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十年目のお別れ、忘れてしまおう
私・姫野真紀(ひめの まき)の誕生日に、彼氏の荒木信吾(あらき しんご)がSNSで「今夜はサプライズを」と予告していた。 ところが当日の午後...
Chương (1)
第1章
私・姫野真紀(ひめの まき)の誕生日に、彼氏の荒木信吾(あらき しんご)がSNSで「今夜はサプライズを」と予告していた。
ところが当日の午後、目に飛び込んで来たのは、彼と女性のアシスタントが馬に二人乗りしている写真だった。
彼のシャツのボタンが外れ、晒された胸筋には真っ赤な指の痕がある。
【人生初の思い出、彼に感謝】
コメント欄は盛り上がっていた。
【あの胸筋を触れるなんて羨ましい】
【この体勢、なかなか怪しいぞ】
信吾はそのコメントにわざわざいいねまで押した。
私の心は完全に冷めきっていた。
ずっと彼は、そういうことをするのは私だけだと思っていたのに、どうやら誰でもいいらしい。
私は自ら馬を洗い、痕跡を全て消した。
そして馬場を彼に譲ると決めた。
「残りの馬は誰にあげてもいいわよ、好きに選んで」
彼が喜んでいる様子を見ながら、私は家族が決めたお見合い結婚を受けることにした。
第1話
私・姫野真紀(ひめの まき)の誕生日に、彼氏の荒木信吾(あらき しんご)がSNSで「今夜はサプライズを」と予告していた。
ところが当日の午後、目に飛び込んで来たのは、彼と女性のアシスタントが馬に二人乗りしている写真だった。
彼のシャツのボタンが外れ、晒された胸筋には真っ赤な指の痕がある。
【人生初の思い出、彼に感謝】
コメント欄は盛り上がっていた。
【あの胸筋を触れるなんて羨ましい】
【この体勢、なかなか怪しいぞ】
信吾はそのコメントにわざわざいいねまで押した。
私の心は完全に冷めきっていた。
ずっと彼は、そういうことをするのは私だけだと思っていたのに、どうやら誰でもいいらしい。
私は自ら馬を洗い、痕跡を全て消した。
そして馬場を彼に譲ると決めた。
「残りの馬は誰にあげてもいいわよ、好きに選んで」
彼が喜んでいる様子を見ながら、私は家族が決めたお見合い結婚を受けることにした。
……
私が馬場に着いたのはちょうど午後三時だった。
車を停めてすぐ、遠くに馬にまたがる男女の姿が見えた。
信吾のシャツのボタンは全て外され、ズボンのファスナーすら上がっていない。
こんな距離でも、彼の胸の痕がはっきり見えた。
それは女が興奮した時に残す指の跡だ。
さっき何があったか、バカでもわかる。
私は写真を撮って信吾に送った。
彼はスマホを見て、はっと振り返った。私の姿を認めた瞬間、眉がぎゅっと寄せられた。
アシスタントの澤田美彩(さわだ みさ)が馬から下りようとしてよろめき、そのまま彼の胸に飛び込んだ。
すると彼の耳元で何かささやく。
信吾の表情はみるみる和らぎ、彼女と笑いながら何か言っていた。
私の前に歩いてきた時には、まだ笑みが残っていた。
二人の間に流れる親密な空気を目の当たりにし、私だけが余計者のようだった。
その瞬間、ようやく理解した。私はこれまで、ただ自分自身に嘘をつき続けていただけだったのだ。
彼がサプライズを用意していた相手は、決して私ではなかったのだ。
朝から私はサプライズを心待ちにして準備を重ねていた。
全ての会議を後ろ倒し、接待も全てキャンセル。
家を新しく掃除して飾りつけ、以前信吾が欲しがっていた車まで買っておいた。
今日は私の誕生日であると同時に、私たちの恋愛記念日でもあるからだ。
信吾はすっかり忘れていた。
いや、忘れただけではない。私の大切な馬を他の女に乗せていた。
もしかすると、彼自身ももう私のものではないのかもしれない。
私は拳を強く握りしめ、怒りを必死に抑えた。
美彩が二歩進み出て、信吾の前に立ちはだかるようにして私に謝罪した。
「姫野社長、会社のクライアントが馬術の達人で、信吾さんは成約のために私を特訓しに連れてきてくれたんです。怒っていないでしょうか……」
自分の振る舞いはすべて会社の利益のためであり、私が納得しなければ理不尽だ、と言わんばかりの様子だった。
その様子がおかしくて、思わず笑ってしまった。
こんな風に私に物言いをする人間には、もう何年も出会っていなかった。
「怒ってないわよ。契約が取れなかったら、あなたが責任を取って辞めればいいだけ」
美彩は言葉を失った。
「姫野社長、契約は主に両方の条件次第で、私一人で決められるものでは……」
私は冷笑した。
「じゃあ、あなたが馬に乗った意味は何?」
「私……」
私は冷たい視線を彼女に向けた。
「さっきの様子だと、馬に慣れているみたいね。乗ったことは?」
美彩は私の意図が掴めず、ただ答えた。
「子供の頃に何度か」
彼女があれだけスムーズに馬を操れるなら、馬について全くの無知ではないはずだ。
私の馬がクォーターホースで、数年前に購入した競走馬、価値は四億だと気づいているはずだ。
私がまだ何か問いただそうとすると、信吾が我慢ならずに割り込んできた。
彼は歩み寄り、私の肩を抱いて駐車場へ向かおうとする。
「もういいだろ、美彩。俺が彼女にちょっと体験させてやっただけだ。
それに、お前は馬を飼ってはいるけど普段乗りに来ないじゃないか。午後だけ貸したって、お前なら気にしないと思ったんだが」
私は足を止め、彼の腕から抜け出した。
「気にするわ。仔馬の頃から飼い始めて、ずっと大事に育ててきた馬なのよ。
自分でさえ乗るのを惜しんでいるのに、澤田美彩なんて触れる資格すらないわ!
私の許可なく、彼女を私の馬場に連れてきたじゃない?そんなことして私のこと尊重してると言える?
馬についた痕、何なの?私が検査に出す必要ある?」
第2話
空気が一瞬で張り詰めた。
美彩がうつむいて私に謝罪した。
「申し訳ない、姫野社長。私のミスです。
信吾さん、私のことでケンカしないでください」
彼女は私が嫉妬に駆られて怒っていることを見抜きつつ、瞬時に話を身分の違いを持ち出した。
なかなか賢い。
目尻を赤く染めた彼女を見て、私は思わず笑ってしまった。
「澤田さん、乗馬が好きなんでしょ?馬、贈るわ。好きなときに乗ればいい」
美彩がはっと顔を上げ、信じられないような目で私を見た。
私は冷たく言い放った。
「でも、自分の立場はわきまえて。あなたはただのアシスタントなんだから。自分のものではないものには、手を出さないで」
信吾は私が本気で怒っていると悟り、慌ててなだめに来た。
「真紀、ごめん。今日は俺たちの記念日だし、お前の誕生日でもあるだろ?」
彼は顔を寄せてささやいた。
「今年は誕生日プレゼントを用意してないんだ。その代わり……
俺自身を贈りたい」
体を少しひねり、ネクタイの代わりに首に巻いたリボンを見せた。
信吾と知り合って十年、恋愛して八年。
彼が私の誕生日を忘れるたびに、この手で許しを乞うのだ。
八年のうち、七回もこの手を使っている。
今年こそ特別な年になると思っていた。結婚を約束した年だから。
でも、やはり私の思い込みだったようだ。
最初から最後まで、この恋愛で一番多くを捧げてきたのは、私だけだった。
夕食の間、私はずっと無言だった。
最初は私の機嫌を取ろうと、わざと話しかけて笑わせようとしていた彼も、二三度で面倒になったらしい。
家に帰ってから、やっと彼は以前の明るさを取り戻した。
私の口元に軽くキスをした。
「先にシャワーを浴びてくるから、プレゼントを待ってて」
彼の後について寝室に入ると、ベッドの上に散らばった様々な道具が目に入った。
明らかに彼が後で使うものだ。
これもまた、私が彼にぞっこんな理由の一つだった。
彼はいつだって、私を怒らせた後のなだめ方を知っている。
私は目を伏せ、下着を手に取り、ゲストルームの浴室へ向かった。
だが、入ってすぐに異変に気づいた。
ゴミ箱に、穿かれた女性用の下着が捨ててあったのだ。跡がついたままだ。
あんな大胆なレースやフリルは、私が絶対に使わないタイプだ。
彼は何度も私に穿くように勧めたが、私は一度も応じなかった。
ベッドの端に腰掛け、彼が出てくるのを待った。心は奈落の底に落ちたかのようだった。
透明シャツを身につけた信吾が目の前に来て、自分で猫耳カチューシャをつけた。
「真紀、しっぽはつけてくれないか?」
しっぽを握ったまま、私は動かなかった。
「ゲストルームの浴室のゴミ箱に、どうして女の下着があったの?」
信吾は固まり、明らかな動揺が目に浮かんだ。
「あ、あれは……知らない。
明日、家政婦に聞いてみるよ。間違って入れたのかな」
「家政婦はもう六十過ぎてるわよ。そんなもの、着るはずがない」
「俺は……」
彼は慌ててベッドから立ち上がり、言い訳を探そうとしたが、適切な言葉が見つからない。
その時、彼のスマホが突然鳴った。
スマホに耳を当てたかと思うと、みるみる顔色が変わった。
頭の猫耳を引きちぎるようにして取り、コートを羽織って飛び出そうとした。
私は彼の腕を掴んだ。
「どこへ行くの?」
「美彩が帰り道に事故に遭ったんだ。彼女、この街に身寄りがない。ちょっと行ってくる」
私はそれでも手を離さなかった。
「会社の誰かを行かせたら?あなたがわざわざ行くことないでしょ」
信吾の表情は厳しかった。
「真紀、いつまで自分勝手なんだ?
彼女は一人でこの街で必死に生きてるんだ。ただ少し助けてやりたいだけだ。それにすら嫉妬するのか?
本当に子供じみてる!」
怒りに満ちたその姿を見て、自分の努力が馬鹿らしく思えた。
心の中の最後の期待も、失望に変わった。
去っていく背中を見送り、私は父に電話をかけていた。
「父さん、お見合い結婚、受け入れるわ」
第3話
信吾が去った後、私は五年間住んだこの家を見渡した。
会社が上場した後、私が買って彼に贈った家だ。
ただの適当な住まいではなく、ここで彼と本当の家庭を持ちたいと思ったから。
十年前、私は信吾に一目惚れした。
二年間追いかけ続けて、ようやく彼は私と付き合うことを承諾した。
だから卒業後、彼のために私は家族と断絶し、家業を継ぐのを拒んだ。
それ以来、一度も実家に帰ったこともない。
育った環境や友人たちと離れ、彼とここで暮らし始めた。
彼は先ほど、美彩はここに一人で必死に生きてると言ったが、私にだってそうじゃないか?
この八年間、私は何を得たというのだろう。
彼の嘘と、どんどん遠ざかっていく距離なのか。
父と決別したことで、家族が手がけている業界には一切携われなくなった。
仕方なく、まったく経験のない文芸産業に転身した。
起業したての頃は、私たちは支え合い、毎日どうやって会社を存続させるかだけを考えていた。
あの頃が、私たちの関係が最も良い時期だった。
その後、会社は上場を果たした。
そして全てが変わった。
彼は関わる人が増えるにつれ、野心も大きくなっていった。次第に、現状維持を提案する私の意見を軽んじるようになった。
彼は私が会社の足を引っ張っていると感じているようだった。
それなら、ここで終わりにしよう。
私は一晩かけて自分の荷物をまとめた。明け方になってようやく信吾からメッセージが届いた。
【美彩が足を怪我した、この間は病院で看病することになる】
私は一言だけ返した。
【好きにすれば】
翌日、会社に出社した私はすぐに帳簿を調べ始めた。
その後、弁護士に連絡し、株式分割の手続きを進めた。
かつて会社を設立した時、私は株式を全て彼に譲ろうと思っていた。
しかし彼は、自分が得をするような真似はしたくないと言い、契約書を一通だけ交わした。
契約書には、今後は五分五分で株式分割が可能であり、全ての決定権は私にあり、彼の同意は必要ないと書かれていた。
私は八年前に彼が署名した隣に、自分の名前を記した。
記憶が、この瞬間、まるで幻の矢のようだった。八年の時を超えて、私の心臓を貫いた。
午後二時過ぎになって、まだ朝食を食べていなかったことを思い出した。
ちょうどその時、信吾がドアを押し入り、松葉杖をついた美彩が後ろにいた。
彼は机の上に弁当を置き、私を呼んだ。
「お前の秘書から聞いたよ、ずっと仕事をしていて、まだ食事も取っていないって。またそんな生活を始めたのか?」
彼は困ったように私を見つめた。
「ちゃんと自分を大切にすると、俺に約束しただろう?」
私は美彩を見た。「彼女、入院するんじゃなかったの?」
信吾の口元がほころんだ。
「彼女ね、最近会社が忙しいから休めないって言い張って、どうしても出社したいんだと。しかも今朝、新しいプロジェクトをまとめてきた。
真紀、美彩は本当に優秀なんだよ。昨日のことはもう気にするなよ」
私は立ち上がって机のほうへ歩いた。
「いいわよ」
もうすぐ私はここを去る。確かに気にする必要はなくなる。
私の横を通り過ぎようとした時、美彩が突然私の袖をつかんだ。
「姫野社長、前は私のことでいろいろと不満があったのは承知しています。ご安心ください、これからは身分をわきまえて行動しますから。
私への処分は、撤回してもいいですか。会社のみんなが陰で噂していて……」
信吾が眉をひそめた。「処分だと?」
美彩がスマホの通知画面を開いた。「人事部から、昨日は私が無断欠勤をしたと」
信吾はすぐにでも人事部に電話をかけようとスマホを取り出した。
「彼女が無断欠勤をしたのは事実よ。今電話すれば、もっと噂が広がるだけ」
私の言葉に、信吾の表情はさらに曇った。
「なぜこんなことをする?」
「彼女が確かに無断欠勤をしたからよ。私はただ会社のルールに従っただけ」
信吾が勢いよく立ち上がった。
「ルールでごまかすな!お前が社長だ。ルールなんてお前次第だろう!
俺が彼女を連れ出したのは分かっているくせに、今さらこんなことをするのは、俺を困らせたいのか?」
私はゆっくりと口を開いた。
「尊厳が傷つけられた?悪かったわ」
「お前……」
私たちの険悪な雰囲気を見て、美彩が慌てて謝罪した。
「ごめんなさい。この処分、受け入れますから。姫野社長、信吾さんのことを怒らないでください……きゃっ!」
彼女の体が傾き、そのままテーブルに倒れ込んだ。
テーブルがひっくり返り、その上の料理が彼女の体にぶちまけられた。
「姫野社長、どうして私を突き飛ばしたのですか」
第4話
信吾が私を突き飛ばした。その顔は恐怖に引きつっていた。
彼は美彩のそばに慌ててしゃがみ込む。
「大丈夫か?どこか痛いか?
真紀、怒ってるなら直接俺にぶつけてこい。なんで彼女を巻き込むんだ」
私は不意をつかれて倒れ、割れたグラスの破片に手をついた。
「彼女を突き飛ばしてなんかいない」
信吾が鋭い目つきで私を睨む。
「じゃあ、彼女が自分で転んだっていうのか?」
私は破片を避けて起き上がろうとした。手のひらから血が滴り落ち、白いカーペットの上にじわじわと広がっていく。
一瞬、信吾は言葉に詰まった。しかし、何か言いかけたその口は、美彩の声に遮られた。
「信吾さん、足がすごく痛いよ」
彼はすぐに慌てふためき、スマホを取り出して救急電話をかけた。
「すぐに病院に連れて行く。
真紀、戻ってきたら話がある」
医者と看護師が美彩を担架で運び出す際、彼はたった一分たりとも立ち止まって、私の手当てをさせようとはしなかった。
「信吾さん、姫野社長も怪我をしているよ……」
信吾は鼻先で嘲笑った。
「かすり傷だ、死なないさ。自業自得だ。
彼女がお前を突き飛ばさなければ、こんなことにはならなかったんだ」
私は静かに目を閉じた。そして再び開けた時には、もう一片の迷いもなかった。
離れること――それが私にとって最善の選択だ。
それからの一週間、信吾は家に帰らず、病院にも姿を見せなかった。
ただ、美彩が入院した日に、私にメッセージを送ってきただけだ。
【お前が突き飛ばしたせいで、彼女の足が完全に骨折した。真紀、お前がここまで冷酷な人間だったとは、初めて知ったよ】
【お前のそんな性格、一緒にいることが正解だったのか疑い始めている】
私はとっくに去る決心をしていた。けれど、その言葉を目にした時、胸の痛みを抑えきれなかった。
彼は美彩の一言だけで、監視カメラの映像を確認しようともせずに、私が彼女を傷つけたと決めつけた。
私は返信を打ち込んだ。
【じゃあ、別れよう】
しかし既読がつかない。おそらくもう彼にブロックされているのだ。
私はスマホを放り出し、正式に株式譲渡の手続きを始めた。
会社の半分近くの株式は、現在の価値で少なくとも二千億円にはなる。こんな大金、受け取らないはずはない。
だからすべてを、親しくしている知人に譲渡することにした。
彼らは署名の前に、何度も確認してきた。
「本当に株式を譲渡するのか?そうしたら、もう信吾とは関係が切れることになるんだぞ」
「今まで長い間彼を愛し続けて、プロポーズだって何度も準備してきたんだろう?本当にいいのか?」
私は平静に名前を書き入れた。
「もう、関係ないから」
私が終わらせようと決めたのもある。けれど、信吾もまた、私を望んではいないのだ。
ここ数日、私はよく美彩のSNSの投稿を目にしていた。
【彼が作ってくれた栄養食、すごく美味しい。でも、彼が台所に立つ姿を見ると、すごく大変そうで。これからは私がご飯を作る人になりたいな】
【病人の世話って大変だよね。これからは絶対に怪我をしないようにしよう。だって、彼にそんな大変な思いをさせたくないから】
【寝顔がなんだか可愛い】
最後の投稿は昨夜のもので、写真も添えてあった。
写真には、彼女の隣で眠る信吾の姿が写っていた。顔にはモザイクがかかっていたけれど、すぐに彼だと分かった。
なぜなら、ベッドの横に置かれたネックレスは、私たちが付き合い始めて一年の記念日に、私が手作りしたものだったから。
長い間、彼は一度も外したことがなかった。
なのに今、彼は別の女のために、それを外したのだ。
私は少し考えて、投稿を一つ書いた。
【十年住んだ街を離れるのって、こんなにも簡単なことなんだ】
書き終えると、振り返ることなく空港へと足を進めた。