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人体ムカデ
人体ムカデって聞いたことあるか? まず、成熟した肉ムカデを1万匹用意する。 それと、13人の処女だ。 湿っぽい8月、そいつらを石で囲んだ密閉...
Chương (1)
第1章
人体ムカデって聞いたことあるか?
まず、成熟した肉ムカデを1万匹用意する。
それと、13人の処女だ。
湿っぽい8月、そいつらを石で囲んだ密閉空間にぶち込む。食い物も水もなしに。
30日後。
1万匹の成熟した肉ムカデと女たちが、全く別のモノになる。
第1話
年末、滋賀での素材撮影に回されることになった。観光地のあたりには、いくつかの村に不気味な噂があるらしい。
緑の客車に揺られながら座っていると、隣にいる男が妙に気になった。
そいつは全身を布でぐるぐる巻きにしていて、顔以外は何一つ見えなかった。
一言も発さないまま、まるで死体が包帯を巻かれて転がっているみたいにそこに座ってた。
隣に座っていた若い人とダラダラ話していた。
突然、窓際に座っていた、顔中しわだらけで干からびたベーコンみたいな婆さんが口を開いた。
「ムカデ村に行きな、きっと気に入るわよ」
聞き返そうとした瞬間、男がガバッと顔を上げた。
婆さんが男をジロッと睨みつけた。
「ムカデ村?」と追いかけるように聞いた。
婆さんは話を続けた。
「ああ、ムカデ村さ」
「そこに何があるってんだ?」と首を傾げた。
婆さんのどんよりした目がじっと私を見据えた。「人体ムカデって聞いたことあるか?」
その時、列車が暗いトンネルに滑り込んだ。冷たい風が背中を撫でて、全身に鳥肌が立った。
震える声で聞いた。「それって何だ?」
婆さんの声はひどく枯れていて、壊れたふいごみたいに耳に突き刺さった。
「まず、肉ムカデを1万匹準備するんだ」
「肉ムカデは、石の隙間で見かける普通のムカデとは違う」
「生き物の生肉を食わせて育てるんだ。もっとでかく、太くなって、子供の腕くらいの太さになる」
真っ赤なムカデ、太ってぐにゃぐにゃと曲がる体、無数の細い足が頭に浮かんだ。
全身に冷や汗が噴き出して、胸の奥から吐き気が込み上げてきた。
それでも聞かずにはいられなかった。「それで?」
婆さんは一度窓の外を見てから、また私に視線を戻した。
「あんた、今年いくつだ?」
「24」
少し間を置いて、しゃがれた声で低く呟いた。「ちょうどいい」
婆さんは話を続けた。
「25歳以下の処女を、その1万匹の肉ムカデと一緒に閉じ込めるんだ」
「石を積み上げて作った家だ、光が一切入らないじめじめした場所がいい。肉ムカデはそういうところが大好きなんだよ」
「裸にして、30日間閉じ込める。飲み物も食い物も無しだ。お嬢ちゃん、どうなると思う?」
話を聞いてゾッとした。頭の中には、肉ムカデが女の体中を這い回る光景が浮かぶ。
悲鳴、吐き気、逃げ場なし。
震えながら声を絞り出した。「ムカデが人を噛むのか?」
婆さんの口元が歪んだ。
「肉ムカデは隙間に潜り込むのが大好きでな、人の体に触れると穴を探して中に入ろうと這い回る」
「見つからないときゃ、一噛みして皮膚を破ってそのまま潜り込む」
「人は隅っこに縮こまる暇もなく、体中にムカデが這い回る」
「立ち尽くしているうちに、肉ムカデが山のように体に積み上がるんだ」
「そしてすぐに、体にはムカデが一匹もいなくなる」
「えっ?」と思わず声が漏れた。人肉が全部食われたのか?
「ムカデはどこに行った?」
婆さんが冷たく笑った。
「そりゃあ全部、体の中に入り込んだからさ」
「遠くから見たらな、そいつは頭から腕、足まで全部ちゃんとしてて、まだ立って歩けるように見える」
「でもよく見ると、体中血まみれで穴だらけ、目玉も食われてなくなってるんだ」
「だからこそ、『人体ムカデ』って呼ばれるんだよ」
さらに背筋が凍るのを感じた。
列車は次のトンネルへと滑り込んだ。
車内の明かりが突然消えた。
第2話
周囲は真っ暗だった。
怖くてどうしたらいいのか分からず、何度か咳をした。
「ムカデ村は観光用に作った話だろ?肉ムカデが本当にそんなに危険なら、村人はとっくに農薬で駆除してるはずだ」
婆さんの目には奇妙な輝きが宿っていて、じっと私を見つめていた。
「村人たちは肉ムカデを絶滅させたくなんかないさ」
は?
「人体ムカデを食べれば、どんな病も消える」
「高値で売れるんだよ」
全身の毛が逆立った。
隣の兄ちゃんに目を向けた。
兄ちゃんの顔は真っ青で、この涼しい夜なのに額には汗が滲んでいた。
私と目が合った瞬間、彼は突然立ち上がった。
慌てて荷物を掴んで車両のドアに向かおうとした。
一体何があったんだ?
ここで降りるはずじゃないだろ!
車掌がチェックしてる時に私ははっきり見たんだ。
その瞬間、反対側のシートに置かれたジャケットに目を留めた。
車両のドア付近に人が増え始めた。
すぐに彼を見つけたが、兄ちゃんが私に気づくと、目には何とも言えない複雑な感情が浮かんでいた。
彼は人混み越しに私に向かって激しく首を振り、そのまますぐに人混みに消えた。
追いかけようとしたが、降りる人たちが私たちを遠くに引き離してしまった。
彼は荷物を引きずりながら急ぎ足で歩き、まるで災いが降りかかるのを恐れているようだった。
一体どういうことだ?
人体ムカデに関係してるのか?
首を振って雑念を振り払った。
ただの噂話に過ぎない。
ムカデが人を操って人を食うなんて、そんなことあり得るか?
ドアが閉まる前に、勢いよく飛び乗った。
席に戻ると、周りはすっかり空っぽだった。
あの婆さんも、消えていた。
馬鹿げた夢のような夜が、まるでなかったことのように思えた。
その後の数日間、あちこちを回りながら記録を続けた。
カメラの素材は増えていく一方で、使えるものはほとんどなかった。
そのせいで、人体ムカデのことが頭から離れなかった。
私は記者だ。この取材でまともな素材を撮れなければ、次に待っているのは解雇通知だろう。
私は調べ回ったが、誰に聞いても聞いたことがないと言われた。
こうして、たった三日で興味を失い、帰ることを考え始めた。
そう思っていた矢先に――あの旅人に出会った。
「あそこはもう使われていない山道だ。絶対に行った方がいい」
「その道を進めば、景色は素朴で自然そのもの。人の手が入った跡なんて全くないよ」
彼の帽子は深く被られていて、ふとした瞬間に手首が目に入った。
その皮膚の下で何かが動いているように見えた。
すぐに彼は私の視線に気づいたらしく、慌ててルートマップを手渡してきた。
もしかして、私の見間違いかもしれない。
私は地図に集中することにした――
この道はあまりにも外れすぎていて、途中に宿泊施設なんて一つもない。
まるで私をどこか神秘的な場所に誘い込むかのようだった。
でも……昨日、別のガイドがあそこには行くなと言っていたんだ。
「あのガイドの言うことなんか信じるなよ。あっちは宿泊施設が少ないし、観光地として村人が協力してないから、手数料を取れないだけだ」
「心配すんなって。行かないと一生後悔するぜ」
「これまで誰も事故なんか起こしてないんだ。地図があるんだから心配いらないだろ?」
村?ムカデ村のことか?
私はその言葉にすっかり引き込まれた。
もっと聞きたかったが、男はすでに遠くに行ってしまった。
耳元には私の息遣いと、風の音、それに途切れない虫の鳴き声だけが響いていた。
婆さんの話と、兄ちゃんの青ざめた顔が頭の中で繰り返し浮かび上がる。
あんな激しい反応が、ただの恐怖の噂話のせいだっていうのか?
それとも、本当にただの伝説じゃないのか?
そんな考えが頭をよぎった瞬間、近くの草むらからカサカサと音がした。
考えが現実に引き戻されて、心に不安が広がった。
まだ午後2時だというのに、空は妙に暗くなり、木の葉の隙間から漏れる微かな光が道を照らしていた。
地図に従って歩き続けると、後ろから聞こえるカサカサという音がどんどん近づいてきた。
まるでムカデの腹が腐った葉に擦れ、多数の足が地面の枯れ枝を這い回っているようだった。
それらはすぐに私を追いつき、ズボンの裾から体を這い上がり、血肉の中に潜り込んできそうだった。
皮膚と肉が刺し貫かれるような痛みが感じられる気がした。
自然と足が速くなった。
廃墟となった古道は所々が擦り減り、どこも苔に覆われていた。
「あっ!」
耳元で風の唸り声が急に速くなった。
足首に鋭い痛みが走り、階段で転んで四肢の骨が砕け散ったように感じた。
最後の段まで転がり落ちて、立ち上がる暇もない私の目に——
次の瞬間、さらに恐ろしい光景が目に飛び込んできた……
携帯の微かな光の下、私の手には何か得体の知れないものが張り付いていた!
どんなに腕を振り回しても、それはしっかりと張り付いて離れない。
そいつは何の抵抗もなく私に貼り付き、長くて柔らかい体が血管に沿って上下に揺れ動いていた。
恐る恐る携帯を使って照らしてみた。
這い回っているんじゃない!皮膚の下で蠢いているんだ!
震える手で服の裾を引き裂いた。
それだけじゃない……手だけじゃなく、腕も……足も……腹までも!
白く滑らかな肌の下で、無数の隆起がひっきりなしに動いていた。
これは……