99ページ目の明日

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99ページ目の明日

GoodNovel Hoàn thành
離婚後女性パワー因果応報

離婚して半年、元夫が突然SNSでトレンド入りしていた。 その理由は……「今の奥さんが飛び降り自殺した」から。 しかも、自殺する時に握りしめ...

Chương (1)

第1章

離婚して半年、元夫が突然SNSでトレンド入りしていた。 その理由は……「今の奥さんが飛び降り自殺した」から。 しかも、自殺する時に握りしめていたのは、長々とした98ページの「家訓」のプリントアウト。 飛び降りた理由? 「割引で1本200円になっていた醤油を買えなかったから」だそうだ。 そして記者が押し寄せてきた。 「この家訓、暗記してました?」 第1話 結婚前、私は夫と「子供を作らない生活」をするって決めていた。 だけど、それが今揺らぎ始めてる。 年末が近づいた頃、夫の母親が一人で家にやってきた。 最初は何も問題なかった。家事もテキパキこなしてくれて、口うるさいけどそこまで気になる感じでもなかったし。 でも最近になって、「子供を作らないつもりだ」って知ってるはずなのに、あれこれ遠回しに言ってくるようになった。 その日、仕事帰りにスーパーでフルーツコーンを買った。 家に帰って、それを「茹でてもらおう」と渡したら、みんなで食べることに。 そのコーンは甘くて、茹でた水までほんのり甘いくらいの美味しさだった。 テーブルの向かいで、お母さんが次々と2、3本平らげる。 「これ、ほんとにおいしいね」 「じゃあ、普段から買えばいいのに」 仕事の連絡を返しながら、私は何気なくそう言った。 その瞬間、彼女の顔が険しくなった。 「どういう意味? 私がケチだって言いたいの? こんな薬漬けのコーンなんて、新鮮なものに勝てるわけないでしょ! 若い人には分からないでしょ」 矢継ぎ早の言葉に、私は完全に言葉を失った。 「いや、そういう意味じゃ――」 だけど聞く耳を持たないらしい。顔を覆うようにして泣き出した。 「子供を育ててみなきゃ、親の苦労なんて分かりっこないの! だいたい、子供を作らない人間に親の気持ちなんて分かるわけがない!」 最初のうちは少し申し訳ない気持ちもあったけど、これを聞いた時点でイラッとしてきた。 「お母さん、それとこれとは別問題でしょ。 子供を作らないのは、結婚前から決めてたことなんです」 彼女は少し間を置いた。どうやら、以前「子供を産めなんて絶対言わない」と断言していた自分の発言を思い出したらしい。 そして、私の夫に向き直る。 「ねえ、知仁(ともひと)。どうしてあんたに『知仁』って名前を付けたか分かる?」 夫は、私と彼女の間で板挟み状態。どうにもできない様子で困り果てていた。 こうして、食卓は険悪なムードのまま終わった。 その夜、私は親友の如月灯花(きさらぎ とうか)にこの話をしてみた。 画面越し、のんびりとネイルをしていた灯花だったけど、話を聞き終えると真剣な顔になる。 「南(みなみ)、気を付けた方がいいよ」 気を付けるって、誰に?一瞬、頭が追いつかなかった。 灯花が画面に顔を寄せ、声を潜めて話し始める。 「子供が小さい時は、親が強い側なの。 でも子供が大人になると、親が弱い側になる。 歳を取れば取るほど、どんどん弱く見えるようになる」 灯花の言葉には独特の重みがあった。 「人って、弱い存在にはどうしたって同情しちゃうのよ。 今の知仁、本当に『子供を作らない』って意志を持ち続けてると思う?」 私は、自分では確信しているつもりだった。 でも灯花の問いかけは、一つずつ私の中の自信を砕いていく。 今日、あの食卓で見た知仁の困った顔が、ふと頭をよぎる。 逃げるように、私は通話を慌てて切った。 「ちょっと、もう寝るね……」 夫とこの話をしっかりしようと決めたけれど、タイミングを掴む前に、あの人は新たな騒ぎを起こした。 その日、家に帰ると妙な像がリビングに現れていたのだ。 それは、よく見る普通の神様の像じゃなかった。 全身が濃い紫色をしていて、狐のように吊り上がった目に尖った顎。そして額の真ん中には、赤く蠢く蛇のような模様。 リビングとバルコニーを繋ぐスペースに、小さな祭壇が作られている。 その中心にはその像が鎮座していて、周りには線香立てやリンゴ、ミカンなどの果物が並べられていた。 仕事から帰ってその像を見た瞬間、思わず声を上げてしまった。 「何これ……! お母さん、これって一体何ですか?」 心の動揺を隠せないまま、私は彼女に尋ねた。 義母は手に香を持ちながら、ゆらゆらと立ち上る煙の中で神妙な面持ちで拝んでいた。 その動作はしっかりとした作法に基づいたものらしく、像に向かって三度、きっちりと頭を下げる。 それが終わると、満面の笑みでこちらを振り返った。 「南、帰ってきたのね!さあ、一緒にお参りしましょう!」 どこの誰だかも分からない神を拝めなんて、冗談じゃない。 私は「体調が悪い」と適当にごまかしてその場をやり過ごした。 夕食を終えたあと、私は夫を寝室に引っ張り込む。 「ねえ、あれ、どう見ても変じゃない?」 だけど夫は慌てたように私の口を手で塞いだ。 「神様に不敬なことを言うな!」 「はあ?」私は思わず呆れた声を出す。 「神様は怒らなくても、神のそばにいる守護者が怒るんだ!」 守護者だって? 馬鹿馬鹿しさに思わず笑いがこみ上げる。 あんな妖怪みたいな像に守護者なんているの? 「あんたたちが拝むなら勝手だけど、でも、私は絶対にごめんだからね」 そう言い放って大あくびをかまし、布団に潜り込む。 その夜、なんとなく知仁がベッドのそばに立っている気配を感じた。 だけど気にしないようにして目を閉じた。 しかし、眠りについたはずなのに、夜中に何度も目が覚めてしまう。寝返りを繰り返し、ようやく深い眠りに落ちた……と思ったその時。 恐ろしい夢にうなされ、悲鳴を上げて飛び起きた。 隣を見ると、布団が冷たい。 知仁はどこだ? 部屋の扉の隙間から、赤黒い光が漏れている。 胸騒ぎを覚えた私はスリッパを履いて、名前を呼びながら扉を開けた。 薄暗い照明の中、知仁が床に跪いているのが見えた。 その手には、四本の線香。 目を閉じて静かに像に祈りを捧げる姿は、異様なほど神妙だった。 だが、私の体中に冷たいものが走る。 「知仁!」 怒りと恐怖が混じった声で叫ぶと、彼はビクッと肩を震わせ、手の中の線香を床に落としてしまった。 第2話 私の悲鳴で驚いたのは夫だけじゃなかった。 義母が、あの大きな体からは想像もつかない素早さで動き、知仁の「母さん!」という声と同時に、私の頬を平手で叩いた。 乾いた音が響く。 私はその場で顔を押さえ、呆然と立ち尽くした。 義母は落ちた線香を丁寧に拾い上げ、一本ずつ念入りに確認する。 折れていないことを確かめると、安堵の息をついて、それを香炉に戻した。 「南」 振り返った義母が私をじっと見つめる。 その目―― 瞳孔が細長く、濁った黄色を帯びているように見えたのは気のせいだったのだろうか。 猫の目みたいに、ぎらついた視線が私を射抜く。 「これからは気を付けるのよ。 神様が怒るから」 その一件のせいで、翌日もずっと落ち着かないまま仕事に向かった。 あの神像が気になって、ネットでいろいろ調べてみた。 正統派の神から怪しげな神、さらには廃れた祠の神様まで…… でも、どこにも義母が持ち込んだあの奇妙な像と一致するものは見つからなかった。 精神的に疲れていた私は、この日、車ではなく電車を選ぶことにした。 地下鉄の駅前で、盲目らしい年老いた男が小さな屋台を広げていた。 その台には「六爻」「水碗占い」といった聞き慣れない言葉が真っ赤な文字でびっしりと書かれている。 血のように濃いその色が、何とも言えない不気味さを漂わせていた。 嫌な予感を覚えた私は、足早にその場を通り過ぎようとした。 だけどその瞬間、男の声が私を呼び止めた。 「お嬢さん、額に黒い影が出ている。大きな厄災が近づいてるよ」 普段の私なら、そんな言葉を聞いても詐欺師扱いして終わりだっただろう。 でも、今日は違った。 今の私は、藁にもすがりたかったのだ。 何か言おうと口を開きかけたその時、通りすがりの短髪の兄ちゃんが鼻で笑った。 「今どき額が黒いだなんて、そんな古臭い手口まだ使うんだな」 そう言いながら、兄ちゃんは私の肩を引いて助言してくれる。 「姉ちゃん、パソコンの見すぎだよ。額に血を一滴たらして、揉んでりゃ治るって!」 言葉の端々は荒っぽいけれど、確かに理屈は現実的だ。 私は迷いながら、もう一歩足を進めようとした。 その時、盲目の老人が私の手に何かを押し付けた。 「これを持っていけ!絶対に捨てるな!」 それは匂い袋――薄汚れた布で縫われた、妙に重みのある小さな袋だった。 たぶん、これも何かの巡り合わせなのだろう。 あるいは、極度の恐怖に陥った人間は、手当たり次第に何かにすがりたくなるのかもしれない。 結局、私はあの深紅色の匂い袋を首から下げることにした。 そして、それをしっかりと保暖インナーの中に隠した。 その夜は何も夢を見なかった。 翌朝、目を覚ますと、頭が久しぶりに驚くほど冴えている。 理由は分からない。でも、なんとなく匂い袋のおかげだと思った。 服の中から匂い袋を引っ張り出し、手に取る。 その瞬間、私は息を呑んだ。 匂い袋の右下部分が、まるごと焦げてなくなっている。 真っ黒な焼け跡が不気味な形を描いていて、昨夜見えなかった「何か」がここにあったことを物語っているようだった。 それが何であれ、間違いなく良いものではない。 ぼんやりと義母が用意してくれた朝食を受け取り、機械的に夫にキスをして、家を出た。 だけど、私は会社には行かなかった。 知仁が十分に家を離れたのを確認してから、震える手でスマホを取り出し、タクシー配車アプリを開いた。 向かった先は、昨日あの盲目の老人に会った駅前だった。 まだ早朝だったので、彼がいるなら長い時間待つことになるだろうと思っていた。 ところが、着くと彼は昨日と同じ場所に座っていて、私を見るなりまるで旧知の仲かのように笑顔で声をかけてきた。 「お嬢さん、来たねえ」 「え、先、先生?」 私は恐る恐る彼の目の前で手を振ってみた。 「やめときな、見えないもんは見えないよ」 彼のあっけらかんとした口調に、私は逆に恥ずかしくなった。 私は老人の前に腰を下ろし、問いかけた。 「あなたが言っていた『厄災』って、一体どういう意味なんですか?」 老人は静かに答える。 「お前さんから、陰の神の匂いがする」 「陰の神……?」 その言葉に背筋がぞくりとする。 「陰の神はモラ族が信仰する邪神だ。 望む供物を捧げれば、その邪神は信者の願いを一つ叶える」 指先が冷たくなっていくのを感じながらも、私は強がって言い返した。 「どうせ、お金を騙し取ろうってつもりでしょ?」 でも、老人は気を悪くするどころか、穏やかな笑みを浮かべて問いかけてきた。 「じゃあ聞くけど、君がその神様にお供えしている線香、何本だい?」 私は答えられなかった。 あの夜、知仁がしていた行動を必死に思い出す。 「た、たしか……4本?」 「ほらな!」 老人は手を合わせながら笑う。 「お嬢さん、普通は神様に線香を捧げるなら3本だろう? 3本なら神様へのお供え。でも、4本は――」 彼は一拍置いて、静かに言った。 「悪霊を招くものだ」 気づいたら、私はその場を後にしていた。 どうやって去ったのか覚えていない。 寒風の中で、彼がくれたお守りを握りしめる。 頭の中には、彼の言葉が繰り返し響いていた。 「彼らは信じている。月光が全ての力の源だと。 満月の夜に月に向かって祈りを捧げる。 そして、陰の神に新鮮な生肉を供えるのだ」 そして今日は、ちょうど満月の夜だった。 その夜、私は目覚ましを午前3時にセットした。 アラームが鳴り、私は無意識に隣の布団に手を伸ばす。 ……やっぱり冷たい。 知仁が、またどこかに行っている。 第3話 私はそっとベッドから抜け出し、つま先立ちで部屋の扉を押し開けた。 すると、強烈な血の匂いが鼻を突き、思わず後ずさりしそうになる。 リビングの中央には、ピンク色の生の豚肉が盆に山盛りにされていた。 知仁はその中から肉の一塊を手に取り、目を閉じて神妙な面持ちで神棚に向かい何かを祈っている。 その横には義母が立っていて、静かにその様子を見つめていた。 彼女の目は、狂気じみた感動に輝いている。 遠目では知仁が何を言っているのか分からなかった。 ただ、彼が祈り終えた後、ポケットから小さなナイフを取り出すのが見えた。 そして、ためらいなく自分の腕をスッと切りつけた。 血が傷口から溢れ出し、その血を一滴一滴、生の豚肉に塗りつけていく。 そうして血塗られた豚肉を神棚に供えると、義母が一歩近づき、彼をぎゅっと抱きしめた。 知仁は彼女の背中を軽く叩きながら、何か慰めるような言葉をかけているようだった。 だが、彼が顔を上げ、私と目が合った瞬間、異様な光景はさらに際立った。 その時の彼の目―― それは紛れもない、抑えきれない「殺意」だった。 でも、すぐにその表情は消え去り、代わりに心配そうな顔を浮かべて、義母を押しのけるようにこちらに駆け寄ってきた。 「どうしたんだ、また悪い夢でも見たのか?」 歯の根が合わないほど震えながら、私はリビングの血塗れの豚肉を指差した。 「これ……一体何をしてるの? どんな神様が……こんな供物を必要とするの?」 知仁は私の視線を追い、その先をじっと見つめた後、深いため息をついた。 「隠しておくつもりだったけど、もう無理だな」 彼は静かに真相を語り始めた。 義母が病気を患っているという。 それも、膵臓がんの末期で、医者からは既に余命を宣告されている状態だ。 「母さんは最後に、家族と一緒に過ごしたいって言って、この家に来たんだ。 でも、地元を離れる直前、あの神様への祈りで奇跡を起こせるって方法を知ったんだ。 さっき見たろ?俺が肉を切って血を塗ったの。 近親者の血は、神様をより強く感動させるんだ」 彼の説明を聞いて、私は納得してしまった。 それどころか、義母に対して今まで抱いていた反感や嫌悪が、急に申し訳なさへと変わっていく。 もうすぐ死んでしまう人に対して、私はなんて酷い態度を取っていたんだろう―― 義母がそっと私の頭を撫でた。 「気にしなくていいんだよ、南。 お母さん、あなたのこと恨んでないから」 その優しい声が、胸の奥に妙な痛みを残した。 義母を抱きしめ、二人で泣き崩れた。 義母は震える手で懐から赤い布に包まれた何かを取り出す。 「これは代々受け継がれてきた家宝の腕輪だよ」 「星川(ほしかわ)家の嫁に渡すものなんだ。今、あんたに託す時が来た」 涙でぼやけた視界の中、私は義母が青みがかった翡翠のような腕輪をそっと私の手首にはめるのを見つめていた。 その後数日、私はずっと車で通勤していた。 あの盲目の老人にはもう会うこともなかった。 しかし、その平穏も長くは続かなかった。 ある日、彼は私の会社のビルの前で突然私を呼び止めたのだ。 「お前さん、騙されてないか!」 私は義母にもらった腕輪を指で触れながら答える。 「確かにあの神様は陰の神様です。でも、義母は癌なんです。あれは義母のための祈りなんです」 老人は杖を地面に強く叩きつけた。 もし殺人が合法だったら、私の頭を叩いていたに違いない。 「義母のためだ?そんなのを信じて、この腕輪をつける羽目になったのか?」 「……どういう意味ですか?」 何かが引っかかる。義母が渡してくれたこれは、星川家に代々伝わる家宝のはずだ。 老人は冷たい笑みを浮かべる。 「千年も信仰されてきた邪神が、豚肉だけで満足すると思ったか? いいからその腕輪をよく見てみろ」 嫌な予感がした。 私は腕輪を外し、じっくりと眺めた。 思い出す。初めてこれを手にした時、腕輪には小さな血のような赤い染みがあった。 しかし今――その赤い染みが広がり、腕輪の大部分を覆っているではないか。 「この腕輪はお前さんの血を吸っているんだ! お前の命が尽きた時、それこそが陰の神への究極の供物になるんだよ。そして、その時願いが成就する!」 一気に背筋が凍りついた。 これまでの儀式なんて、全ては準備に過ぎなかったのだ。 成功のカギは「最後の一滴の生き血」。 しかもそれは――人間のものじゃなければならない。