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脱毛症の親友は私に母乳を求めてきた
親友の美香が深刻な脱毛に悩んでいた。母乳で頭皮を洗うと毛根が活性化し、髪が生えやすくなるという噂を聞いて、私に母乳を分けてほしいと頼...
Chương (1)
第1章
親友の美香が深刻な脱毛に悩んでいた。母乳で頭皮を洗うと毛根が活性化し、髪が生えやすくなるという噂を聞いて、私に母乳を分けてほしいと頼んできた。
吐き気を催すような要求だった。私は娘の分しか母乳が出ないからと、きっぱりと断った。
仕方なく、美香はネットで高額な母乳を買い漁ったが、その母乳にウイルスが潜んでいて、梅毒に感染してしまった。
それなのに彼女は全て私の娘のせいだと思い込み、真夜中に家に忍び込んで、自分の抜け落ちた髪の毛で赤ん坊の娘を絞め殺した。
真相を知った私は、まず彼女の髪の毛を根こそぎ抜き取り、包丁で刺し殺した。
目を開けると、美香が母乳を借りに来たあの日に戻っていた。
第1話
赤ちゃんの泣き声が私の意識を現実に引き戻した。慌てて横を見ると、そこにいる娘の姿に、私、山田優子(やまだ ゆうこ)は自分が生まれ変わったことを悟った。
お腹を空かせて泣いているさくらちゃんを優しく抱き上げ、服をまくって授乳を始めた。
前世では、親友の鈴木美香(すずき みか)が「母乳で頭を洗うと毛根が活性化し、髪が生えやすくなる」と分けてほしいと言ってきたけど、あまりにも非常識な願いだったので断った。
それなのに彼女はその噂を信じ込み、ネットで高額な値段で母乳を買い集めていた。
ところが、その母乳には病原体が含まれていて、彼女は梅毒に感染してしまった。
それなのに彼女は、私の娘が母乳を独り占めするから分けてくれなかったのだと思い込んでいた。
もし私が分けてあげていれば、こんな恐ろしい病気にはならなかったはずだと。
彼女は自分の抜け落ちた髪の毛を全部集めて紐を編み、私と夫、山田健一(やまだ けんいち)が仕事に出ている隙に家に忍び込み、生後わずか四ヶ月の娘を絞め殺した。
帰宅して目にしたその光景に、私はその場で気を失ってしまった。
意識が戻ると、私は「美香を殺してやる」と叫び続けた。
健一は「落ち着いて、まずは警察に届けよう」と必死に諭した。
捜査の結果、美香は精神的なショックによる過剰行動として、有期懲役刑が言い渡された。
でも目を閉じるたびに、あんなに幼いさくらちゃんの体中が青あざだらけになった無残な姿が浮かんでくる。
まだ赤ちゃんだったのに、どうしてこんな残酷な目に遭わなければならなかったの?
私の大切なさくらちゃんを殺しておいて、たった十数年の刑務所暮らしで済むというの?
私は怒りに任せて美香の家に押し入り、彼女の髪を掴んで、根こそぎ抜けるまで引きちぎり続けた。
「髪の毛が命より大事なんでしょう?今度は丸坊主になって地獄に落ちなさい」
美香は顔を引きつらせ、床に這いつくばって泣き叫んだ。
「お願い、許して。本当に申し訳ありませんでした」
さくらちゃんの死を知った瞬間から、私の心は死んでいた。歯を食いしばって、一字一句はっきりと告げた。
「悪事を働いた者には、必ず天罰が下る」
そう言い放つと、彼女の懇願も聞かずに、手にした包丁を振り下ろした。
第2話
私は二度と生きられるとは思っていなかった。美香には相応の報いを与えたのだから。
でも神様は私を憐れんでくださったのか、さくらちゃんを失ったままで終わらせず、もう一度さくらちゃんを守る機会を与えてくれた。
美香とは小学校からの付き合いで、十数年来の親友同士だった。
そのため、彼女は私の家の暗証番号も知っていた。それが後になって、取り返しのつかない事態を招くことになるとは。
前世での出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡る中、さくらちゃんはすっかりお腹いっぱいになっていた。
私の腕の中で、すやすやと眠っている。
手を伸ばして、さくらちゃんの口元に残った母乳を優しく拭き取った。
さくらちゃんは良い夢でも見ているのか、指をくわえて嬉しそうな寝顔を見せている。
その姿を見ていると、涙が溢れてきた。失って、また取り戻せた喜びと切なさが込み上げる。
夫は私の様子を心配そうに見て、慌てて声をかけてきた。
「どうしたの?さくらちゃんが強く吸い過ぎて痛かった?」
私は首を振って、大丈夫だと答えた。
今すぐにやるべきことは玄関の暗証番号の変更だ。美香が二度と入れないようにしなければ。
私が親友だと信じていた時、彼女は私を都合のいい道具としか見ていなかったのだ。
時計を見ると、前世で美香が母乳を分けてほしいと言ってきた時刻まであと5分。
そして予想通り、5分後にLINEが届いた。
「ゆうちゃん、母乳を少し分けてもらえない?最近寝不足で抜け毛がひどくて、このままじゃ薄毛になっちゃいそう。
母乳で頭皮マッサージすると毛根が活性化し、髪が生えやすくなるって聞いたから、少しだけ分けてほしいんだけど」
断りの返信を打とうとした瞬間、インターホンが鳴った。
「ゆうちゃん?家にいないの?あれ、ドアロック開かないんだけど、暗証番号変えた?」
返事をしないでいると、ドアを激しく叩き始めた。
「ゆうちゃん?この時間なら絶対家にいるはずなのに」
突然、ドアを叩く音が止んだ。帰ったのかと思った矢先。
次の瞬間、彼女はドアを蹴り始めた。無理やり開けようとしている。
「さっき下から電気ついてるの見たのに。なんで開けてくれないの?私、何か悪いことした?」
夫は30分前に緊急手術の連絡を受けて病院に駆けつけ、私はまだ産休中。今は私とさくらちゃんだけ。
本当は美香にドアを開けるつもりはなかったけれど、彼女の騒ぎ方はエスカレートする一方で、近所迷惑も無視できなくなってきた。
第3話
私は急いで浴室に駆け込み、髪を濡らしてタオルを頭に巻き、ドアを開けに行った。
「うるさいわね。シャンプー中だったから、チャイムも聞こえなかったのよ」
「それに、そんなに急ぐような用事?」
すると美香は逆に私を詰問してきた。
「なんで暗証番号変えたの?」
「同じ番号のままだと危ないって聞いたから、定期的に変えることにしたの」
美香は髪をかき上げて見せた。かなり広い範囲で髪が抜け落ち、頭皮が透けて見える。
思わず吹き出してしまう。
「あら、これって円形脱毛症じゃない?」
「ゆうちゃん、どうしよう。まだ20代で独身なのに、このままハゲちゃったら誰も振り向いてくれなくなるわ。
育毛シャンプーも色々試したけど、全然効果なくて。最初は少しずつ抜けてたのに、この2週間でごっそり抜けちゃって。
ネットで見たんだけど、母乳で頭皮マッサージすると毛根が活性化されるって。
私、焦っちゃって......だから分けてほしいなって」
私は困ったような表情を作った。
「分けてあげたいのは山々だけど、もう出なくなっちゃって。
さくらちゃん、生まれてからほとんど粉ミルク飲まなかったでしょ?
私も体調良くなくて、この前から母乳が止まっちゃったの」
美香は私の胸を疑わしげに見つめながら言った。
「もしかして、分けたくないから適当なこと言ってるんじゃないの?」
「まさか。親友なのに、そんな些細なことで嘘つくわけないでしょ」
「信じられない。確かめさせて」
彼女は手を伸ばして母乳が出るか確かめようとした。案の定、一滴も出ない。
事前に母乳を全部搾って冷凍しておいて正解だった。危うくバレるところだった。
私は諦めたように言った。
「ほら見て。信じてくれなかったでしょ。本当に出ないのよ」
美香は取り乱し始めた。
「どうしよう、私、本当にハゲちゃうの?」
私は慰めるふりをした。
「母乳で頭皮マッサージすると髪が生えやすくなるなんて聞いたことないわ。
ネットの情報を簡単に信じないで。ちゃんと皮膚科に行った方がいいんじゃない?」
「もっと早く言えば良かった。もう最悪」
美香はため息をついた。
「さくらちゃんは?私の可愛い姪っ子、久しぶりに会いたいな。随分大きくなったでしょ?」
「今ミルク飲んで寝たところなの」
「ちょっと見たいな。久しぶりだし、会いたかったの」
見せたくなかったけど、彼女は勝手にさくらちゃんを抱き上げてしまった。
さくらちゃんは恐怖を感じたのか、泣き止まなかった。
「どうしたの?
前は私が抱っこしても平気だったのに、今日は抱いた途端に泣くなんて。
子供って本当に困るわね」
彼女がさくらちゃんを叩こうとする手を上げたので、私は慌ててさくらちゃんを奪い返して抱きしめた。
「そんなに慌てることないじゃない。本気で叩くわけないでしょ。
ただ脅かしただけよ。義母さんに向かって暴れるからいけないのよ」
美香はさくらちゃんを睨みつけながら言った。
「お母さんの母乳を全部飲んじゃうから悪いのよ。
もし私がハゲちゃったら、あんたの髪の毛全部むしり取ってやるからね」
やっと泣き止んだと思ったのに、その言葉を聞いた途端、さくらちゃんはさらに大きな声で泣き出した。
「面白いわね。こんな小さい子が私の言ってること分かるなんて」
娘がこれ以上泣かないように、私は美香を玄関まで押し出した。
「もう帰って。さくらちゃん、怖がっちゃうから」
「ちょっと待って......」
美香は部屋の中を見回してから、私を見つめた。
「さっきさくらちゃんの匂い嗅いだけど、粉ミルクじゃなくて母乳の匂いがしたわ。嘘ついてるんじゃないの?」
私は突然怒り出した。
「そんなことする必要ある?長年の親友なのに、そんな風に疑うなんて。美香を信じてた私がバカみたい。
それに今は母乳もミルクも似たような匂いになってるのよ。
子供産んだことないからわからないでしょうけど」
「そこまで疑うなら、もういいわ。私にとってあなたはもう友達じゃない」
私の怒りを見て、美香は急に態度を軟化させた。
「ゆうちゃん、ごめんね。でも、暗証番号教えてくれない?私たちの間に秘密はないって言ってたじゃない」
美香は私の言葉を疑っていた。
この時点で暗証番号を聞く本当の狙いは見え見えだった。
暗証番号を聞き出して、私が留守の間に家に忍び込み、母乳を探し回るつもりに違いない。
「美香、私たち、もう子供じゃないの。昔みたいにはいかないわ。プライバシーだってあるでしょ。
この前だって、何も言わずに入ってきて、私と健一の大事な時間を邪魔したじゃない。健一ったら二週間も私に触れられなくなったのよ」