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夫の助手席に親友のイヤリングを見つけた話
夫が運転する車で、親友との茶会に向かう途中、助手席の隙間に使い捨てコムとイヤリングを見つけた。 放心状態のままレストランに着くと、親友...
Chương (1)
第1章
夫が運転する車で、親友との茶会に向かう途中、助手席の隙間に使い捨てコムとイヤリングを見つけた。
放心状態のままレストランに着くと、親友は満面の笑みで私を抱きしめたが、彼女の耳に残された片方のイヤリングが一瞬で私の心を引き裂いた。
私は何も言わなかった。その夜、夫の親友のベッドに潜り込んだ。
後になって、航生は目を赤くして怒鳴りつけてきた。
「なんでだ!」
私は微笑みながら、そばにいる男性の胸にもたれかかった。
「助手席で燃え上がる恋情なんて珍しくないわ。あなただけじゃないもの」
第1話
助手席の隙間に使い捨てゴムが挟まっているのを見つけた瞬間、私はまるで全身が凍りついたように動けなくなった。頭の中は真っ白だ。
航生と私はこの10年間、ずっと恋人だった。
私たちは人生で最も輝かしい時期に出会い、愛を育んだ。彼は私の青春そのもの、私の人生で最も美しい記憶だった。
大学時代、私たちは遠距離恋愛をしていたが、それでも別れることはなかった。数え切れないほどの昼夜、数千キロ離れた距離を越えて電話でお互いへの思いを伝え合った。
私が受話器越しに泣き崩れると、彼は黙って聞きながらも目に涙を浮かべていた。
誰もが私たちを応援してはくれなかった。世間では遠距離恋愛なんて無理だと言われていた。
しかし、大学卒業の日、彼は私の卒業式に突然現れた。全員の前で片膝をつき、生活費をすべて使い果たして買った指輪を差し出した。
あの日の午後、陽射しがとても温かかった。だが私の目に映る航生は、それ以上に輝いていた。
その頃の彼は少年らしい純粋さを宿し、瞳には確かな決意があった。
「南波に出会ってからの毎日は、思い出すだけで胸が痛くなるほどに甘くて苦しいんだ。君が僕の未来からいなくなるなんて、考えるだけで怖い」
「今のプロポーズは未熟だし、無責任だって思われるかもしれない……」
「でも、僕はただ君とずっと一緒にいたいんだ」
「南波、僕と結婚してくれないか?」
その日のことをすべて思い出すことはできない。指輪をどうやってはめたのかも覚えていない。ただ、周りの同級生たちが盛り上がり、私が涙を流し、航生が泣きながら私を抱きしめ、低い声で誓ったことだけは覚えている。
「一生君を大切にする。信じてほしい」
私は彼を信じた。そしてその信頼は5年続いた。
大学を卒業してすぐ、私たちは結婚し、友人たちからも羨まれる模範夫婦となった。
航生は確かにその約束を守ってくれていた。彼は私を溺愛し、手厚く守ってくれた。
料理でさえさせたがらなかった。私が初めて料理をしたとき、指を切ったのを見て、彼は目を赤くしながら包帯を巻き、私の手の甲にそっとキスをした。
「南波が傷つくと、心が痛むんだ」
私はこの世界で一番幸せな女性だと思っていた。だからこそ、両親の反対を押し切り、見知らぬ街に嫁ぐ決断にも後悔しなかった。
私は賭けたのだ。彼は他の薄情な男性たちとは違う、と。
私は賭けに勝ったと思い込んでいた。だが、予想もしなかった裏切りが訪れることになる。
愛し合ってから10年、結婚して5年目のことだった。
私は世界が崩れるような裏切りを目の当たりにしたのだ。
第2話
助手席にあった使い捨てゴムに吐き気を覚え、思わずえずいてしまった。
それを車外に投げ捨てると、足元のマットに光るものが見えた。拾い上げてみると、それはイヤリングだった。
胸が冷たく締め付けられる。
それがあの女性のものだということは明らかだった。
震える手でそのイヤリングをバッグにしまい、顔から血の気が引いた。
そのとき、車のドアが開き、航生がスイーツの入った箱を手に笑顔で近づいてきた。
「ほら、君の大好きなスイーツだよ。これ、カフェで優絵乃と一緒に食べて」
私は彼をじっと見つめ、必死に涙をこらえた。
聞くべきか?
問い詰めるべきか?
それとも、いっそすべてをぶちまけるべきか?
質問が何度も口の中を巡ったが、結局、私はそれを飲み込んだ。
聞く勇気がなかった。答えを知るのが怖かった。
私の様子がおかしいことに気づいたのか、航生は心配そうに私の髪を撫でた。
「どうした?気分が悪いのか?病院に行こうか?」
長い沈黙のあと、私はかすかに首を横に振った。
「優絵乃のところに行こう」
今はただ、優絵乃に会いたかった。彼女のそばでなければ呼吸ができなかった。
優絵乃は幼い頃からの親友だ。私たちのすべてを知っている。彼女は私のためにこの街に引っ越してきてくれた。
航生との仲がうまくいかないとき、私はいつも優絵乃の家に行った。彼女は私と一緒にお酒を飲み、映画を見て、深夜まで私を抱きしめて慰めてくれた。
「こんなとき、南波のそばにいるためにここに来て本当に良かったって思うんだ。南波が頼れる人がいなかったら、きっと自分を許せなかったの」
優絵乃は親友であり、幼馴染でもあり、この街での唯一の家族だった。
だからこそ、今の私は優絵乃以外に助けを求める相手がいなかった。
航生は少し疑問を抱いていたようだが、それでも私をカフェまで送ってくれた。
「優絵乃とゆっくり話して、後で迎えに来るよ」
私は慌てて首を振った。
「いいの、今日は優絵乃の家に泊まる」
そう言い残して車を降り、振り返ることなくカフェへ駆け込んだ。
遠くに、優絵乃が隅の席に座っているのが見えた。
私はもう涙を抑えきれなかった。頬を伝う涙を拭うこともできず、嗚咽交じりに声をあげた。
「優絵乃、優絵乃!」
優絵乃は私を見るなりすぐに立ち上がった。もともと満面の笑みだった彼女の表情は、私の涙を見た途端に一気に沈んだ。
「南波、どうしたの?何があったの?」
「泣かないで、もう大丈夫だよ、私がいるから!」
私は優絵乃の手を握りしめ、涙をこらえながらしゃくり上げ、息も絶え絶えで、ほとんど言葉にならなかった。
「私……航生が……」
しかし、一言も言い終わらないうちに、私は優絵乃の耳に目を奪われた。
優絵乃の左耳には片方だけイヤリングがついていて、反対側のイヤリングはいつの間にか消えていた。
そして彼女の左耳のイヤリングは、私にとって見覚えがありすぎるものだった。
というのも、もう片方が今、私のバッグの中に静かに横たわっているからだ。
耳鳴りがした。周囲の音が完全に消え去った。
第3話
数分間、私は何の音も聞こえなかった。
胸が引き裂かれるような痛みを感じ、心臓が無理やり抉られたかのようで、血がどっと溢れ出て、床中に撒き散らされるようだった。
優絵乃は心配そうな顔をして、何度も私に問いかけてきた。
「南波、一体どうしたの?」
「なんで泣いてるの?航生にいじめられたの?」
「ちゃんと話してよ!彼が南波に何かしたなら、私が代わりに仕返ししてあげるから!」
私は彼女の顔をぼんやりと見つめていた。以前なら、彼女がこんなふうに言ってくれるたびに感激して、心が温まる思いがしていた。
しかし、今この瞬間、彼女の「怒りに燃える」表情を見ても、感じるのは恐怖だけだった。
信じられない気持ちだった。私にとって命よりも大切な、この10年間を共にした二人が、私を裏切るなんて。
圧倒的な恐怖が押し寄せ、体が冷水に浸されたかのように冷え切ってしまい、指先から体温がすべて失われていくのがわかった。
どれくらいの時間が経ったのかわからないが、やっと声を取り戻すことができた。
目の前にいる、突然見知らぬ人のように思えた親友に向かって、私はかすかに首を振った。
「なんでもないよ、航生とちょっと喧嘩しただけ」
優絵乃はそれを聞いて、笑顔で私を抱きしめた。
「ああ、そういうことね!また何か大変なことでもあったのかと思ったよ!南波って本当に航生に甘やかされすぎだよ。でも彼ってめったにいないぐらいの良い旦那さんだと思うよ?だから、そんなにわがまま言わない方がいいってば」
「言っておくけど、もし彼が南波じゃなくて別の人の旦那さんだったら、私がとっくに奪い取ってたよ!」
胸がズキンと痛んだ。こんな堂々とした言葉を、どうして今まで疑わずにいられたんだろう?
なぜ、こんなにも彼らを信じていたんだろう?
私が愚かだったからなのか?
優絵乃に手を引かれ、席につくまでしばらくの間、やっと気持ちを落ち着かせることができた。
彼女が片方の耳にだけ残ったイヤリングを無造作にテーブルに置いているのを見ながら、私は低い声で尋ねた。
「そのイヤリング、どうしたの?どうして片方だけ?」
優絵乃は無意識に耳に手を当て、瞳に一瞬の動揺が走った。
「ああ、午前中まではあったんだけど、たぶん友達と街を歩いてる時にどこかで落としたのかな」
だからか、だから航生は今日の午前中、急に会社に行く用事ができたと言って出かけたんだ。
あの汚らわしいものは、今日の午前中に車の中で使われたのだろう。
胸がムカムカしてきて、吐きそうになった。
「体調が良くないみたい。先に帰るね」
私の青ざめた顔を見て、優絵乃はそれ以上何も聞かずに何度も頷いた。
「わかった、また日を改めて会おう。ゆっくり休んでね」
彼女が言い終わるのを待たず、私はカフェから逃げるように走り出た。
深夜の風が体中を貫いた。
ふと、航生の車に搭載されたドライブレコーダーのデータが私のスマホと同期していることを思い出した。
街頭に立ち、震える手でアプリを開き、今朝の映像を再生した。
案の定、しばらく再生したところで優絵乃の馴染みのある声が聞こえてきた。
「遅いじゃない。まさか会いたくないの?」
続いて航生の声が、不機嫌そうに響いた。
「家にいる時に電話するなって言っただろ。南波は僕のスマホを解除できるんだ。もし彼女に電話を取られたらどうなっていたか」
「南波、南波。口を開けば彼女の名前ばっかり!そんなに彼女を愛してるなら、どうして私と寝たのよ!」
続いて訪れたのは沈黙だった。
その後、優絵乃は態度を変えた。
「もういい、喧嘩するために呼び出したんじゃないの……」
「航生、久しぶりに会えて嬉しいわ。会いたかったの」
「毎晩航生の夢を見るの。航生の家に押しかけたいぐらい会いたかったけど、ずっと我慢してた」
「だって、私は航生が大事だから。困らせたくないの……」
「肩書きなんてどうでもいい。航生がいればそれでいいの!」
その後、甘ったるい水音と、恥ずかしいほど露骨な男女の絡み合う音が響き始めた。
その甘美な吐息が、私の耳元で情話を囁いたあの声が、今は別の女性に不愉快なほどの汚い言葉を投げかけていた。
「優絵乃、僕の優絵乃……」
「君の上でだけ、僕は満たされる」
「南波はガラスみたいだ。壊れやすくて、ちょっとのことで割れてしまいそうで」
「でも、君は違う。僕の欲望をすべて満たしてくれる」
彼らの一言一言が、まるで刃物のように私の心を抉り続けた。
私はとうとう胸を押さえ、こらえきれずに嘔吐した。地面に膝をつき、みじめに崩れ落ちた。
どうして?
どうして私がこんな目に遭わなければならないの?
どうして私にこんなことをするの?
身を引き裂かれるような耐え難い痛みで、その場で死んでしまいたい気持ちだった。
でも、どうしても声が出せず、必死に息をしようとしても呼吸ができない。
今にもこの真夜中に死んでしまうのではないかと思った瞬間、横から車が急ブレーキをかけて止まった。
車から人が飛び出してきて、私をすぐに抱き上げた。
その男性の声はとても聞き覚えがあった。焦りに満ちた口調でこう言った。
「南波、呼吸しろ!怖がるな、息をして!」
顔を上げると、目の前に柿原宙の顔が飛び込んできた。
私は彼のシャツの襟を掴み、とうとう堪え切れずに泣き出してしまった。
第4話
こんな惨めな姿を見られるなんて、まさか宙に出くわすなんて思わなかった。
宙は航生の先輩で、彼がゼロから成功を目指していた頃に大いに助けてくれた人だ。
さらにもうひとつの顔がある。彼は私の上司だ。
宙との初対面は私と航生の結婚式だった。
彼はじっと私を見つめ、最後にこう言った。
「お前は運がいいな。こんな美しい奥さんを娶れるなんて」
その一言で私は顔が真っ赤になった。
その後、私はこの地で就職活動をしていたが、柿原グループの人事部が私に連絡を取り、「ぜひ面接に来てほしい」と声をかけてきた。
柿原は地元企業のトップで、多くの人が憧れる職場だ。私は軽い気持ちで面接に行ったが、まさか本当に採用されるとは思わなかった。
その結果、この街に来てから柿原で働き始め、気づけば5年が経っていた。
宙はとても良い上司で、私を何度も助けてくれただけでなく、航生にも多くの援助をしてくれた。
私は鈍感ではないので、宙の目にある熱い追うような視線を感じ取ることができた。
そのため、一度航生にそのことを話し、退職したいと提案したことがある。
しかし、彼はすぐに却下した。
「何をバカなことを言ってるんだ?辞める?先輩がうちの会社にどれだけ貢献してくれているか分かっているのか?別に何もしていないんだろ?大袈裟にするなよ」
彼がここまで言うと、私もそれ以上言い返すことはできなかった。
それに、宙は確かに私に配慮してくれているが、これまで一線を越えるようなことは一切してこなかった。
そして今、この状況で彼に会うとは思いもしなかった。
宙は私を車の近くまで支え、車内からミネラルウォーターを取り出して口をゆすがせてくれた。
その大きな手で背中を優しく撫でながら、静かに呼吸を促した。
「そう、息をして」
「大丈夫、怖がるな」
「水を飲むんだ」
彼がそうやって約30分ほど慰め続けてくれたおかげで、ようやく私の気持ちは落ち着きを取り戻した。
その時、そばに置いていた携帯が鳴り響いた。
航生からの着信だった。
私は再び涙が溢れ、宙が私を見下ろして言った。
その声は少し掠れていた。
「航生と喧嘩したのか?あいつがお前をいじめたのか?」
私は泣きながら頷き、この瞬間にすべての悲しみが堰を切ったように溢れ出した。
私には、頼れると思っていた人が刃を向け、裏切った。
この街で、私には頼れる家族も友人もいない。一体私は、誰に助けを求めればいい?
「航生……彼と優絵乃は……」
私は泣きすぎて、一つの文もまともに話せなかった。
しかし宙は全てを理解したようだった。
彼はため息をつき、私の涙を拭いながら言った。
「もうやられたことは仕方がない。今さら泣いてもどうにもならない。これからどうするつもりだ?」
「離婚するなら、俺が弁護士を手配して、共有財産を全てお前に残す。家も車も会社の権利も全部だ。離婚しないなら……俺があいつの足を折ってやる」
彼の言葉を聞いて、私は驚いて彼を見上げた。
宙の瞳には、いつもと変わらないほどの執着と真剣さが浮かんでいた。
その瞬間、言葉にできない悔しさと衝動が胸に込み上げ、私は大きく息を吸い込むと、彼の黒いシャツの襟を掴んで勢いよくキスをした。
宙はその場で完全に固まった。
彼自身も予想していなかったことだろうし、私も事態がこんな展開になるとは思わなかった。
しかし、考える間もなく、気づいたときには宙が態勢を逆転し、私の後頭部を押さえて下顎を掴み、私を一方的に深くキスしていた。
私の軽いキスとは違い、宙のキスは荒々しく、支配的で、一切の余地を与えなかった。
息が詰まりそうになりながらも、必死で彼の胸を叩いたが、彼を押し返すことはできなかった。
しばらくしてようやく宙は私を解放した。
彼は熱く燃えるような危険な目つきで私を見つめながら言った。
「お前、自分が何をしているか分かってるのか?」
私は執拗に彼を見つめ、「分かってる」と答えた。
「分かってる?」
「じゃあ、これをしたら次に何が起こるかも分かってるか?」
私は歯を食いしばり、涙が頬を伝う。
「今日あの二人も車の中でしたの……」
「宙にも車があるでしょう?」
宙の呼吸が止まった。
すると突然、私を横抱きにし、そのまま車内へ向かった。
宙の車は大型SUVで、スペースがとても広々としていた。
私を後部座席に押し倒したとき、彼は身をかがめて私を見下ろし、抑えきれない欲望がその声に満ちていた。
「南波、これが最後の確認だ。今止めないなら、もう二度と止めるチャンスはないぞ」
航生からの電話はまだ切れず、耳障りな着信音が鳴り続けている。それは私と優絵乃が一番好きだった曲だった。
私は答えず、ただ彼の首に腕を回して、再び唇を重ねた。
航生、これが私への裏切りに対する報いよ。
私に与えた苦しみを、そっくりそのまま返してあげるから。