Đang tải thông tin quảng bá...
未亡人を庇う婚約者を捨て、私は夢を叶える
「あの、国立特級芸術アカデミーへ応募したいんですが……」 松浦直美(まつうら なおみ)は応募締切ぎりぎりのその日、募集窓口へ駆け込み、...
Chương (1)
第1章
「あの、国立特級芸術アカデミーへ応募したいんですが……」
松浦直美(まつうら なおみ)は応募締切ぎりぎりのその日、募集窓口へ駆け込み、志望届を差し出した。
職員は顔を上げて彼女を見る。「国立特級芸術アカデミーは、選考に受かるとそのまま合宿形式の訓練に入ります。その間は外部との連絡も取れません。それでも参加しますか?」
「はい。お願いします」
直美は高まる胸の鼓動を抑え、まっすぐな瞳で答えた。
「わかりました。では10日後の選考試験にお越しください」
受験票を手にした瞬間、ようやく直美の心は落ち着いた。
やっとここを離れられる。そして、ずっと胸の奥で思い描いてきた舞台へ、ようやく踏み出せるのだ。
第1話
「あの、国立特級芸術アカデミーへ応募したいんですが……」
松浦直美(まつうら なおみ)は応募締切ぎりぎりのその日、募集窓口へ駆け込み、志望届を差し出した。
職員は顔を上げて彼女を見る。「国立特級芸術アカデミーは、選考に受かるとそのまま合宿形式の訓練に入ります。その間は外部との連絡も取れません。それでも参加しますか?」
「はい。お願いします」
直美は高まる胸の鼓動を抑え、まっすぐな瞳で答えた。
「わかりました。では10日後の選考試験にお越しください」
受験票を手にした瞬間、ようやく直美の心は落ち着いた。
やっとここを離れられる。そして、ずっと胸の奥で思い描いてきた舞台へ、ようやく踏み出せるのだ。
病院に付属している寮に戻ると、周囲の視線が少し冷たかった。
「松浦さん、精神科に行ってたんじゃないの?こんなに早く良くなるもんなの?」
「確かに。宮本先生の診断が間違っているはずないもん」
「急に暴れ出したりとかして、私に迷惑かけないでよね」
ルームメイトたちが、口元を手で隠してくすくすと笑う。
直美が精神疾患を患っているという噂は、とっくに院内で広まっていた。
直美は聞こえないふりをして、自分のベッドに寝転がる。
ここ数日間、隔離された病棟ではろくに食事もとれず、精神的に追い詰められそうだった。
数分後、部屋のドアが激しい音を立てて開いた。
ドアの外に立っていたのは、白衣を纏い、理知的な雰囲気を纏う宮本瑞樹(みやもと みずき)だった。
彼は険しい顔で、直美を怒鳴りつける。「直美!誰の許可で退院なんかしたんだ?」
怒りがこみ上げた直美は、言い返した。「私、病気でも何でもないんだけど。なのに、退院して何が悪いの?」
「君が病気かどうか決めるのは、医者の方だ」
瑞樹は一歩も引かない。直美が健康だと知っていても、「教育」の名の下に彼女を精神病院に閉じ込めようとする。
「そんなの認めないから。それなら、院長先生に診てもらう。院長先生の診断なら信じるから」
直美も譲る気はなかった。二度と自由を奪われてたまるか。
院長の佐野和彦(さの かずひこ)は今出張中だ。瑞樹は直美を鋭く睨みつけると、背を向けて部屋から出ていった。
瑞樹が去ったのを確認し、直美はようやく安堵のため息をつく。
瑞樹は直美の婚約者であり、この病院の医長でもあった。
かつての直美は瑞樹を追いかけ、自身の芸能への夢を捨ててまで、この病院で看護師になる道を選んだ。
最初の頃は、仲の良いお似合いのカップルといわれていた。
しかし、瑞樹が白石結香(しらいし ゆか)という女性を救ってから、全てが変わってしまった。
結香は若くして夫を亡くしていたため、子供一人を抱えて、病院への物資搬入の仕事で細々と暮らしていた。
そしてある時、川に落ちてしまった結香が、溺れかけていたところを瑞樹が助けたのだった。
瑞樹は結香を救うために人工呼吸をおこなった。
それからというもの、なぜだか瑞樹は結香に尽くし始めたのだった。
最初は物質的な援助を行い、しばらくするとそれは金銭的な援助に変わった。そして、今となっては自分の時間まで結香のために捧げる始末だ。
瑞樹のそうした振る舞いに、直美は何度も苦言を呈してきた。
だが瑞樹は「困っている人を助けて何が悪い」と聞き入れない。
耐えかねた直美は、結香の自宅に直接文句を言いに行ったのだった。
いざこざの最中、勢い余って結香を押してしまい、彼女は転倒してしまった。
それをいいことに、瑞樹は直美を精神疾患だと言って強制的に入院させた。
いくら弁明しても聞き入れてくれず、ただ直美が狂ったと言い続ける瑞樹。
度重なる屈辱を味わい、直美はついに悟った。
こんな希望のない恋は終わらせよう。これからは自分のために生きるのだ。
国立特級芸術アカデミーにさえ受かれば、運命は変えられるはず。
第2話
その日の夜、予想外のことに瑞樹が直美を訪ねてきた。
「直美、俺が酷いやつだと思わないでほしいんだ。もし、君に精神的に不安定だとこちらで診断を下さなかったら、白石さんにしたことは重く受け止められ、君の職務継続さえ危うかったんだから。
でも、どんなに腹を立てたとしても、人を傷つけてはいけないだろ?ここは家じゃなく、病院なんだから。
それに、俺が白石さん親子に援助をしているのも、彼女が大変そうだと思ったからに過ぎないんだ。俺たちの間には何もないって何度も言ったはずなのに、どうして信じてくれないんだ?」
普段は控えめで口数の少ない瑞樹がこれほど一気に捲し立てているのを聞いて、直美は胸を締め付けられた。自分への配慮からだと言う一方で、実際はどの言葉も結香を庇うものばかりだった。
なんと滑稽なのだろう。結香に少し言っただけで、瑞樹は自分を加害者と認定したのだ。
瑞樹の心の中では、結香の方が婚約者である自分よりもずっと重要らしい。それなら、もう二人の幸せを応援してあげよう。
直美はきっぱりと答えた。「うん、分かった。信じるし、もう二度と白石さんに関わらないから」
あまりにあっさりとした態度に、瑞樹は眉をひそめた。少し言い争いになるかと思っていたが、こんなにも素直に聞き入れられるなんて。
きっと直美なりに事態を重く見たのだろう。
「分かってくれたならよかったよ」
瑞樹が背を向けて立ち去ろうとすると、直美が声をかけた。
「結婚の件だけど……」
瑞樹は苛立ちを露わにして直美の言葉を遮った。「だから言ってるだろ?今は結婚のことなんか考えられないって。家だってまだ準備できてないんだから」
直美は「婚約を取り消そう」と言いたかったのだが、瑞樹に全く結婚する気が無さそうな態度を見て、言っても言わなくても大差ないと思えてきた。
翌日、直美は仕事を再開した。
出勤した直後、待合ロビーの方から甲高い泣き声が聞こえてきた。
駆けつけてみると、結香が子供を連れてロビーに座り込み、呼吸困難になるほど激しく泣いていた。
「誰か!誰かうちの子を助けてください!宮本先生はいますか?あの人なら助けてくれるはずですから!」
結香の息子である白石慎也(しらいし しんや)は高熱を出し、意識が朦朧としていたのだった。
しかし、瑞樹は隣の街へ巡回診療に出かけており、いなかった。
瑞樹が戻るまで待っていたら、慎也は危ないだろう。
「そんなこと言ってないで、お子さんの熱を下げることが優先でしょ?」年配の医師がしびれを切らし、慎也を抱え上げた。
すぐに点滴を打つ必要がある。
病院はいつだって人手不足だ。それに、手練れの看護師の多くは巡回診療に行っているうえ、病欠や帰省で休んでいるのも多かった。だから残っているのは新人看護師たちばかりで、点滴の針を刺すことすらおぼつかない。
経験豊富な看護師で残っていたのは、直美だけだった。
先ほどの年配の医師が直美を呼ぶ。
結香は、直美が近づいてくるのに気づくと抵抗した。「先生!この人は嫌です。他の人にしてください」
直美は心の中で深くため息をついた。今日、ナースステーションには自分以外誰もいないのだ。自分だってこんな面倒なことは避けたいのに。
医師は呆れた。「一体どうしたんですか?松浦さんはこの病院で一番点滴がうまいと言っても過言ではないんですから。手際もよく、正確です」
結香は渋々受け入れた。
直美が手慣れた動作で点滴を打つと、結香もようやく黙った。
「お子さんが手をむやみに動かさないように見ていてください。あと点滴の中身が無くなったらすぐ呼んでください」
手早く作業を終えると、直美は溜まっている仕事を片付けに戻る。
1時間後、点滴室の方からまた結香の悲鳴が聞こえた。
向かってみると、慎也の手がパンパンに腫れ上がっていた。
「何でこんなことに?お子さんを見ていてくださいって言いましたよね?」
しかし、結香は逆ギレし始める。「あなたの腕が悪いからでしょ!どうして私のせいにするのよ!どうせ、私と慎也に恨みがあったんでしょ?あなたの上司に抗議してくるんだから」
ちょうどそこに疲れ切った瑞樹が駆け込んできた。「何があったんだ?どうした?慎也くんは大丈夫か?」
瑞樹を見た瞬間、彼に泣きすがる結香。「宮本先生!あなたがいない間に、みんなが私たち親子を虐めるの。見て、松浦さんが慎也の手をこんな目に……」
すると瑞樹は状況を確認することもなく、すぐに直美を叱りつけた。「何度も言ったはずだろ?言いたいことがあるなら俺に言ってこいって。どうしてこうやって何度も白石さんを苦しめるんだ?それに、慎也くんはまだの子供なんだぞ?君はなんでこうも陰湿なんだよ?」
陰湿?これが自分に対する評価というわけか。
第3話
直美は言い返す気力さえ失せ、ただ一言だけ言った。「宮本先生。患者さんの状況をしっかり診てから結論を出してくれませんか?」
彼らとはもう関わりたくなかった直美は背を向け、その場を去った。
瑞樹は怒りを抑えながら、慎也の手を調べた。そこではっと言葉を失う。
確かに直美の処置は間違っていなかった。手がこんなに腫れているのは、明らかに動きすぎで患部に空気が入ったせいだろう。
瑞樹は急に自分の衝動的な行動が恥ずかしくなった。直美はこの病院で最も点滴や採血が上手い看護師だ。こんな初歩的なミスをするはずなんかなかったのだ。
瑞樹は結香親子を落ち着かせると、ナースステーションへと向かった。
「直美、さっきは君を疑ったりしてごめん。でも、白石さんは医療知識のない素人だから、気にするな」
直美は俯いてカルテを整理しながら、氷のように静かな声で言った。
「大丈夫。もう慣れてるから」
瑞樹はこんなにも静かな直美を初めて見た。以前の彼女なら、必ず大喧嘩になっていたはずなのに。
言いようのない不安が胸に広がる。
瑞樹は映画のチケットを直美の手に押し付けた。「今夜、新作の映画『君を待つ季節』が公開されるんだけど、一緒に行かないか?」
直美はもう随分と映画館へ行っていないことを思い出す。もうすぐ国立特級芸術アカデミーに行く自分にとっても、いい経験になると思い承諾した。
仕事終わり、瑞樹がナースステーションに迎えに来た。
ふと、瑞樹と過ごしたかつての楽しい日々が戻ってきたような錯覚を覚える。
しかし、次の瞬間には「宮本パパ!」という明るい声がその思考を切り裂いた。
結香は慎也を抱きかかえ、愛おしそうな目で瑞樹を見つめていた。
「宮本先生、今日は助けてくれてありがとう。でも夜遅くなっちゃって、慎也を連れて帰るのが大変で……家まで送ってくれないかな?」
瑞樹は横にいる直美に視線を向け、少し躊躇う。
それを見ていた結香は、気まずそうに微笑んだ。「ごめんなさい、私ったら空気が読めなくて。お二人は用事があるのよね。私は慎也と適当にバスかなんかで帰るから大丈夫」
瑞樹は直美と一緒に少し歩いたが、やはり足を止める。
「直美、映画は別の日でもいいか?もうこんな時間なんだ、夜道は危ないし、白石さんが一人で子供を連れて帰るのは心配だから」
直美は少しだけ口角を上げた。最初からわかっていたことだったが、やはり心が刃物で刺されたように痛む。
瑞樹はいつも自分より結香のことを優先した。
ここでは誰もが自分と瑞樹が恋人同士だと知っているのに。
しかし、瑞樹はいつも自分との間に距離を置いた。こちらが少し恋人同士のようなことをすると、「見られたら噂になるだろ」と言って顔を険しくさせるのだった。
しかし結香相手には、そんな配慮など微塵も感じさせない。
何が噂になるって?単に自分のことがどうでもいいだけのくせに。
この名ばかりの婚約者という立場も、もう他人に譲ってもいい時だろう。
「分かった。映画は一人で観てくるよ」
瑞樹は直美の声から彼女の機嫌があまり良くないことに気づいたが、迷わずに結香親子のほうへと向かっていった。
瑞樹が二人の手を握って遠ざかっていく背中は、幸せな本当の家族のように見えた。
薄暗い街灯の下、結香が浮かべる満足げな微笑みが直美には見えた。
『君を待つ季節』の主人公たちは、数々の苦難を乗り越えて円満な愛を勝ち取った。
かつて夢見ていた、瑞樹との理想の未来そのものだった。
残念ながら映画はフィクションであり、現実は別物だ。
自分は誰かの物語のヒロインではない。自分の人生の主人公になるしかないのだ。
それからの数日間、直美は空いた時間を見つけてはダンスの練習に打ち込んだ。
幸い、幼い頃に培った体の記憶は残っており、練習するうちに懐かしい感覚が蘇ってきた。
踊っているときだけは、本当の自分でいられる。
「松浦さん、ちょっといいですか?」病院の総務課の中島浩平(なかじま こうへい)が、直美を事務室に呼び入れた。
「おめでとうございます。ついに、この病院の福利厚生である『院内結婚の夫婦への新居の提供』への申請が通りましたよ!
本来であれば、婚姻届を提出した夫婦のみに適用されるのですが、お二人が婚約済み、さらには院内でもかなりの功績を上げたということで、何度も申請した結果、ようやく許可が下りたんです!申請を通すために、私はかなり頑張ったんですから、お二人の結婚式には、必ず呼んでくださいよ?」
浩平はまるで難業をやり遂げたかのように顔を輝かせていた。
この申請を通すために、直美はなんでもしてきた。
なぜなら、新居が用意できるまで、自分とは籍を入れないと、瑞樹が言ったからだった。
しかし、瑞樹は仕事ばかりで、新居のことには一切関心を示してくれなかった。
だから直美は、自分一人で何度も何度も書類を作成し、いち早くこの申請を通してもらえるように努力した。
だが病院側は、直美の条件では不足だと突っぱね続けていた。
そこで直美は仕事ぶりを認めてもらうために死に物狂いで働き、残業や汚れ仕事まで、全てを引き受けていた。
やっとの思いで掴み取ったこの福利厚生。
しかし、今の直美には微塵も喜びがなかった。
「中島課長、今のところ結婚の予定はありませんので、この申請は……」
もうすぐここを去るつもりだ。今さら新居をもらったって無意味なのだ。
瑞樹に残して結香を住まわせるくらいなら、もっと必要な人の手に渡る方がいい。
そう口にしようとしたその瞬間、瑞樹が扉を開けて入ってきた。
第4話
「中島課長、お呼びですか?」
怪訝な顔をしていた浩平は、瑞樹の姿を見ると声を弾ませた。「ああ、宮本先生。お二人のための新居が準備できそうなんです!今年こそ、お二人の晴れ姿にお目にかかれそうですね」
瑞樹の顔が一瞬こわばったが、すぐに何事もなかったかのように答える。
「ありがとうございます、中島課長。招待状は必ず送りますから」
瑞樹は直美の手を引いて事務室を出た。
「直美、新居の問題は解決できたけど、今年は昇進のためにかなり忙しくなるんだ。だから、結婚の話は……」
「わかってる。急がなくても大丈夫だから」
直美は瑞樹が言う前に、彼の本音を先に口にしてあげた。
住まいなんてただの口実だ。瑞樹には最初から自分と結婚するつもりなんてなかったのだから。
ちょうどいい。こっちも、もう瑞樹と結婚する気なんて微塵もない。
瑞樹は直美がこうもあっさり受け入れたことに驚いた。以前のように自分に縋り付いて結婚を迫る直美の姿はそこにはなかった。
瑞樹は気まずさを紛らわせるように言った。「直美、誤解しないでくれ。結婚する気がないわけじゃない。ただ、今キャリアアップして、君にもっといい暮らしをさせてやりたいだけなんだよ」
直美は心の中で笑った。昔の自分は、瑞樹には色々な苦労があるのだと信じ、自分の身を削ってでも力になろうとしていた。
しかし、その問題を解決する度に、次から次へと新しい言い訳が出てくる。
以前は住まいの問題、今は昇進だ。
昇進の件が終われば、また別の問題を持ち出すのだろう。
だが、そもそも「問題」などというものは存在しない。すべてが瑞樹の都合の良い言い訳なのだから。
ただ、もうそのどれもが自分には関係ない。
「そうかもね。じゃあ、お互い仕事に集中しよう。それがこれからのために一番いいと思うし」
直美の声には迷いがなかった。
それは瑞樹への言葉であり、同時に自分自身に言い聞かせる言葉でもあった。
恋愛は淡くて脆い。確かなのは、自分自身のキャリアだけだ。
肩の荷が下りたようで、瑞樹が直美に向ける視線に少しばかりの温かみが宿る。「直美……そう言ってくれるなんて、本当に嬉しいよ」
瑞樹と別れた後、直美は再び総務課の事務室へ戻った。
「中島課長。先ほどの話の続きですが、例の新居は私の名義で割り当てられるんですよね?なら、今回の申請は取り下げていただけますか?他にも、院内結婚の先生方はいらっしゃいますし、そちらに回してあげてください」
自分が住まない以上、結香も瑞樹もここに住まわせるわけにはいかない。
それからというもの、直美は仕事とダンスの練習に明け暮れ、充実した日々を過ごしていた。
ある日の昼休み、若い看護師たちに取り囲まれた直美。
「松浦さん!新居の申請が通ったそうですね!結婚式、いつ挙げるんですか?」
「ようやく結婚ですね!おめでとうございます!」
直美が否定しようと口を開きかけた時、一人の新人看護師が慌てて駆け込んできた。
「大変です松浦さん!宮本先生が、あの白石さんを松浦さん達の新居に!」
胸がキュッと締め付けられた。公舎の件が決まるやいなや、瑞樹はこんなにも早く結香を連れ込んだというのか?
急いで見にいくと、寝室は結香親子によって完全に占領され、荷物で溢れかえっていた。
元々そこまで広くない部屋は、足の踏み場もない。
直美は冷ややかな声で言った。「ここはあなたの住む家じゃないので、出ていってください」
しかし、結香は反発した。「これは宮本先生の家よ。先生が来て良いって言ってくれたんだもの。松浦さんには関係ないでしょ?」
直美は呆れた。「誰が彼の家だと言ったんですか?とにかく、5分以内にここから出ていってください」
「嫌よ。宮本先生が追い出さない限り、ここに居座ってやるんだから」
開き直った結香に話は通じなかった。
直美は結香を無視し、目の前にあった荷物を力任せに部屋から投げ捨てた。
結香も投げられまいと荷物にしがみつき、室内は修羅場と化した。
慎也まで泣き出す始末。「松浦さん。追い出さないで、お願いだから……」
噂を聞きつけた野次馬たちが、あっという間にドアの外を埋め尽くしていた。
掃除用品を買いに行っていた瑞樹がちょうど戻ってきた。騒ぎを見るなり、急いで家の中に入る。悲惨な現場を目にすると、バケツを放り投げ、乱暴に直美の手を掴んだ。
「直美!何をしてるんだ!」
第5話
「ゴミを片付けてるだけだけど、何か問題でもある?」直美は表情一つ変えずに答える。
瑞樹の顔色は、怒りからみるみるうちに赤くなっていった。
「いい加減にしろ!白石さんたちを呼んだのは俺だ。二人の家は雨漏りがすごくて住めたもんじゃないんだよ。数日住まわせるだけなのに、君はどうしてこんなことを?可哀想な親子二人を見捨てろというのか?」
数日住まわせる?
結香は全ての家財道具を持ち込んでいるというのに。どう見てもここで暮らす気だった。
申請手続きの時、瑞樹は面倒がって何一つ協力してくれなかったくせに。
申請が決まった途端、こんなことをするなんて。
本当に笑わせてくれる。
「瑞樹。この家の申請をしたのは私。何の許可もなく他人を入れるなんて、何のつもり?」
瑞樹が気まずい表情を浮かべた。「直美、俺たちはまだ籍を入れてないんだから、それまで白石さんたちに部屋を貸したっていいだろ?空けておいたって無駄になるだけなんだから」
なるほど、そういう魂胆だったのか。籍を入れずに、結香をここに住まわせるつもりだったとは……
「でも、遅かったね。もう解約の手続きをしたから。すぐにでも追い出されると思うよ。白石さんたちも退去させなきゃ」
瑞樹は呆然としていたが、すぐに軽蔑したような目を直美に向ける。「直美、そんな駆け引きで俺が結婚を決めるなんて思うなよ?今年は結婚はしないって言ったらしないからな」
瑞樹は、直美が苦労して手に入れた公舎を本当に解約するなど、信じてはいなかった。
野次馬たちも口々に騒ぎ始める。
「それにしても、宮本先生はひどいわね。新居にシングルマザーを住まわせるなんて」
「松浦さんも可哀想。まだ暮らし始めてもない新居を奪われて。本当に嫌な話」
それを見ていた結香は、大声で嘘泣きをした。「宮本先生、松浦さん、私のせいで喧嘩しないで。私は夫に先立たれた身だから、どこへ行っても嫌われる……もうここにはいられない。いっそ慎也と……もう生きていても仕方がないもの……」
そう言うと、慎也を抱きかかえて外へ走り出した。
瑞樹はすぐさま追いかけて叫ぶ。「白石さん!早まるな!」
結香は慎也を抱いて川辺まで走ると、追いかけてきた瑞樹に涙ながらに訴えた。「宮本先生、私によくしてくれることは感謝してるの。でも、こんな私が一緒にいると先生まで白い目で見られちゃうから……」
そう言うや否や、結香は慎也を連れて川へと飛び込んだ。
瑞樹は迷わず川へと飛び込み、二人を救い上げた。
そして、前回の時と同じように、瑞樹は結香に人工呼吸を施す。
結香が意識を取り戻した後も、二人の唇は重なったままで、まるで濃厚な口づけを交わしているようだった。
その光景を目の当たりにした直美は、強烈な吐き気に襲われた。
瑞樹は結香を抱きかかえて病院へ向かった。直美の横を通り過ぎる際、直美へ向けた瑞樹の視線には憎しみが宿っていた。
今日は国立特級芸術アカデミーの選考試験の日。直美は迷わず会場へと向う。
どんな事があっても、ここに合格する機会を失うわけにはいかない。
審査員の前で、最高の演技をすることができた。
直美の踊る姿は、あまりにも美しく、しなやかだった。
たった一曲踊り終えただけで審査員たちを魅了し、直美は無事に合格を勝ち取った。
「おめでとうございます、松浦さん。国立特級芸術アカデミーへようこそ。3日後から合宿訓練に参加してください」
直美は飛び上がるほど嬉しかった。これからは、ようやく自分のために生きられる。
直美はすぐに病院の院長室へと向かった。
ちょうど瑞樹も院長室にいた。直美を見る彼の瞳には、これでもかとばかりの悪意が浮かんでいる。
「ちょうどよかった。君からきてくれるなんて、わざわざ探しに行く手間が省けたよ」
瑞樹はそう言って直美を睨みつけると、院長の和彦に向かって報告した。「院長先生。直美は患者の命を軽んじ、看護師としての品性を欠いています。ただちに謹慎処分にしてください」
直美の心臓がどきりと縮み上がる。胸の奥で何かが粉々に砕け散った気がした。
なんということだろう。
命を懸けてまで添い遂げようとしていた相手から、こうやって何度も足蹴にされるなんて……
和彦は瑞樹と直美を交互に見て、事の顛末を聞こうとした。
しかし、直美が淡々と先に口を開く。「院長先生。私、退職届を出しに来たんです」
その言葉を聞いた瑞樹と和彦は、揃って目を丸くした。
「何だって?」
第6話
直美はもう一度、はっきりと告げた。「退職届を出しに来ました」
和彦は耳を疑った。「松浦さん、何かあったのかい?とりあえず、よく話し合おう。だから、そんな急に辞めるなんて言わないでくれ」
ここの病院で看護師を務められるというのは、看護師の中でもかなりのエリートだった。しかも直美は今や中核を担う存在で、じきに看護師長への昇進も決まっており、前途は洋々のはずなのだ。
それなのに、なぜ辞めようなどと考えるのか?
瑞樹が冷ややかな視線を直美に向ける。「今さら大人しくしたって、今回の件はなかったことにはならないからな。今回の君の不始末は、さすがの俺でも庇いきれない」
大層なことを口にする瑞樹を前に、直美はただ滑稽に感じた。
瑞樹は単なる卑怯な偽善者だったということに、なぜ今まで気づかなかったのだろう?
「瑞樹、いい加減なこと言わないで。私は何も問題なんて起こしてないし、あなたに庇ってもらう必要もない。白石さんが勝手に私の家に住み着いたから、追い出しただけ。それがどうして、あなたの口からだと、私が彼女に危害を加えたみたいな話になるの?」
瑞樹は怒りで首筋の血管を浮かせ、顔を真っ赤にした。「白石さんは君のせいで死ぬところだったんだぞ?なのに、よくもまあ、そんな白々しい嘘がつけるな」
二人が一触即発の状況になり、和彦が間に入る。
「詳しい調査は病院の方で行うから。宮本先生、とりあえず外へ出てくれるかな?松浦さんは残って」
瑞樹は直美を睨みつけてから、苛立ちを隠さずに退室した。
和彦は首をかしげながら言った。「調査もまだだし、病院側だって宮本先生の言い分を全て信じたわけでもないのに、どうしてこんなにも急いで退職なんかするんだ?」
直美は自分が国立特級芸術アカデミーに合格したことを打ち明けた。
和彦は納得の表情を見せる。
「そうか。しかし、宮本先生と結婚するんじゃなかったのか?聞くところによると、アカデミーは3年間の合宿訓練があると言うが……婚約はどうするんだ?」
直美は自嘲気味に笑った。「院長先生、彼のさっきの態度を見たならお分かりいただけたと思いますが、彼は私のことなど、もはやどうでもいいのです。あんな人と結婚する必要なんてあると思いますか?」
和彦は事情を察すると静かに頷き、感心したような眼差しを向けた。
「引き際を心得ているな。松浦さんの判断は正しいと思うよ。これからの幸運を祈ってるぞ」
院長室を出たとき、直美の心はとても静かだった。
苦労して勤めてきたこの病院との別れに寂しさは残るが、すぐさま新たな生活への期待感で胸が満たされた。
この人生、こんな場所で終わらせるわけにはいかない。
直美は自分の部署に戻り、退職までの残り3日間で確実に引き継ぎをこなすことにした。
病室の前を通ると、瑞樹が結香に寄り添い、優しくリンゴを剥いている姿が見えた。
さっきまでの剣幕はどこへやら、その表情はこれ以上ないほど温厚だった。
かつて自分が寝込んだ時には一度も看病などしてくれなかった瑞樹を思い出し、直美は目を伏せる。
瑞樹が気が使えないわけではない。彼にとって大切な人間が、これまで自分ではなかっただけのことなのだ。
直美に気づいた結香が声をかけてきた。「あ、松浦さん?」
瑞樹が結香の目線を追って振り返り、直美を見つけると、その瞳は急に鋭いものに変わった。
「おい直美、待て!」
瑞樹が大股で近づいてきて、直美の腕を掴む。「白石さんに謝れ!自分がどれだけのことをしたのか、分かってるのか?」
直美は冷めた目で、すっかり他人のように見える瑞樹を見つめた。
なぜあれほど自分に愛を囁いた相手が、こうなってしまったのだろう?
「瑞樹、頭がおかしくなったなら、病院で診てもらったら?謝罪?何に対して?白石さんが勝手に人の家に押しかけてきたんでしょ?謝るべきなのは彼女の方じゃないの?」
結香が瑞樹の服を掴み、涙目で訴える。「宮本先生、松浦さんと揉めないで……松浦さんが家に入れてくれないなら、私が出ていけばいいだけの話だから。あんな穴だらけのボロ家で過ごすのは、ちょっと辛いけど……」
瑞樹は結香の姿に心を痛め、眉間にしわを寄せた。「心配するな。白石さんたちの家の修繕が終わるまではこっちが責任を持つから。君は治療に専念して。慎也くんのことだって任せてくれればいい」
二人の甘い空気にこれ以上耐えられず、直美は足早にナースステーションへ戻った。
第7話
同僚たちは、直美が退職すると知って残念がった。
「松浦さん、こんなに仕事ができて、もうすぐ看護師長にもなれるはずだったのに……どうして辞めちゃうの?」
「理由なんて決まってるでしょ?あんな宮本先生と白石さんの仲睦まじげな様子を見せられたら、落ち込むのも無理はないわ」
「男のせいで辞めなきゃいけないなんて。この病院には他にも素敵な独身の先生がたくさんいるのに!宮本先生がなんだっていうの?」
直美は苦笑いを浮かべる。「実は、国立特級芸術アカデミーに受かったの。だから、3日後にここを離れなくちゃいけなくて……」
周りの看護師たちが羨ましそうに直美を見つめた。
「おめでとう!さすが松浦さん!国立特級芸術アカデミーに受かったなら、未来が明るいね」
「私も入りたいけど、音痴だしリズム感もないから、来世に期待するよ」
ちょうど看護師長がワゴンを押して近づいてきた。
「松浦さん、国立特級芸術アカデミーへの合格おめでとう。でも、最後の日まで責任を持って仕事をやり遂げてね」
そう言って看護師長はワゴンを直美に渡す。「5番ベッドの薬よ。カルテを確認してから投薬をお願い」
「わかりました。最後まで気を抜かずに頑張ります」
医療に携わる者として、最後まで手を抜くことなく仕事をやり抜くつもりだ。
直美が5番ベッドに向かうと、そこに横たわっていた患者は結香だった。
瑞樹の姿はもうなく、直美の姿を見つけた結香は、皮肉たっぷりの顔で直美を見つめた。
「あら松浦さん。わかったでしょ?宮本先生の心の中には私しかいないって。
あの人があなたと入籍しない理由がわかる?私と慎也を支えられなくなるのが怖いからなのよ?
宮本先生は慎也の父親代わりになってくれたの。まあ、もうすぐ私の男になるんだから、あなたはもう諦めた方がいいと思うわ」
結香の自信に満ちた笑みを前に、直美は鼻で笑った。「そんなに自信があるなら、実際に籍を入れてから自慢しに来てくださいね」
すると結香はゆっくりと袖を捲り上げた。「ねえ、見てこれ」
直美の目に、宝石のブレスレットが飛び込んできた。
それは紛れもなく、宮本家に伝わる家宝で、瑞樹の亡き母・宮本明日香(みやもと あすか)が、将来の宮本家の嫁に渡すよう遺したものだった。
瑞樹は自分たちが結婚する時に、改めて手首につけてくれると言っていたのに。
一度直美が試そうとしたことがあったのだが、瑞樹はそれを強く取り上げた。
「これは宮本家の嫁だけがつけられるものだから、まだつけるな」
いつか自分はこれをつけて、宮本家の一員となる。直美はそう信じていた。
しかしそれは今、結香の腕にはめられていた。瑞樹の気持ちは明らかだった。
瑞樹とは完全に終わると決めていたのだが、自分がずっと憧れていたものが、こともなげに他の女の手に渡ったことで、直美の心は痛く締め付けられた。
結香が冷たく笑う。「松浦さん、どうすべきかはわかってるよね?」
直美は胸の痛みを押し殺し、薬を渡すと事務的に告げた。「一日3回飲んでください。それと、私がどうしようと、あなたには関係ありませんので」
それだけ言うと、直美は背を向けた。
ちょうどすれ違いで、瑞樹が入ってくる。
瑞樹は足を止め、何か言いたげに直美を見つめた。
しかし、先に結香の声が響く。「宮本先生、まだ頭が少しクラクラするの……」
瑞樹はベッドへ歩み寄り、結香に優しく声をかける。「診てあげよう」
次の瞬間、立ち去ろうとした直美に、瑞樹の鋭い怒声が飛んできた。
「直美、君っていう奴は。白石さんがペニシリン系の薬にアレルギー反応を起こすのを知っているくせに、こんな薬を出して……殺す気か?」
第8話
瑞樹の言葉を聞いて、直美は固まった。
そんなことはありえない。先ほどナースカートを部屋に入れた時、薬剤を確認したばかりだが、そこにはペニシリンなど入っていなかった。
「瑞樹、言いがかりをつけるのにも証拠が必要でしょ?適当なことを言わないで。私がいつ白石さんにペニシリンなんて渡したの?」
直美の堪忍袋の緒が、今にも切れそうになる。
そして、結香のために何度も自分を悪者にする瑞樹に、もううんざりだった。
直美は戻って再び薬を確認した。すると、本当にペニシリンが数粒混ざっているではないか……
「松浦さん、私が何をしたって言うの?どうして私にこんなことを?宮本先生がいなかったら、どうなっていたか分からないじゃない!」
結香は涙をこぼし、すがるような目で瑞樹を見つめた。
「直美、君は新人の看護師でもあるまいし、こんな初歩的なミスをするはずがない。わざとやったんだろ?正直に言え」と、瑞樹が怒り声を張り上げる。
しかし、いくら腹が立っていても、患者の命を危険に晒すような真似なんて絶対にしない。ましてやペニシリンを飲ませるなどありえない。
「なんでペニシリンが混ざっているのか、私には分かりませんが、私がしたことではありません。配布前に必ず確認していますので」
「じゃあ何?私が嘘をついているとでも言うの?」と結香が喚く。「私の命に関わることなんだけど?もし宮本先生が気づいてくれていなかったら、死ぬところだったんだから」
直美は深く息を吐き出した。「必ず原因を調査します。でも、心当たりのないことに対して謝ることはいたしません」
直美がそう言い終わるや否や、瑞樹の平手が飛んできた。
「まだ言い訳をする気か?君が手渡したのは事実だろ?一体、白石さんが何をしたって言うんだ?こんなに酷い仕打ちをするなんて!」
白い頬は見る間に腫れ上がり、直美の目から涙がこぼれ落ちた。
何年も愛してきた男が、他の女のために何の確認もせず自分を叩くなんて。最後のかすかな未練も、この痛みとともに消え去った。
「瑞樹。私たち、完全に終わりね」直美は奥歯を噛みしめ、残った気力を振り絞って言い放った。
平手を打ち込んだ手の震えと、直美の殺気立つ瞳を見て、瑞樹の胸に得体の知れない不安が広がる。
しかし、強気な態度を崩すことはできなかった。
「話をそらすな。今は白石さんの話をしているんだ。謝れ」
「冗談じゃないから」心が完全に灰となった直美は、その場から走り去った。
ナースステーションに戻ると、若い看護師が慌てた様子でやってきた。
「松浦さん!ペニシリン見ませんでしたか?ナースカートに置きっぱなしにしてて……」
なるほど、だからペニシリンが結香の薬に紛れていたのか。
瑞樹に釈明しに戻ろうかと思ったが、ふと我に返り、それも無意味だと思った。
証言があったとしても、どうせ彼は最初から自分を信じる気などないのだから。
「ごめん、見てないわ。5番ベッドの病室にも入ったから、そこに忘れているかもしれない」
ほどなくして、若い看護師が開封済みのペニシリンを持って戻ってきた。
「5番ベッドの患者さんのベッドの下から見つかりました。患者さん、今外に出てるみたいなんですけど……開封済みのものが落ちているなんて、不思議ですよね」
不思議なことなんて何もない。
結香にとっては、自分を陥れるための道具にすぎなかったのだから、証拠を隠して当然だ。
直美は、自分の心と体が極限まで疲弊しているのを感じた。
その後2日間は病院に行かず、寮の荷物をまとめることにした。
戸棚の奥には、瑞樹がくれた数少ない贈り物がある。
あれほど大切にしていたのに、今見返せばどれも安っぽい小道具にしか見えなかった。
ヘアゴム、造花、ハンカチ。一番高価な物ですら、小さなラジオだ。
あの宝石のブレスレットに比べれば、無価値に等しいだろう。
直美はまとめてそれらをルームメイトたちにあげた。
「え、これ宮本先生がくれた大事なやつだよね?いらないの?」
直美は淡々と答える。「国立特級芸術アカデミーの合宿訓練は規則が厳しくて持ち込めないの。でも、捨てるには忍びないから、もし良かったら使って」
病院を去る日、外は霧雨が降っていた。もう二度と戻らないこの場所を見つめ、直美はタクシーに乗り込み、新しい未来に向けて進んでいった。