妻の愛人にクビにされた僕。実は大財閥の御曹司

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妻の愛人にクビにされた僕。実は大財閥の御曹司

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僕・江崎徹(えざき とおる)が飛行機を降りた直後、妻の美月(みづき)が昔から想い続けていた男と結婚式を挙げるという投稿が目に入った。 ...

Chương (1)

第1章

僕・江崎徹(えざき とおる)が飛行機を降りた直後、妻の美月(みづき)が昔から想い続けていた男と結婚式を挙げるという投稿が目に入った。 急いで会社へ向かったが、エレベーター前で人事部長に止められた。 「あなたは今日付で解雇です。成果も出せない社員を会社に置いておくつもりはありません」 思わず眉をひそめた。ここはそもそも僕の会社のはずだ。 「美月の指示か?」 「ふっ。社長があなたなんかに構うわけないじゃないですか。白川さんの指示ですよ」 あまりのことに、思わず笑ってしまった。いつから白川秋人(しらかわ あきと)が美月の代わりに物を言うようになったんだ? 「二人はどこだ?」 「お二人なら最上階のパーティ会場にいますよ。もっとも、あなたには関係ありませんけどね。あそこは社内でも限られた人しか入れませんから」 僕は黙って人事部長を突き飛ばすと、社員証を取り出し、認証端末にかざした。 「ピッ。最高管理者権限を確認。認証が完了しました」 第1話 僕・江崎徹(えざき とおる)が飛行機を降りた直後、妻の美月(みづき)が昔から想い続けていた男と結婚式を挙げるという投稿が目に入った。 急いで会社へ向かったが、エレベーター前で人事部長に止められた。 「あなたは今日付で解雇です。成果も出せない社員を会社に置いておくつもりはありません」 思わず眉をひそめた。ここはそもそも僕の会社のはずだ。 「美月の指示か?」 「ふっ。社長があなたなんかに構うわけないじゃないですか。白川さんの指示ですよ」 あまりのことに、思わず笑ってしまった。いつから白川秋人(しらかわ あきと)が美月の代わりに物を言うようになったんだ? 「二人はどこだ?」 「お二人なら最上階のパーティ会場にいますよ。もっとも、あなたには関係ありませんけどね。あそこは社内でも限られた人しか入れませんから」 僕は黙って人事部長を突き飛ばすと、社員証を取り出し、認証端末にかざした。 「ピッ。最高管理者権限を確認。認証が完了しました」 会場の入り口に飾られた祝いの装飾を目にした瞬間、僕は思わず足を止めた。 入り口の向こうから、美月の声が聞こえる。 「本日はお忙しい中、私たちの披露宴と息子のお祝いにお越しいただき、本当にありがとうございます。これまで色々と……」 扉を開けると、そこは祝宴の真っ最中だった。 いつも僕には冷たかった義理の母の一ノ瀬翠(いちのせ みどり)が、子供を抱きながら笑みを浮かべている。 そして僕の妻は、大勢の祝福に囲まれながら、見覚えのある男と口づけを交わしていた。 二人が唇を離した瞬間、会場は拍手と歓声に包まれる。その中で、僕だけが拳を握り締めていた。 秋人、この恩知らずが。 秋人が美月を頼ってきたのは、彼の家の会社が倒産した頃だった。 彼を助けたい一心で、美月は結婚して10年になる中で初めて、僕に頭を下げた。 完成済みだったプロジェクトの実績を、秋人に譲ってほしいというのだ。 電話越しに何度も、「この恩は必ず返します」と懇願してきた。 二人が幼なじみだということは知っていた。でも美月は「彼とはもう何もない」と強く言い切っていたんだ。 その後も美月は、「彼には気楽なポストを用意しただけだから」と自分から説明してきた。 今なら分かる。その「ポスト」は、美月の「夫」という立場だったのだ。 「社長は本当に幸せ者ですね!」 「ご主人は業界でも有名なやり手ですし、お仕事もご家庭も順調そのもの。本当に羨ましい限りですよ」 周りの幹部たちが次々に甘い言葉で持ち上げ始めた。 横で翠が得意げに口を開く。 「ええ。秋人くんは有能だし、この子もお父さんにそっくりで、本当に可愛いんだから」 会場は和やかな空気に包まれていた。秋人が幸せそうに美月の腰を抱いている。 その光景を見て、吐き気がした。 「入社当初は実績もなく、美月に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、公表を控えていました。ですが、UIプロジェクトを成功させた今、ようやくこうして皆さんに結婚の報告をすることができます」 その言葉に、僕は思わず鼻で笑った。UIプロジェクトが、いつからあいつの実績になった? あれはずっと僕が担当してきたプロジェクトで、美月を通じて進めていただけだ。 だが、今ならすべて最初から仕組まれていたのだと分かる。 功績を誇らしげに語る秋人を見つめながら、美月が満足そうに笑みを浮かべた。 「秋人は責任感が強いから。誤解を避けるために隠していただけなんです」 「社長、何をおっしゃいますか。白川さんの若さでこの成果は立派ですよ」 賛辞を浴びて、秋人がグラスを掲げようとした。 だがその時、人垣の向こうに立つ僕を見つけ、顔色を変える。 そして、勢いよく立ち上がり、慌てて美月へ視線を向けた。 僕は考える隙を与えず、大股で駆け寄り、そのまま秋人を蹴り飛ばした。 突然の事態に、会場が静まり返る。 「いつからUIプロジェクトがお前の手柄になった?」 真っ先に反応したのは美月だった。彼女は秋人を庇うように僕の前に立つ。 「何するの!」 秋人は彼女を盾にするように身を隠し、背後から僕をうかがっている。 焦りきった彼女を見つめ、僕は冷たく言い放った。 「これが君の言っていた『気楽なポスト』か?まさか、こいつが君の『夫』だと言うつもりか?」 美月が反論しようとした時、経理部長が怒鳴り声を上げる。 「正気か?警備員、警備員を呼べ! うちの社員か?自分が何をしているか分かっているのか?」 僕は周囲の喧騒など気にも留めず、ただ真っ直ぐに美月を見つめ続けた。 「何か言いたいことはないのか?」 第2話 美月が何か言いかけたその時、後ろにいた秋人が彼女を強く抱き寄せる。 そこで僕は、二人の指に指輪がはめられていたことに気づいた。それは、僕と美月の結婚指輪だった。 出張先で失くすのが心配だからと嘘をついて、最初から愛人に渡すつもりだったのだ。 「江崎さん、美月を責めないでください。悪いのは全部僕なんです……」 わざとらしいその芝居に思わず鼻で笑った。僕は近くにあった酒を手に取り、秋人に浴びせた。 美月の顔色が変わったかと思うと、次の瞬間には平手が飛んできた。 「徹!いい加減にして!」 彼女は冷たく言い放つ。 「出ていって。後で説明するから」 叩かれた頬がじんじんと熱を帯びる。それでも僕は冷たい目で翠が抱いている子供を見て、指さした。 「今さら何を説明するって言うんだ?」 張り詰めた空気に怯えたのか、子供が大声で泣き出した。 すると、美月の背後にいた秋人が、突然一歩前へ出た。 「江崎さん、僕のことが気に入らないのは分かります。でも、子供には何の関係もないじゃないですか! 家庭の事情で可哀想だと思って、今まで美月への想いには気づかないふりをしてきました。 もし僕たちの関係が原因で、この子が傷つくなら、結婚なんてしなくても……」 美月は焦って秋人の手を握った。 「そんなこと言わないで!あなた以外とは考えられないわ!」 その言葉に秋人は無理に笑みを浮かべると、振り返って皆にこう言った。 「お見苦しいところをすみません。彼はうちの社員で、昔からの知り合いなんです。 家庭の事情もあって大変そうだったので、美月が力になりたいと言って入社を手伝ったんです。 でも、それを勘違いしてしまったみたいで、美月に特別な感情を抱くようになってしまったんです。 長年つきまとわれてきましたが、今では子供まで巻き込むなんて、本当にどうすればいいのかわからないんです」 僕は秋人の茶番を黙って見ていた。今度はどんな嘘を並べるつもりなのか、少し興味があった。 「最低。恩を仇で返すなんて」 「こんな人、うちの会社には必要ないでしょう、今すぐ処分すべきですよ」 「こんな卑劣な奴、警察に突き出して刑務所にでも入れるべきですよ!」 罵声が飛ぶ中、僕は小さく笑った。 「秋人、昔僕に力を貸してほしいって必死に頭を下げていたのは誰だ? 入社して昇進するために、プロジェクトを譲って欲しいと頼んできたのは誰だ? 必要なら、その時の映像を皆の前で流してもいいんだぞ? 美月、君だってあいつとはもう何もないって言ったよな? 何もないどころか、ずいぶん親密になってたみたいじゃないか? 自分で言ったことも、もう忘れたのか?」 言い終える前に、そばにいた翠がケーキを取り、僕の頭に叩きつけた。 「何を勝手なこと言ってるの! 私はずっと二人の成長を見てきたわ。秋人くんが美月に見合うよう、どれだけ苦労してきたか知ってる? 仕事で結果を出すために必死に働いてきた。その姿を、みんなちゃんと見てきたわ。 それなのに、何の証拠もなしに人を悪者扱いするなんて」 仕事?結果を出すために? 笑わせるな!秋人が本当に自分の力で成し遂げたものが一つでもあるのか! 他の役員たちはすぐに翠に同調した。「そうだ!白川さんがこれまで会社にどれだけ貢献してきたと思ってる!ただの社員が何を偉そうに言ってる!」 「こんなやつ、すぐに追い出せ!」 「社長がお優しいから今まで見逃されていただけでしょう」 第3話 その時、会場の扉が勢いよく開かれ、体付きのいい男が中へ入ってきた。 美月の弟の一ノ瀬岳(いちのせ がく)だった。僕を狙ってここへ来たのは明らかだ。 次の瞬間、岳の蹴りが容赦なく僕の腹に突き刺さった。あまりの痛みに、身を屈める。 「秋人さんの結婚式で暴れてんのはお前か!」 会場から歓声が上がる。岳は僕の髪を掴み、怒鳴り散らした。 「ただの社員が、よくもそんなに偉そうに。身の程を知らないにもほどがある」 歓声の中で、僕は美月を見つめた。 彼女はグラスを指先でなぞりながら、黙り込んでいた。まるで僕がどんな目に遭おうと、興味がないかのように。 「美月、昔の約束を忘れたのか?」 彼女の肩がわずかに震える。そして僕から視線を逸らした。 「秋人とはただの兄妹みたいなもんだって、言ったよな? もし僕を裏切るようなことがあったら、どんな報いだって受ける、そう言い切ったのは誰だ? これからは僕と二人で前を向いて歩いていくって言ったのは全部嘘だったのか!」 すると、美月が冷たい声で言った。 「徹、チャンスはあげたはずよ。 さっき私の言う通りにしていれば、こんな騒ぎにはならなかった」 僕を非難していた人々も、次第に口を閉ざしていく。 そこへ、秋人が険しい表情で前へ出た。 「江崎さん。あなたのお母さんが長年会社で働いてくれていたから、情けをかけてあなたを会社に置いてあげていたんです。 多少問題を起こしても我慢してきましたが、こんな大事な席で根も葉もない話をするなんて! 美月の名誉に関わるんですよ!」 そう叫びながら、彼は僕の腕を掴んだ。 振り払うと、彼は大げさによろめき、近くのテーブルへ倒れ込んだ。 すると、割れたグラスの破片が翠の抱える子供に飛び、会場に悲鳴が響いた。 「子供が!うちの子が!」 彼はわめき声を上げながら、勢いよく立ち上がる。 「江崎さん!どうして子供まで巻き込むんですか!」 口を開く間もなく、美月の蹴りが僕を襲った。 「徹!恥を知りなさい!文句があるなら私に言いなさいよ!」 秋人の茶番を暴こうとした時、突然誰かに引きずられる。 気づけば岳がすぐ横にいた。その腕は万力のように僕の手首を締め上げる。 次の瞬間、瓶が頭の上で砕け散った。 額から血が流れ落ち、僕は地面に叩きつけられた。 割れたガラスの破片が容赦なく身体に食い込む。 意識が遠のく中で、流れ込んだ血で視界が真っ赤に染まった。 岳が僕の胸ぐらを掴み上げ、今にも殴り殺しそうな形相をしていた。 「このクズが、子供にまで手を出すつもりか!」 美月は振り向きもせず、秋人と子供のことだけを心配していた。 「徹、もう謝れば済む話じゃないわ。次は……」 「次は何だ!」 僕は抵抗して岳を突き飛ばす。 血で視界が滲む。傍から見れば、正気を失った人間に見えたかもしれない。 「美月、一ノ瀬家がどうなろうと僕の知ったことじゃない。 だが、君に僕を脅す資格があるのか! 君が社長になれたのは、誰のおかげだと思ってる!」 その言葉に、美月は眉をひそめた。 「何を言っているの?まさか私が今の地位に就けたのは、あなたのおかげだとでも言うつもり?」 第4話 秋人は慌てて美月の手を握り、優しい声で言った。 「美月、江崎さんは自分の思い通りにならなかったから、必死になって君を引きずり下ろそうとしているだけだよ。君が会社のために積み上げてきた実績は、誰もが知っている。 数年前に君が取ったプロジェクトだって、4兆もの大口契約だ。株主の皆さんからも高く評価されたんじゃないか」 その言葉を聞いて、僕は思わず鼻で笑った。よくもあのプロジェクトのことを、まるで自分たちの実績みたいに語れるものだ。 当時、美月は僕の父の会社との面談すら取り付けられず、ビルの前で途方に暮れ、一人で座り込んでいた。 結局、僕が直々に彼女を連れて父のもとへ頼みに行き、父はやっと会ってくれたのだ。 その4兆ものプロジェクトは、最初から最後まで僕が間に立っていたからこそ、決まったことだった。 美月は戻るやいなや、その功績をすべて自分の手柄として報告した。 僕はただの引き立て役だ。 母はこの件を知って失望したが、何も言わなかった。 父も表向きは例の取引を継続していたが、あれ以来、美月の会社との新規の取引は一切絶った。 二人とも、「美月はやめておけ、あんたには手に負える相手ではない」と、何度も忠告してくれていたのだ。 それでも当時の僕は聞く耳を持たなかった。まるで何かに取り憑かれたように、彼女しか見えていなかったのだ。 今思えば、本当に愚かだった。 僕が一歩も引かずにいると、会場の空気が少しずつ変わり始めた。 「そういえば、社長って今まで夫のことは公表してなかったよね?」 「確かに。社長、なんだか動揺してるように見えない」 「江崎さんが言ってること、嘘じゃないような気がするな」 あちこちから上がる疑念の声に、秋人は拳を固く握りしめた。 彼が合図を岳へ送ると、岳はすぐさま手に持っていたワインを床に叩きつけた。 「黙れ!こんなイカれた奴の話を本気で信じるのか!お前ら、自分の立場を分かってんだろうな! 秋人さんこそ、ずっと姉さんの隣にいた人だ! 俺は昔から二人を見てきた、二人がどんな関係だったか、俺が一番よく知ってる!」 僕は思わず鼻で笑った。美月がどうして何度も僕を海外へ送ったのか、やっとわかった。 社内の誰にも、彼女の本当の夫が誰なのか知られたくなかったからだ。 小さい頃から海外経験が豊富だから、海外の取引先との交渉は僕のほうが向いているって言ったのも、すべて出まかせだ! 僕が海外を飛び回っていたこの何年もの間、こいつらの関係は一度だって終わっていなかったんだ! 「いい加減にして!彼を連れ出してちょうだい!これ以上騒がれたくないわ!」 美月が言い終えると、岳が口元を歪めた。 「姉さん、安心して任せて!」 その目に浮かんだ凶暴な光を見て、僕は思わず一歩後ずさる。 「なんだ?今になって怖くなったのか? 秋人さんを殴った時の勢いはどこへ行った!」 僕は美月を見つめた。その視線には、言葉にならない問いが込められていた。 彼女は岳の鍛えられた筋肉を見て一度唇を噛みしめ、何か言い出そうとしたところで、突然秋人に抱きしめられた。 「美月、岳なら大丈夫さ。今回、江崎さんにはきっちり思い知らせてやらないと。 彼は僕たちの大切な子を傷つけたんだ!」 その言葉を聞いて、美月の瞳から最後の迷いが消えた。 岳が床に落ちたグラスの破片を、僕の腕に次々と突き刺すのを止めようともしなかった。 骨の奥まで響くような激痛の中、僕は歯を食いしばって言った。 「僕は江崎会長の息子だぞ!長者番付トップの家系に、こんな真似をしてタダで済むと思っているのか!」 だが返ってきたのは嘲笑だった。 岳は僕の手を踏みつけながら言った。 「まだそんなでたらめ言えるのか!苦し紛れにも程がある!」 「そうだ。江崎会長の息子はずっと海外事業を担当していて、ほとんど戻ってこないって有名じゃないか」 「完全に正気を失ったんだな。疑ってた自分がバカみたいだ」 岳は僕の顎を掴み、殺気を漂わせて言った。 「お前、よくも次から次へとそんな嘘がつけるな。 減らず口もそこまでだ。二度とそんな口を叩けないようにしてやる!」 美月は冷ややかに鼻で笑った。 「徹、本当に頭がおかしくなったのね。 そんな見え透いた嘘で人を騙せると思っているの?江崎会長の名前を軽々しく使って、ただで済むと思っているの? そんな大それた嘘をつくなら、少し痛い目を見たほうがいいわね」 その言葉を聞いた岳はますます図に乗った。 彼は僕の腕を踏みつけ、刺さっていた破片をさらに深く押し込んだ。 彼が続けようとしたその瞬間、会場の扉が勢いよく蹴り開けられた。 「誰だ、私の息子に手を出したのは?」