俺様社長とのハピエン後、愛は奈落へ

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俺様社長とのハピエン後、愛は奈落へ

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私が姉の吉田智子(よしだ ともこ)への子宮提供を断ると、幼馴染は私をひどく憎んだ。そして、東都の御曹司である三浦啓太(みうら けいた)の...

Chương (1)

第1章

私が姉の吉田智子(よしだ ともこ)への子宮提供を断ると、幼馴染は私をひどく憎んだ。そして、東都の御曹司である三浦啓太(みうら けいた)のもとへ、私を送り込んだ。 啓太は女性にまとわりつかれるのを嫌うことで有名だった。だから誰もが私の末路を待っていた。でも彼は、これ以上ないほど私を大切にしてくれた。 あっという間に3年が過ぎた。妊娠したかもしれないと思って病院へ行くと、偶然、啓太と医者の会話を耳にしてしまった。 「三浦さん。3年前、あなたは私に泉(いずみ)さんの子宮をこっそり彼女のお姉さんへ移植させましたよね。なのに今度は、生まれつき妊娠できないと泉さんに嘘をつけ、と?あなたを愛してくれる女性に、どうしてそんなひどいことができるんですか?」 「仕方ないだろ。智子が子供を産めなかったら、嫁ぎ先でつらい思いをするだろうから。智子に適合する子宮は、泉のしか無かったんだ」 聞き慣れた啓太の声が、ぞっとするほど冷たくて、まるで知らない人のようだった。私が固く信じていた愛も救いも、結局は、また別の嘘で塗り固められたものだった。 それならもう、ここにはいられない。 第1話 私が姉の吉田智子(よしだ ともこ)への子宮提供を断ると、幼馴染は私をひどく憎んだ。そして、東都の御曹司である三浦啓太(みうら けいた)のもとへ、私を送り込んだ。 啓太は夜のほうは盛んなのに、自分から言い寄ってくる女は嫌いだった。 誰もが私の哀れな末路を期待していた。でも、啓太は予想外のことにも私をすごく可愛がってくれた。 結婚して3年。啓太はいつも、いろんな場所で私を求めてきた。 ベランダ、キッチン、車の中。それから、きらびやかなパーティー会場でさえも。 私がちょっとトイレに行くだけで、啓太がついてきて洗面台に押し付けられる、なんてこともあった。 私たちは避妊なんて一度もしなかったのに、子供はできなかった。 妊娠したと思って病院へ検査に行ったら、そこで偶然、啓太と医者の会話を聞いてしまった。 「三浦さん。3年前、あなたは私に泉(いずみ)さんの子宮をこっそり彼女のお姉さんへ移植させましたよね。なのに今度は、生まれつき妊娠できないと泉さんに嘘をつけ、と?あなたを愛してくれる女性に、どうしてそんなひどいことができるんですか?」 「仕方ないだろ。智子が子供を産めなかったら、嫁ぎ先でつらい思いをするだろうから。智子に適合する子宮は、泉のしか無かったんだ」 聞き慣れた啓太の声が、ぞっとするほど冷たくて、まるで知らない人のようだった。私が固く信じていた愛も救いも、結局は、また別の嘘で塗り固められたものだった。 それならもう、ここにはいられない。 …… 病院の廊下の突きあたりで、さっき私に不妊症だと告げた医者が、複雑な顔で話していた。 「妊娠したと思ってるなんて、お気の毒に。私が処方したホルモン剤の副作用で吐き気が続いているだけなのに」 啓太は少し眉をひそめた。「それなら、副作用がいちばん少ない薬に変えてくれ。泉の体に何かあったら困る。智子が将来、また泉を必要とするかもしれないからな」 「いつか本当のことを知って、恨まれるのが怖くないんですか?泉さんは、あなたとの子供をずっと欲しがっていたのに。自分がもう、一生母親になれないなんて知らないんですよ」 医者の声には、哀れみがこもっていた。 「恨まれたって仕方ない。俺は、智子が苦しむのを見てられないんだ」 啓太の声は、いらだっているようだった。「泉には、三浦夫人という地位をやった。それだけじゃ不満なのか?」 私は角を曲がったところで立ち尽くした。体が震えて、止まらなかった。 三浦夫人の地位?啓太は、そう思っていたんだ。 私が今手にしているものは、啓太の愛じゃなかった。私の子宮と引き換えに与えられたものだったんだ。 全身から力が抜けて、私はその場に崩れ落ちた。 みっともなく床に倒れ込んで、体中が痛かった。起き上がる力さえも、もう残っていなかった。 私に気づいた啓太が、大股で歩み寄ってきて私を支えた。その深い漆黒の瞳が、私の顔をじっと見つめる。「どうした、転んだのか?いつからここにいたんだ?」 服の袖の中で、私は自分の手を強くつねった。今ここで問い詰めても、私に良いことなんて何もない。だからいつもみたいに、おとなしく啓太の胸に顔をうずめた。「今来たところ。ヒールが高くて、足くじいちゃった」 啓太の強張っていた顔が、やっと緩んだ。彼は私を抱き上げると、外へ向かって歩き出す。「もう、こんな高いヒールは履くなよ」と、低い声で言った。 あんなに好きだった啓太の顔を見上げながら、私の心は底なしに冷えていった。 いつだったんだろう。啓太が、医者に私の子宮を摘出させたのは。 2年前、私が盲腸の手術をした、あの時かな? あの時は、ちょっと体調が悪いだけだった。でも医者は、盲腸だからすぐ手術が必要だと言ったんだ。 啓太はすごく心配して、病院のワンフロアを貸し切ってくれた。それから、最高の医療チームまでつけてくれた。 その時は、啓太が私を心から愛してくれているからだと思ってた。私に何かあったら大変だって、心配してくれてるんだって。 でも今思えば、私はただ飼われていただけだったんだ。啓太が私を大事にしていたのは、私の体を切り取って、智子に捧げるためだったんだ。 第2話 夜の食事の時、啓太は私に無理やりご飯を食べさせようとした。 彼は優しい顔つきでスプーンを持ち、私に食べさせようとしながら言った。「ちゃんと食べないと、体に良くないだろ?」 私の体が悪くなったら、智子に健康な臓器を提供できなくなるもんね。そういうことでしょ? 目の前で優しく微笑む、完璧に偽装されたその顔を見て、また吐き気を催した。 トイレに駆け込み、中から鍵をかけた。ドアの外から聞こえる啓太の声は無視して、さっき食べたものを全部吐き出した。 ポケットの中のスマホが、不意に一度震えた。 【本当にここを離れる覚悟はできてるんですか?】 スマホを握りしめると、啓太の冷たい言葉が脳裏に蘇った。 【ええ、一刻も早くお願いします】 すぐに、啓太が使用人に鍵を持ってこさせてドアを開けた。彼は眉間にしわを寄せて言った。「また吐いたのか?前に処方した体にいい薬はもうやめて、新しい方を飲みなさい」 毎日啓太は私を騙している。私に飲ませているのはホルモン剤なのに、体にいい薬だと言い張るのだ。 かつては、本気で啓太との子供が欲しいと願っていた。だからどんなに苦い薬でも、希望を胸に笑顔で飲み込めたのに。 今思えば、なんて馬鹿だったんだろう。 私は無表情に顔を上げて啓太を見た。「私、もうすぐ死ぬんでしう?本当のことを教えて。あと、どれくらい生きられるの?」 いつも落ち着いている啓太の顔に、一瞬だけ動揺が走った。彼は急に私を抱きしめ、必死な声で言った。「馬鹿なこと言うな。お前はずっと俺のそばにいるんだぞ」 啓太の愛の言葉はいつも甘くて優しい。この2年、私が妊娠の話をするたびに、彼は「辛い思いをさせたくないから」といつも言っていた。 本当は、私がもう子供を産めない体だと知っていたくせに。それなのに、毎日私が苦くてまずい薬を飲むのを黙って見ていたんだ。 子供が生まれたら、三人で幸せに暮らす……そんな夢を見ながら。 でも、それでよかったのかもしれない。子供がいなければ、私たちの間にはもう何のしがらみもない。 これで、きれいさっぱり啓太のもとを去ることができる。 寝る前、啓太は何かに取り憑かれたように、しつこく私を求めてきた。そして二度と「死ぬ」なんて言うな、と命令した。 私は無感情にそれを受け入れた。全てが終わり、隣で啓太が寝息を立て始めると、私はベッドサイドに置かれていた彼のスマホを手に取り、バスルームへ向かった。 啓太のスマホのロック解除のパスワードは私の誕生日。だから、今まで彼のスマホを疑うことなんて一度もなかった。啓太はきっと、私のそういうところを利用していたんだろう。 ラインを開くと、啓太が智子を「みーちゃん」という名前で登録していることに気がついた。 みーちゃん。 それは、啓太がベッドで私を情熱的に抱きしめるときに、ささやく名前だった。 啓太が呼んでいたのは、初めから私じゃなかったんだ。彼はただ、私を智子の身代わりにして、自分を慰めていただけだった。 なんて、滑稽なんだろう。 震える指先で、二人のトーク履歴を開いた。 そこで初めて知った。 私がホルモン剤の副作用で毎日吐き気に苦しんでいたとき、啓太は智子のために慈善団体を立ち上げていた。善い行いをすれば徳が積まれ、智子がこの先も健康でいられると願って。 智子のために徳を積むっていうなら、彼らが私にしたこの仕打ちは、一体どうやって償うつもりなんだろう? 目から涙がこぼれ落ちた。私は唇を固く噛みしめ、一枚一枚、二人の会話をスクリーンショットしていく。心はもう、痛みで麻痺していた。 私はすぐに病院へ行き、精密検査を受けた。 医者は私の検査結果を見ながら、眉をひそめた。「一体、何回手術したんですか?腎臓が一つないし、子宮もない、肝臓にも損傷の跡がありますよ」 私は力なく笑った。「たくさん、もう覚えていません。この体で、あとどれくらい生きられますか?」 医者ははっきりとは言わず、ため息をついた。そして、あまり思いつめないで、心を穏やかに過ごすようにと私を諭した。 病院を出た私は、正式に離婚の話をするため、啓太の会社に向かった。 受付の秘書に止められたので、私は啓太の妻だと名乗った。 秘書は私を軽蔑したように言った。「三浦夫人になりたい人なんて掃いて捨てるほどいますよ。あなたみたいな人が奥様なわけないでしょう。 本物の奥様なら、今、上の階にいらっしゃいますから」 思わず胸が締め付けられたようだった。その場で啓太に電話をかけたけど、彼は一向に出なかった。 秘書の顔には、さらに露骨な嘲笑が浮かんでいた。 私はロビーで静かに待ち続けた。かなり遅い時間になって、エレベーターから啓太が智子を抱きかかえて出てくるのが見えた。 目が合った瞬間、啓太は少し気まずそうにした。「お前……どうしてここに?あ、いや、智子が足を捻挫しちゃってさ。妊婦さんだし、一人じゃ動けないから。 ちょっと手を貸してただけなんだ」 智子は啓太の腕に寄り添ったまま、穏やかに微笑んだ。「泉、うちの人が海外出張中でね。だから啓太をちょっとお借りしちゃった」 私の頭の中は、「妊婦」という言葉だけでいっぱいになった。 智子は、私の体から奪った子宮で、妊娠したんだ。 胸が鋭い棘でえぐられるような激痛に襲われ、息もできなくなった。「啓太、話があるの」 「話なら後だ。智子がお腹を空かせている。先にお母さんの家へ帰ってご飯にしよう」 第3話 母は、智子の妊娠を祝って、智子の好物をテーブルいっぱいに並べた。 智子が鼻をつまんで「食欲がない」と言うと、啓太は、私の世話をしてくれている家政婦を智子のもとに行かせよう、と提案した。 智子は口の端を上げて笑い、私を指さした。「やっぱりやめておくわ。泉が嫌な顔をしているもの。私のせいで二人が気まずくなるなんて、嫌だから」 母はすぐに眉をつり上げて私を叱った。「あなたは妊娠してるわけじゃないんだから、自分のことくらい自分でやれるでしょ。昔から自己中心的なんだから。少し頼みごとをすると、すぐに泣き言ばっかり」 母が私を産んだのは、智子の病気を治すためのドナーを確保するためだった。母の目には、私は智子を治すための道具としか映っておらず、決して逆らってはいけない存在だった。 もう母と言い争う気力もなくて、私はお箸を置いた。少し一人になりたくて昔の自分の部屋へ向かうと、そこはただの物置部屋に変わっていた。 急に涙がこぼれてきて、乱暴にそれを拭った。 智子が部屋に入ってきた。「啓太に当たり散らしてるの?自分の立場をわきまえたらどう。私と彼の長年の絆に、あなたが入る隙なんてないのよ」その勝ち誇った口ぶりは、まるで本妻が愛人を叱りつけているかのようだった。 私は鼻で笑った。「それなら、どうして啓太と結婚しないの?」 智子の口元の笑みは、さらに深くなった。「手に入らないからこそ、価値があるの。啓太にはずっと私のことを想っていてほしいの。そうすれば、彼は永遠に私の味方でいてくれるでしょ」 私は何も言えず、ぼんやりと智子のお腹を見つめ、気づけばそっと手を触れていた。 智子はさらに勝ち誇ったように笑い、私の耳元で囁いた。「うらやましい?残念だけど、あなたはもう二度と子供を産めないわ。だって、あなたの子宮は、私のお腹の中にあるんだもの。 子宮がなくなると、大変らしいじゃない?一生ホルモン剤を飲み続けないといけないし、副作用もひどいんだって。私が啓太にそう言ったらね、彼、私がそんな辛い思いをするのは耐えられないって、すぐに助けてくれるって言ってくれたのよ。 だから、啓太はあなたと結婚して、うまく言いくるめてきたの。そうそう、私の体はもともと弱いから、いざという時のために、あなたを健康に育てておかないとって言ってたわ。私に感謝すべきよ。 あなたなんて、私のための『器』としての意味しかない。この世に、あなたを愛してくれる人なんて、誰もいないのよ」 私は爪が食い込むほど強く拳を握りしめ、平手打ちをしようと手を振り上げた。その瞬間、突然ドアが開けられた。 ドアの前に立っていたのは、激しく怒った顔の啓太だった。彼は駆け寄ってきて私の手首を強く掴むと、厳しい声で言った。「何をしている?自分の姉を殴るつもりか!」 私は皮肉たっぷりに笑った。「あら、心配なの?そんなに大事なら、いっそ智子と結婚して、お姫様みたいに家に飾っておけばいいじゃない?」 私が啓太にこれほど強い口調で話したのは初めてだった。彼は少し驚いた様子で、何かを言いかけたが―― 智子が突然お腹を押さえて、苦しそうな顔で言った。「私のために喧嘩しないで。私が悪いの、泉を怒らせてしまったから。叩かれても仕方ないわ。家政婦はいらないから、お願い、もう叩かないで」 啓太の顔つきがみるみる険しくなり、私を睨みつけた。「泉、謝れ!」 両手を強く握りしめる。爪が食い込む痛みで、なんとか体の震えをこらえた。 「私に謝れって言うの!啓太、一体何が起こったか分かってるの?」 「もういい!」啓太は私の言葉を遮った。「泉、お前には心底がっかりしたよ。いつからそんな人間になってしまったんだ!智子はお前の姉だろう。いくら嫉妬しても、手をあげていいわけがない!」 そう言うと、啓太は私を一瞥もせず、智子を抱きかかえて部屋を出ていった。 啓太の肩に顔をうずめながら、智子が勝者のように、得意げに私を見て笑うのが見えた。 でも、もう智子のことで私が傷つくことはなかった。 啓太のことなど、もうこれっぽっちも気にかけない。 タクシーで家に帰り荷物をまとめていると、啓太から突然ラインが届いた。 【智子がひどく傷ついている。もう一度チャンスをやろう。今夜、自分から謝りに来い。俺自ら、人を差し向けるような真似はさせるなよ!】 有無を言わせないその口調は、私が許されざる罪を犯したと決めつけているようだった。 さらに、お詫びの品として、智子にプレゼントを買ってくるよう念を押された。 でも、啓太は知らない。私がとっくに荷物をまとめ終えていたことなど。 私はタクシーを拾い、まっすぐ空港へ向かった。 車の中で、私は啓太に最後のラインを送った。【ええ、わかったわ。とっておきのプレゼントを贈ってあげる】 このメッセージを送ると、私はスマホからSIMカードを抜き取って真っ二つに折り、車の窓から投げ捨てた。すべてを過去にするために。 翌朝早く、三浦グループの社長室に一通の速達が届いた。 啓太がその小包を開けると、中から一枚の紙がひらりと落ちた。 それにさっと目を通しただけで、啓太の顔色はみるみる変わった。震える手でスマホを掴み、ある番号へ電話をかける。 しかし、電話は繋がらなかった。