Đang tải thông tin quảng bá...
七年愛した彼に、さよならを
7年付き合った恋人との結婚式を2日後に控え、私はブライダルプランナーに、すべての手配を取り消すと告げた。 担当プランナーは戸惑ったように...
Chương (1)
第1章
7年付き合った恋人との結婚式を2日後に控え、私はブライダルプランナーに、すべての手配を取り消すと告げた。
担当プランナーは戸惑ったように聞いた。
「挙式は明後日ですよ。新郎様ともう一度お話しされなくてよろしいんですか?」
私は3か月かけて作った進行表を閉じ、静かに答えた。
「必要ありません。彼は今ごろスイスで、初恋の相手と式を挙げていますから」
第1話
付き合って7年、紀野尋人(きの ひろと)は一度も私に自分のパソコンを触らせなかった。
今回は出張に出る前、パソコン版ラインを開いたままにしていた。
書斎を片づけていると、机に触れた拍子にスリープが解除された。
画面には、ラインの新着メッセージが表示されていた。
【尋人、本当に今日、茉莉とスイスで式を挙げたのか?】
【入籍はしてないにしても、林美月(はやし みつき)に知られたら大変なことになるぞ】
【結婚式まで、あと3日しかないんだぞ】
【目を覚ませよ!】
尋人の昔からの親友が、ラインで彼を問い詰めていた。
私は机に手をつき、画面から目を離せなかった。
白川茉莉(しらかわ まり)。彼が18歳のころに付き合っていた初恋の人だ。
その後、遠距離になって別れたと聞いている。
もう8年も前の話だ。
私たちの結婚式が目前に迫った今、彼が茉莉と式を挙げるなんて、あり得ない。
机の角を握りしめる手に力が入り、私は瞬きもせず画面を見つめた。彼がどう返すのか、気になった。
ほどなくして、彼から返信が来た。
【本当だ。ちゃんと考えて決めた】
【18歳のとき、茉莉と約束した。彼女が俺に望んだことは、それだけだった。だから、どうしても叶えてやりたかった】
【美月のことは】
そこで一度、返信が途切れた。
しばらくして、次のメッセージが画面に表示された。
【美月は何も知らない。この先も、何もなかったことにする】
そのメッセージを、信じられない思いで見つめた。やがて私は、ふと笑う。
無理だよ、尋人。
もう知ってしまったよ。
私は椅子を引き寄せて座り、かすかに震える手でマウスを握った。そして、尋人と茉莉のトーク画面を開いた。
彼と7年も一緒にいたのに、私は何も知らなかった。
二人は毎日のように連絡を取り合っていた。
茉莉が子猫の写真を送れば、彼は【可愛い。茉莉もな】と返していた。
茉莉が仕事のストレスや上司への不満をこぼすと、彼は優しく返した。
【仕事大変だね。でも、自分を追い詰めないで。俺がついてる】
茉莉のマンションが停電し、暗いのが怖いと絵文字のメッセージを送ると、彼は迷わず【いま行くから待ってて】と返していた。
その日、私は体調を崩して寝込んでいた。
彼は慌ただしく出ていき、私を気遣う言葉ひとつなかった。
私は二人のやり取りを、一つずつ目で追った。そのどれにも、彼の気遣いが滲んでいた。
中でも許せなかったのは、この1ヶ月のことだった。
尋人と茉莉は、結婚式の準備をしていた。
彼は彼女に聞いていた。
【式はどんな感じがいい?雪山が見えるところとか、湖畔のチャペルとか。両方やってもいいし】
いくつものウエディングドレスの写真も送っていた。
【この中だと、シンプルなのと、サテンっぽいやつと、刺繍が入ってるやつ。午後の会議はずらしたから、3時に迎えに行くよ。試着しに行こう】
会場選びはもちろん、フラワーシャワーにするかリボンワンズにするかといった細かな演出まで。
彼は目が回るほど忙しそうだった。
それなのに、私たちの式にはまるで無関心だった。
ガーデンと室内、どっちがいいか聞いても、彼の答えは「どっちでもいい」だった。
ドレス選びに付き合ってほしいと言うと、忙しいから好きにして、と返された。
招待客リストを作り、最後に確認してほしいと頼んでも、彼はやはり「美月が決めて。俺はどっちでもいい」と言った。
彼と茉莉のやり取りを見るまでは、私はずっと、彼はそういう人なのだと思っていた。
しかし、そんな彼が茉莉のためなら、ベールとティアラに関するものだけでも、数十ページの資料を用意していた。
第2話
画面に並ぶ言葉の端々から、彼の気持ちは嫌でも伝わってきた。
私と尋人の7年は、彼にとって何でもなかったのだ。
私は書斎で一晩中座っていた。
……
翌日、会社を休み、親友の桜井遥(さくらい はるか)に付き添ってもらって式のキャンセルに向かった。
「美月、本当にいいの?」
会うなり、遥が心配そうに聞いた。
「決めた」
「尋人と7年付き合って、あさってが結婚式なんだよ。本人に何も言わず、本当に全部キャンセルするの?」
「うん」
「尋人は知ってるの?」
「忙しいの」
「何に?」
私は答えなかった。
遥は少し黙った。
「言いにくいなら、私から電話するよ。7年も一緒にいて、人生の一大イベントだよ。美月ひとりで悩むなんて……」
「彼は別の女との結婚で忙しいの」
私は静かに言った。
遥はびっくりした顔を向け、聞いた。
「今、何て言った?」
私はかすかに笑い、昨夜スマホで撮っておいた、彼のパソコン画面のやり取りを彼女に見せた。
「尋人は昨日、スイスで式を挙げたの。茉莉という、彼の初恋の人と」
遥は黙り込んだ。
彼女の目の縁が少しずつ赤くなっていった。
「美月は昨日、ブライダル会社の人とリハーサルでヴィラに行ってたじゃん?夜遅くまで頑張って、途中で胃が痛いって電話くれたよね。
つまりその時、尋人はスイスで別の女と式を挙げていたってこと?」
私はかすかに笑った。
「うん」
遥はそれ以上、何も聞かなかった。ブライダル会社へ向かう車の中で、ずっと私の手を握っていた。痛いくらい強く。
……
私たちは、郊外の湖畔のヴィラを貸し切り、庭で小さな結婚式を挙げる予定だった。
結婚式専用の施設ではないがブライダル会社と相談し、装花も音響も、料理や衣装、送迎の車まで、一つずつ手配してくれることになっていた。
ブライダル会社の担当者には詳しい事情を伏せて、ヴィラの予約だけ残し、すべてをキャンセルした。
式をキャンセルして家に戻ると、私は荷物をまとめ始めた。
彼と暮らす予定だった新居から、出ていくつもりだった。
そのとき、彼からラインが届いた。
空港のラウンジらしき写真に添えられたメッセージは、【出張終わった。疲れた】
私は返信せず、写真の左下をぼんやり見つめた。
写真の端に、細く白い手が写り込んでいた。薬指にはダイヤの指輪が光っている。
その指輪を、私は知っていた。
去年、彼と婚約指輪を見に行ったとき、店員に勧められたものだ。その店で一番高いモデルで、国内在庫も残り一点だと言っていた。
私はひと目で気に入ったが、彼は派手すぎて私には似合わないと言った。
似合うのは、茉莉だったのか。
スマホを置き、私は自分の服を一枚ずつ畳んでスーツケースに詰めた。
彼のシャツを手に取ったとき、思わず眉をひそめた。
きつい香水の匂いがした。
ジャスミンの香り。
胸元のポケットには、口紅で【まりの!】と書かれたメモが挟まっていた。そのシャツを、パジャマ代わりに着ていたのだ。
7年一緒にいて、初めて知った。
彼は彼女を家に連れてきたことがあるんだ。
しかも、私たちの新居にまで、ほかの女の香りが染みついたシャツを持ってくるとは……
私はそのシャツをそっと元の場所へ戻し、洗面台の片づけに向かった。
そのとき、スマホが鳴った。
また彼からだった。
普段ならラインで済ませる彼が、めずらしく電話をかけてきた。
私はスマホを見つめ、少し間を置いてから電話に出た。
いつもなら冷たくよそよそしい声が、その日は少しだけやわらいでいた。
「何してる?」
「ちょっと片付けしてるの」
「式の準備は順調?」
「……まあね」
「今から飛行機に乗るから、明日の朝には空港に着く。あさっての式には間に合う」
「うん」
「どうした?機嫌悪い?」
「別に。ちょっと疲れただけ」
「お土産あるよ。友人の結婚式でもらったお菓子だ。幸せのおすそ分けだから、美月にもあげたいと思って」
「友人?」
私は思わず聞き返した。
彼は何でもないことのように笑った。悪びれた様子は少しもない。
「そう。友人」
第3話
「ねえ、尋人」
電話の向こうから女の声が聞こえた瞬間、私はスピーカーモードに切り替え、録音ボタンを押した。
「尋人、この指輪、少し緩くない?」
彼は短く答えた。
「ちょっと待って」
少し間をおいて、彼は続けた。
「美月、まだ何かある?なければ切るよ」
私は一瞬ためらいながら聞いた。
「尋人、本当に私と結婚するつもりなの?」
何を今さら、とでも言うように、彼は電話の向こうで笑った。
「当たり前だろ。7年も一緒にいたんだぞ。
今さら俺たちが結婚しないなんて、あるわけないだろ」
私はスマホの画面を見つめた。
3分前まで私は、彼と彼の家族へ、式のキャンセルを知らせるメールを打ち込んでいた。
【二人で話し合いのうえ、私たちの結婚式は中止することになりました】
そのときはまだ、彼の顔を立ててやるつもりだった。
でも今、私はそのメールを削除した。
「わかった」
……
翌日、私は荷物を実家へ送った。
尋人の母から電話がかかってきた。
「美月さん、お昼はうちにいらっしゃい。尋人が帰ってきたの」
少し間を置いて、彼女は笑いながら付け足した。
「茉莉さんっていうお友達も一緒に来ているの。せっかくだから、あなたにも紹介するわ」
尋人の母は、一見とても感じのいい人だった。
彼が初めて私を家に連れていった日、彼女は笑顔でお茶を出してくれた。
私の容姿を褒めたあと、学歴や家庭環境、家事がどのくらいできるのかまで聞いてきた。
まるで面接を受けるみたいで、妙に緊張したけど、一つひとつ丁寧に答えた。
私は、気に入られる嫁になりたかった。
彼女も嬉しそうに、「尋人があなたみたいな人と付き合えて、本当によかった」と言ってくれた。
けれどそのあと、彼女が果物を洗ってほしいと息子をキッチンへ呼んだ時、彼女のため息交じりの声を聞いてしまった。
「惜しいわね。やっぱり前の子のほうがよかった」
前の子。それが茉莉のことだった。
彼は茉莉のことを一切語らなかったが、あとで自分で調べて知った。
それ以来、彼の実家へ行くたび、私はその名前を思い出した。
そして今日、ついに彼女に会う。
私が到着したとき、茉莉はリビングのソファの真ん中に座り、その隣で彼がみかんの皮をむいていた。
7年一緒にいて、彼が私にそんなことをしてくれたことは一度もない。
私を見るなり、尋人の母は立ち上がった。
「美月さん、いらっしゃい」
彼女は私の手を引き、茉莉のほうへ視線を向けた。
「こちらは尋人の同級生。とても優秀な方なの。尋人が結婚すると知って、わざわざ来てくださったのよ。
茉莉さん、こちらが美月さん」
紹介の仕方からして、扱いの差が分かった。
私は何も言わず、空いている席に静かに座った。
尋人の母は、そのまま茉莉と楽しげに話し続けた。
「茉莉さん、スイスでお式の写真はないの?
もっと早く教えてくれればよかったのに」
茉莉は恥ずかしそうに笑った。
「おばさま……」
「もう、まだおばさまなんて呼ぶの?」
尋人の母が笑みを浮かべて言った。
「母さん!」
尋人が不意に声を上げ、素早く私のほうを見た。
「美月がいる」
リビングに、気まずい沈黙が流れた。
尋人の母は、そこでようやく私がいることを思い出したように、気まずそうに笑った。
「ちょっと口が滑っただけよ。私、茉莉さんのこと昔から見てきたから、本当の娘みたいに思っているから……
美月さん、スイスのお菓子どうぞ」
彼女はテーブルの上の箱をこちらへ押しやると、中のお菓子を一つ、私の手に乗せた。
私は勧められるまま口に入れたが、何の味もしなかった。
「ありがとうございます」
私は彼女をお義母さんとは呼ばなかった。
もう、そう呼ぶ気にはなれなかった。
尋人と茉莉がスイスで式を挙げたことを、彼女まで知っていたとは思わなかった。
それでも私は責める気にならなかった。もう、その必要がないから。
明日、私たちの結婚式がなくなったと知ったとき、彼らがどんな顔をするのかを楽しみにすることにした。
……
昼食を終え、私は帰るために立ち上がった。
第4話
尋人が追いかけてきて、エレベーターまで私を送った。
エレベーターの中で、彼がふいに口を開いた。
「母さんに悪気はなかった」
「何のこと?」
彼は少し黙った。
「茉莉に母さんって呼ばせようとしたこと。悪気はないんだ」
私はかすかに笑い、自分の手を見た。
「あなたのお母さん、初めて私に会ったとき、きれいな手ね、苦労したことがなさそうって言ってくれた。
それなのに、あなたの家へ行くたび、食事のたびに洗い物を手伝わされたの。
この7年で、私はあなたの家で数えきれないほど、食器を洗ったの。
でもさっきの食事のとき、茉莉さんには何ひとつ手伝わせなかった」
尋人の顔色がわずかに変わった。
「美月、茉莉はお客さんだ」
「客に母さんって呼ばせるの?」
尋人は黙った。
私はさらに聞いた。
「私にあのお菓子を持ってくるって、誰のアイデア?」
尋人は固まった。
「茉莉が幸せのおすそ分けになるからって」
「あなたもそれでいいの?」
「そこまで考えてなかった」
私はまた笑った。
7年の間に、その言葉を何度聞いただろう。
私の誕生日を忘れたとき、彼は「仕事が忙しくて、そこまで考えてなかった」と言った。
記念日に私と茉莉へ同じブランドのブレスレットを贈ったときも、「同じブランドなだけだ。そこまで考えてなかった」と言った。
婚約指輪のサイズが一つ大きかったときでさえ、彼は「そういう細かいことは覚えてない。そこまで考えてなかった」と言った。
本当に考えていなかったのかどうか、もう私にはわからない。
今となっては、確かめる気にもなれなかった。
私は最後に一つだけ聞いた。
「今なら、私と結婚するのをやめても間に合うよ」
尋人は急に真顔になり、左手で私の手首を強くつかんだ。
「美月、変なことを言うな。俺たちは7年も一緒にいるんだぞ。俺と結婚しないで、誰と結婚するつもりだ。
お菓子が嫌なら捨てればいい。でも今の言い方はないだろ。そんなこと、二度と言うな」
珍しく怒った彼を見て、私は微笑んだ。
「わかった」
エレベーターを降り、私は振り返らずに歩き出した。
その夜、新居に残っていた最後の荷物をまとめた。
空っぽになった部屋の写真を遥に送ると、尋人からメッセージが来た。
【まだ怒ってる?】
【母さんには言っておいた。これからは美月に洗い物させないって】
私は返さなかった。
彼は続けて送ってきた。
【あと12時間で結婚式だな。美月、楽しみ?】
私は、すっかり空っぽになったリビングの真ん中に座っていた。
迷ったけど、やはり返信しなかった。
そのとき、遥がリンクを転送してきた。
【この二人、最低!早く見て!】
開くと、スイスの現地ニュースだった。
【スイスで豪華挙式を挙げたカップル。新郎、愛する人の願いを叶えたかった】
記事には、尋人と茉莉の式の様子が長々と紹介されていた。
尋人が取材を受けている写真もあった。
記者が尋ねている。
「なぜスイスで式を挙げたのですか?」
彼は答えていた。
「妻の願いを叶えてあげたかったです」
私はそのニュースのリンクを保存した。
それから尋人とのトーク画面を開き、返信した。
【とても楽しみ】
送信したあと、私は婚約指輪を外し、彼のパソコンと一緒にバッグへ入れた。
最後にもう一度、空っぽになった新居を見た。
マンションのエントランスでは、遥が車で待っていた。
「どこ行けばいい?」
「式場のヴィラ。置いてくるものがあるの」
車が敷地を出ていった。
私は振り返らなかった。
スマホはマナーモードにした。
さよなら、私の7年。
……
式を挙げる予定だったヴィラに着くと、私は広いリビングの真ん中にあるテーブルに婚約指輪を置き、すぐ隣には彼のパソコンを置いた。
私はマウスを動かし、遥が送ってくれたリンクを開いた。画面には、尋人と茉莉がスイスで式を挙げたという記事が表示された。
そして灯りを消し、外へ出た。
……
翌朝8時。
尋人は茉莉と紀野家の親族、友人何人かと一緒にマイクロバスでヴィラへやって来た。
ヴィラに着いた瞬間、全員が言葉を失った。