからというもの、佑樹は私の朝のジョギングに付き合ってくれた。一緒にヘルシーな食事も取った。 そうして、自然に付き合うようになった。 一年後、鈴奈が同じ大学に合格し、文字通り「妹分」として佑樹の後を追うようになった。 佑樹と鈴奈は再婚家庭の義理の兄妹で、鈴奈の父親が佑樹の母親と再婚してわずか一年後に亡くなっていた。 第2話 佑樹は、鈴奈は幼い頃に父を亡くし、愛情に飢えているから、自分に依存するのも仕方ないと言った。 それを理解した私は、鈴奈が二人の間に割って入ることに対し、不満を抱くどころか、むしろ進んで彼女を気遣った。 けれど、やがて気づいてしまった。 私と佑樹がふたりきりでいようものなら、鈴奈はたとえ来られなくても、何かしらの口実を作って佑樹を呼び戻すのだ。 私の誕生日も、祝日も、記念日も、彼女は「体調が悪い」「うつが悪化した」といった理由で、必ず佑樹の注意を引き寄せる。 大学時代を通じて、佑樹とふたりきりで過ごせたのは、三度もなかっただろう。 佑樹はいつも申し訳なさそうな顔をして、「あの子はまだ子供なんだ」と言った。 私が何度も譲歩した結果、結婚後、状況がさらにエスカレートした。 佑樹は相談もなく、新婚の家に鈴奈専用の部屋まで用意してしまった。 この部屋のせいで、数え切れないほどの喧嘩をした。 そして、離婚を決意させたのは、三日前の結婚記念日のことだった。 あの日、佑樹は「償い」として、レストランを予約してくれた。 「今回は絶対に二人だけの時間だ。サプライズを楽しみにしていてくれ」と、何度も強調した。 私は長い時間、レストランで待った。昼から夜へと時間が過ぎても、佑樹は現れない。 料理は何度も温め直されたが、私の心は少しずつ冷めていった。 店員がまた近づき、声をかけてきた。 「お客様、お料理をもう一度お温めいたしましょうか?」 その時、やっと佑樹から一通のメッセージが届いた。 【鈴奈が急に気分が悪くて倒れちゃって。ちょっと遅れるかも。 悪い、先に食べてて。待たなくていいから……】 私は疲れ切ったため息をついた。 心はもう、麻痺していた。 ひとしきり泣いた後、ようやく感情が落ち着いてきた。 母には離婚を考えていることを打ち明けた。 母は何も言わず、ただ私の決断を支持するとだけ伝えてくれた。 ホテルを探してチェックインした頃には、もう夜も更けていた。 佑樹から一本、着信があった。 私は出なかった。 すると、彼からメッセージが届く。 【まだ怒ってる?知織の大好きな天ぷら、作ったぞ。 早く帰ってこないと、俺が全部食べちゃうからな!】 私はただ一通、返信した。 【明日、区役所に来て。離婚届を出そう】 佑樹からの返事はなかった。 まだ私が一時の感情で言っているだけだと思っているのだろう。 その時、鈴奈の方から突然、一通のメッセージが届いた。 リンクが貼られていた。 開いてみると、それは鈴奈のXのサブ垢だった。 最初のツイートから、全てが佑樹に関する記録だった。 【今日は16歳の誕生日。お兄ちゃんに告白した。ダメだった。一番可愛がってくれる妹でいよう、って】 【お兄ちゃんが他の人からもらったラブレターをビリビリに破いた。これって……やきもち?私のこと、まだ気にしてるのね!】 【お兄ちゃん、大学生になった。いないとすごくつまんない。私も同じ大学に行くからね!】 【なんでお兄ちゃん、あんな女と付き合うの?私が一番じゃないの?】 【ちょっと可哀想なふりするだけで、お兄ちゃんはすぐに彼女のところから飛んでくる。やっぱり私が一番大事なんだ。絶対に取り戻すから!】 …… 【あの女が月見団子食べたいだって?全部床にばら撒いてやったわ。どうするのでしょ】 【二人きりの時間が欲しいんだって?気絶したふりしてやった。レストランで一人ぼっちで待ってる姿、想像しただけで笑える】 ……なるほど。そういうことだったのか。 激しい衝撃が、心底にあった悲しみさえも一時的に押し流した。最後に残ったのは、疲労と虚無感だけだった。 なんだか、自分がとても滑稽に思えてきた。 佑樹は、鈴奈の気持ちを初めから分かっていた。それでも、すべてを許容してきた。 じゃあ、私は一体何だったんだろう? 二人の弄ばれるおもちゃか? 鈴奈のツイートは、ほぼ自虐的な気持ちで、何度も何度も読み返した。 夜が明け、窓の外が白み始める頃には、私はすでに平静を取り戻していた。 どんなに濃い感情だって、繰り返される鈍い痛みの前には、いつか色あせて消えていく。 佑樹への想いも、例外ではなかった。 出勤前、佑樹からメッセージが届く。 【おはよう。 知織、まだ怒ってる?どこにいるか教えてよ。朝ごはん買って行くから】 見るだけで頭にくる。私はおでこを揉みながら、一通返信した。 【9時に、区役所の前で】 【おとなしくしてよ。そんなちっぽけなことで、離婚だなんて……】 第3話 私はつい嗤いた。 ちっぽけなこと? 佑樹の中では、私のことは全部「些細なこと」。大事なのは鈴奈だけ。 もう返事しないと決めた。 祐樹は痺れを切らしたのか、直接電話をかけてきた。 私は一息ついて、受話器を取った。 「まだ怒ってるのか?鈴奈とそんなに張り合わなくていいだろ。早く帰ってこい」 佑樹の声に、一言でも余計なことを言いたくなくなった。 「9時に、区役所の前で」 佑樹の声が冷たくなった。 「知織、ふざけるなよ。離婚をネタに脅すの、嫌なんだ」 疲れ切って一瞬目を閉じ、再び開いた瞳には揺るぎない決意があった。 「離婚する」 佑樹は考えもせずに反対した。 「同意しない!」 「昨日、あなたは同意したわ」 「あれは怒りのセリフだ。本気にするなよ。もう子供じゃないんだから、分からないの?」 もう感覚が麻痺しているはずなのに、この言葉だけは鋭く胸に刺さった。 佑樹にとって、鈴奈は甘やかすべき「子供」で。 私は、大人しくて物分かりのいい「大人」でいなくちゃいけない。 でも、鈴奈だって、私よりほんの1歳年下なだけなのに。 これ以上聞くのも嫌で、ガラガラと電話を切った。 佑樹がすぐに離婚に応じるはずがないって、分かってた。 鈴奈にメッセージを一通送った。 【佑樹が離婚に同意しない】 返事は来なかった。 けど、これが鈴奈にとっては絶好のチャンスなんだってことは、私にも分かってた。 わざわざあのリンクを見せびらかしたのは、私が完全に諦めて去るように仕向けるため。 ちょうどいい。私だってもう、二人と表面上だけのお付き合いなんて、ごめんだった。 会社に辞表を提出し、離婚協議書をプリントアウトした。 あの家に戻った時、佑樹は私を見るなり、得意げな表情を浮かべた。 「ほら、三日も持たないって言っただろ?まあ、これ以上そんなふざけたことするなよ」 鈴奈は一瞬、顔を歪めたが、すぐに平静を取り戻して言った。 「知織さん、戻ってきてくれたのね……すごく心配してたんだから」 相変わらず、佑樹の前では良い妹の仮面を被っている。 私は彼女を一瞥しただけで、何も言わず、離婚協議書をテーブルに置いた。 佑樹は呆気に取られた。 「知織、冗談だろ……?」 平静な目で彼をまっすぐ見つめて答えた。 「冗談なんて、言わない」 私の瞳に揺るぎない決意を見て、佑樹は言葉を失った。 「そこまでするか?そんなちっぽけなことで、離婚なんて……」 私はうなずいた。 「そこまでするわ」 まだ私が拗ねているだけだと思ったのか、佑樹は笑いながら言った。 「あの日はただ、鈴奈が生理でお腹が痛いって言うから、ホットココア作ってやっただけだよ。そんなことで怒るのか?そんなに短気なのか? ……まあいいや、知織のこの悪い性格は全部俺が甘やかしたせいだ。どうしようもないな、自分で甘やかしたんだから、最後まで面倒見るしかないか。 はいはい、全部俺が悪い。もう怒るなよ、いいだろ?」 でもあの日、私だって生理だった。 お腹が痛くて顔色が青ざめていたのに、佑樹は私にホットココアを作ってくれようとは思わなかった。 鈴奈の分を作る時ですら、私の分も一緒に……なんて考えもしなかった。 鈴奈が唇を噛みしめ、細い声で口を開いた。 「知織さん、私も謝らなきゃ……もうお母さんと話して、数日したらそっちに戻って一緒に住むから」 佑樹は表情を変え、振り向いて彼女を見た。 「そんな話、聞いてないぞ」 鈴奈は青白い顔で、無理やり笑みを作って言った。 「お兄ちゃん……私、ずっとあなたたちの生活に入り込みすぎてた。もう大人なんだから、そろそろ自立しないと。自分でちゃんとするから、心配しないで」 佑樹の顔がたちまち曇った。 「ダメだ!」 そして再び私を見る。声には怒気が押し殺されている。 「これで満足か?鈴奈を追い出すまでやる気か?」 佑樹の非難は、まるで私がとんでもない悪事を働いたかのようだった。 以前の私なら、この言葉を聞いて、きっと深く悲しんでいただろう。 第4話 でも今、私の心はもう、少しも波立たなかった。 ただ、そっとまぶたを上げて言った。 「離婚する」 佑樹は怒りの極みで、嗤った。 「はっ、いいぞ!」 彼は離婚協議書をひったくるように取り、速い筆致で署名した。 中身に何が書いてあるかも確かめずに。 私が離婚協議書をしまい、立ち去ろうとした時、鈴奈が声をかけた。 「お兄ちゃん、今ただ怒ってるだけだから。私がなんとか言って聞かせるから、大丈夫よ」 佑樹は冷ややかに鼻で笑った。 「鈴奈、あいつにそんな丁寧になる必要ない。 あんなに短気じゃ、うちには置いておけなくなるぞ」 私は淡々と言い放った。 「離婚届、出しに行くの忘れないで」 家を出る瞬間、背後でグラスが床に落ちる音がした。 空を見上げて、私はふっと笑った。 実はずっと、この街が好きじゃなかった。 故郷は湿り気が多い街だ。 ここは私には、乾きすぎていた。 ただ佑樹がいたから、留まっていただけ。 今、やっと自由になれる。 ドアの向こうから、かすかに鈴奈の声が聞こえる。 「お兄ちゃん、そんなに怒らないでよ。 あの時、大手企業からオファーもらったのに、お兄ちゃんのためにここに残ったんでしょ? 知織さん、お兄ちゃんのことすごく好きなんだから、本当に離婚するわけないよ。ちょっと謝ってあげればいいんだよ」 佑樹の声がさらに大きくなる。 「俺に非がないのに、なぜ謝らなきゃいけないんだ!あいつがわがままなだけだ! 今回は絶対にこらしめてやる。あいつが自分で間違いに気づいて、謝ってくるまで待ってやる。それから復縁してやればいいさ」 ……でもね、佑樹。 今度は本当なんだ。 あなたと、別れるのだ。 離婚届を提出する時、佑樹と鈴奈は一緒に来た。 佑樹は終始無愛想な顔を崩さず、一言も発しなかった。 私もまた、余計な言葉はなかった。 書類の提出を終え、区役所の職員が離婚関連の手続きには一ヶ月ほどかかると告げた。 一ヶ月後、もう一度来るようにと。 立ち去る時、佑樹は私にひと言だけ投げつけた。 「しっかり自分を反省しろ」 ……は? 何を反省しろっていうの? 私が反省すべきなのは、気づくのが遅すぎたこと、我慢しすぎたこと、ただそれだけだ。 やっとの思いで一ヶ月を過ごし、いざ離婚届受理証明書をもらいに行くと、佑樹の表情はいくらか和らいでいた。 「マジで離婚する気か?」 私はうなずいた。 佑樹は信じられないという目で私をじっくり見つめ、やがて呆れたように言った。 「まったく……こんなめちゃくちゃな理由で離婚するなんてな。目に物見せられた。 お前、どうしてそこまで理屈が通じないんだ?」 私は彼を一瞥することもなく、静かに窓口に書類を提示した。 最後の署名の時、私はためらいなく名前を記した。 佑樹は躊躇い、なかなかペンを動かさない。 「お兄ちゃん?」 鈴奈の声で、ようやく彼は覚悟を決めたように署名をした。 離婚届受理証明書を手にした時、私はほっと一息ついた。 佑樹が私の前に歩み寄ってきた。 「知織、離婚は成立した。これでようやく怒りも収まっただろう。 しばらくはそっとしておいてやる。お前も自分のどこが悪かったか、ちゃんと考えろ。分かったら、また復縁しよう」 今この時になっても、まだ私がわがままを言っているだけだと思っている。 「知織、考えがまとまったら、連絡くれ」 私が返事をする間も与えず、佑樹は鈴奈を連れて去っていった。 私はとっくに、明日故郷に帰る航空券を買っていた。 …… 飛行機の中で、スマホのアルバムから佑樹に関わる写真をすべて削除した。 佑樹と鈴奈のLINE連絡先も、もうブロックしている。 ただ、それより前に、一つだけやっておいたことがあった。 鈴奈のXのサブ垢のスクリーンショットを、彼らの家族グループに送りつけておいたのだ。 添えたのはたった一文。 【ご一家の家風って、こういうものですか?】