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研究に身を捧げた私に、婚約者は狂ったように後悔した
結婚を控えた一ヶ月前ーー彼は、自分の「初恋の人」と子どもを作ると言い出した。 もちろん、私は反対した。しかし彼は、毎日のようにその話を...
Chương (1)
第1章
結婚を控えた一ヶ月前ーー彼は、自分の「初恋の人」と子どもを作ると言い出した。
もちろん、私は反対した。しかし彼は、毎日のようにその話を繰り返してきた。
結婚式の半月前、妊婦健診の通知が届いた。
その時初めて知った。彼の「初恋の人」は、すでに妊娠してほぼ一ヶ月が経っていた。
彼は最初から、私の同意なんて求めていなかった。
その瞬間、何年もの想いが音もなく崩れ落ちた。
だから私は、式をキャンセルした。二人に関する思い出をすべて処分し、式当日には閉鎖型の研究施設にこもった。
ーーそれ以来、彼とは一切関わりがない!
第1話
「何度も言ったけど、夏蓮はガンで、余命はあと一年しかない。彼女の一番の願いは、家族に子どもを残すことなんだ。彼女は昔、命を懸けて俺を助けてくれた。だから、今度は俺が彼女の願いを叶える番なんだ」
この一ヶ月で、何百回もこの言い訳を聞かされた。
最初に朝倉冬翔(あさくら とうしょう)がこの話を切り出したとき、私は一瞬も迷わず拒否した。
けれど彼は諦めず、ほぼ毎日のように同じ話を繰り返した。
彼の態度も変わっていった。最初は私の気持ちを伺うように話していたのに、今では自信満々に、私を責め立てるようになった。
まるで、私が同意しないことが「酷いこと」であるかのように。
でも……命の恩人だからって、子どもで返そうなんて、そんなのありえないよ。
一ヶ月もの間、彼と争い続けて、私はもう心も体も限界だった。彼を説得しようという気力も残っていない。私は、五年間想い続けた人に向けて、声を震わせながら問いかけた。
「冬翔……来月、私たち結婚するんだよね?でも今、あなたは別の女性と子どもを作ろうとしてる。私は……私は一体、何なの?」
冬翔は、私がこんなに落ち込んだ顔を見せたのは初めてだったのかもしれない。まるで暗い空に包まれたように、彼の目も少し曇っていた。
彼は、わずかにトーンを落として言った。
「柚希……つらいのはわかってる。でも、夏蓮を助けられるのは俺しかいないんだ。
何もせずに後悔させたくない」
「それに……人工授精なんだ。それだけで、体の関係なんて一切ない」
「君が俺を愛してくれてるなら……理解してくれると信じてた」
その瞬間、心が真っ暗な底に落ちていく感じだった。
ああ……冬翔はもう、とっくに決めていたんだ。どんな形でも、桐島夏蓮(きりしま かれん)と子どもを残すって。
私の気持ちなんて、最初から眼中になかったんだ。
冬翔はまだ何かを言おうとしたが、その時、携帯の着信音が鳴り響いた。
彼は画面を一瞥し、携帯を手に持ってベランダへと向かった。
彼の背中を見ながら、思わず苦笑いしてしまった。
私と冬翔は幼なじみで、小学校からずっと同じクラスで、大学も同じだった。
子どもの頃から彼のことが好きで、ずっとそばにいたけれど、彼がそれに応えてくれたことは一度もなかった。
大学を卒業する頃に私の気持ちに気づいて、ついに彼氏になってくれた。
本来なら、二十年以上の付き合いを経て恋人になった私たちは、誰よりも深く信頼し合う関係になるはずだった。
でも、付き合って五年になるのに、私は一度も冬翔のスマホを触ったことがない。電話をかけるときも、彼は私に背を向けていた。
一度、彼が高熱で寝込んでいたとき、彼のスマホが何度も音を鳴らしていた。
私は彼の眠りを邪魔しないよう、ただサイレントモードにしようとしただけだった。
でも、私がスマホに指を伸ばした瞬間、ちょうど彼が目を覚まして、私の行動を見て問い詰めてきた。
いくら事情を説明しても、冬翔はまったく聞く耳を持たなかった。
その夜、私は一人でリビングのソファに丸くなって、夜を明かした。
彼の性格なんだと自分に言い聞かせていた。いつか心の奥まで受け入れてもらえると、信じていた。
でも、五年経っても、何も変わらなかった。
それどころか、今では他の女性と子どもを作ろうとしている。この正真正銘の恋人である私の気持ちは、まるで存在しないかのようにーー。
冬翔が部屋に入ってきたとき、顔には明らかに嬉しそうな表情が浮かんでいた。彼はコートをさっと掴み、着ながら玄関の方へ向かう。
「ちょっと用事があるから出かけてくる。君も、もう少しちゃんと考えてみて」
彼の慌ただしく遠ざかっていく足音を聞きながら、私の心は言葉にできない静けさに包まれていた。
彼をこれほどまでに急がせる相手ーーそれはきっと、夏蓮しかいない。
案の定、しばらくしてから夏蓮から一枚の写真が送られてきた。
画像を拡大して中身を確認した瞬間、私は立っているのがやっとだった。
第2話
それは一通の妊娠検査の報告だった。そこには、妊婦としてーー夏蓮の名前がしっかりと書かれていた!
さらに記載されていた妊娠週数を見た瞬間、足元から力が抜けてしまった。
明確に「妊娠三週」と書かれていたのだ。
つまり、冬翔はすでに一ヶ月前に夏蓮と人工授精を行っていたということになる。
最初から最後まで、私に相談する気も、了承を取る気もなかったのだ。
それなのに、この一ヶ月間、冬翔はなぜあんなにしつこく私に問い続けてきたの?
自分の行動に正当性を持たせたかっただけ?彼は私、篠原柚希(しのはら ゆずき)のことを何だと思っていたの?
その瞬間、まるで全身の力が抜けたように、私は床にへたり込んだ。
胸は大きな手で締めつけられているように苦しく、息もまともにできなかった。
道理で、さっきの冬翔の表情が抑えきれないほど嬉しそうだったわけだ。電話を終えたあと、慌ただしく出ていったのもそのせいだ。
人工授精が成功し、夏蓮が妊娠したことを知っていたのだ。
きっと今ごろは病院で、夏蓮と一緒に喜びを分かち合っているのだろう。
あまりの苦しさに目を閉じると、胸の奥からどうしようもない悲しみがこみ上げてきた。
信じられなかった。ずっと愛してきた人が、他の女性の子を持とうとしているなんて。
たった二ヶ月前にプロポーズして、来月には結婚式を挙げる予定だったのに。ウェディングドレスも式場も、すべて早めに予約して準備していたのに。私はあの日をずっと楽しみにしていた。
冬翔の腕に手を添えて、一緒にバージンロードを歩くあの日をーー
だけど今、その全ての希望は泡のように消えて、虚空へと消え去ってしまった。
その時、スマートフォンが震えて、私の思考が現実に引き戻された。
私は無意識に通話を受けた。
先輩の澄んだ声が耳に届いた。
「柚希、結婚するって聞いたけど、それでもう一度聞かせて。うちの研究室に来てくれない?」
「あなたは先生が一番才能を感じる学生だから、ずっと来てほしいと思ってるの」
「君がこれから結婚することを考慮して、先生は特例で、研究室で2ヶ月勤務した後、半月休めるようにするって。そうすれば、ご主人とも過ごせる時間ができるから」
先生が京市で新しい研究室を開設することは、半年前に知っていた。
先生はわざわざ私に電話をかけてきて、その研究室で研究をしてほしいと誘ってくれた。
でも、研究室に入ったら外との連絡は断たれ、研究が終わるまで外出できない。
短ければ1~2ヶ月、長ければ1~2年。
そんなに長く冬翔と離れるなんて嫌だったし、連絡が取れないなんて考えられなかった。
だからその誘いを断ったのだ。
しかし、今、私の頭に浮かんでくるのはあの妊娠検査報告書のこと。
冬翔は、すでに他の女性の子どもの父親になった。
彼が私たちの関係や、これからの結婚に何も考慮していなかったのであれば、この結婚に意味はない。
私は無意識にスマートフォンを握りしめた。
「先輩、研究室に行きます。休暇は要りません。通常のスケジュールで進めてください」
先輩は驚いた様子で声を上げた。
「それは素晴らしい!先生がとても喜ぶと思うわ」
「いつ頃来る予定?結婚式から1週間後くらいだと、まだ新婚旅行にも行けるし」
私は静かに答えた。「いいえ、結婚式の日に向かいます」
ふと机のカレンダーに目をやった。
来月の10日、そこには赤いマーカーペンで大きく囲みがつけられている。
元々は結婚式の日を忘れないように、準備のためにマークしていた。
でも今では、それが冬翔との別れを数える日になってしまった。
あと15日。
20年以上の想いに別れを告げるための15日間。
15日後、私はもう二度と冬翔に会うことはない。
第3話
その夜、冬翔は帰ってこなかった。私も彼に電話をかけて、どこにいるのかを聞こうとはしなかった。
すでに、夏蓮のSNSで全て見てしまっていたから。
午後、二人は病院を出た後すぐに桐島家へ向かい、妊娠のことを家族に伝えていた。
写真には、夏蓮のおばあさんが優しげに冬翔の手を取って、何かを語りかけている様子が映っていた。彼はもう一方の手で夏蓮のお腹を優しく撫でながら、穏やかな笑顔を浮かべていた。
五年間付き合ってきた中で、冬翔が私の実家に来てくれたのは、私のプロポーズを受け入れてくれたあの時だけだった。
私たちの実家は車で三十分もかからない距離だったのに、それまで彼は一度も自分から訪ねてこなかった。
「年配の人と一緒にいるのはあまり得意じゃなくて、ちょっと気まずいんだ」と、彼は言っていた。
その一度だけの訪問でも、彼の態度は丁寧で礼儀正しかったけれど、決して心を開いているようには見えなかった。写真の中で桐島家の人たちと接している、あの柔らかい笑顔とはまるで違う人のようだった。
私は目の奥に滲む苦しさをこらえるように、スマートフォンの画面をそっと閉じた。
翌日、私は数人の友人を呼んで、結婚式をキャンセルすることを伝えた。
最初、冬翔は結婚式を嫌がっていた。「結婚式なんて、ただの形式で意味がない」と言っていた。
私が願いしたおかげで、彼はやっと親しい友人や家族だけを招いた小さな結婚式に同意してくれた。
周囲の人たちは私が冬翔にどれだけ強い感情を抱いているか知っていたから、結婚式が中止になったと聞いて、皆驚いていた。
「ずっと朝倉さんのことが好きだったんでしょ?やっと高嶺の花を手に入れそうだったのに、どうして諦めるの?」
胸の中に、抑えきれない苦さが広がった。
諦めるなんて、できるわけがない。
私は二十年も冬翔を追い続け、ようやく彼が結婚を承諾してくれた。
そんな長い時間をかけて築いた感情を、簡単に手放すことなんてできない。
でも実際、この関係は最初から対等ではなかった。
ずっと私が冬翔の後ろを追い続けーー
彼は一度も立ち止まることなく、私の心を求めてくれなかった。
最初は気にしていなかった。二十年かけて、彼が結婚を承諾してくれたのだからーー
私もきっと、時間が経てば彼の心に入り込めると思っていた。
結婚後には、まだたくさんの時間がある。私は待つことができる、彼が本当に心を開いてくれるその瞬間まで。
でも、夏蓮という命の恩人が現れてから、すべてが変わった。
その時、私は初めて気づいた。冬翔がすべての人に冷たく接しているわけではないことに。
彼は夏蓮の前では、いつも優しい顔を見せていた。私の前では、そんな顔を一度も見せてくれなかったのに。
その時、自分に言い聞かせた。夏蓮は彼を救った命の恩人だから、
彼が恩を返すために優しくしているのだろう、と。
でも、まさか夏蓮が癌にかかり、彼が「子どもを作りたい」と言い出すなんて思わなかった。
しかも、私に同意を求めるふりをして、裏でこっそり人工授精をして、夏蓮に子どもを宿らせていたなんてーー
その瞬間、私ははっきりと感じた。私と冬翔は、もう二度と一緒に歩いていけない。
たとえ二十年もの想いがあったとしても、私はその想いを断ち切らなければならない。
私は理由を話さず、「これから研究室に入るから、しばらくは外と連絡が取れなくなる」だけ言った。
申し訳ない気持ちもあって、友人たちと深夜まで過ごし、そのまま帰宅した。
家に着いた時、ちょうど冬翔も帰ってきたところだった。
私の体から漂うアルコールの匂いに、彼は眉をひそめ、少し距離を取った。片手で口と鼻を押さえ、不快そうな声で言った。
「こっちに来ないで。酒の匂いが移ったら困るから」
私は思わず苦笑いを浮かべた。
ーー夏蓮に酒の匂いがバレたら嫌なんだろう。
何せ、彼女は今妊娠しているんだから。
ここまではっきり言うってことは、もう隠す気もないんだろう。
でも、彼があえてはっきり言わないなら、私から言う必要もない。
私は黙って浴室に向かい、シャワーを浴びた。
出てきた時、冬翔はソファに腰掛け、スマートフォンを使って夢中で文字を打っていた。その顔は穏やかで、目元には微笑みが浮かんでいた。
私はそれを一瞥しただけで、何も言わずに寝室に向かった。
すると、ふと彼が私を呼び止めた。
「話があるんだ」
私はその場で足を止めた。
この言葉を最後に聞いたのは、ちょうど一ヶ月前。
彼が初めて「夏蓮との子どもがほしい」と言い出したあの日から、私たちは何度も衝突してきた。
今、夏蓮は妊娠している。このタイミングで、一体何の話をしようとしているのだろうか。
第4話
「明日はウェディングフォトを撮りに行かないで」
私はテーブルの上に置かれたカレンダーを見つめた。明日の欄には、マーカーで大きく「ウェディングフォト」と書かれていた。
冬翔がどうして突然撮影をキャンセルしたいのかは分からない。でも、もともと私はこの結婚をするつもりなんてなかった。冬翔がこの言葉を口にしなかったとしても、私は何か理由をつけて撮影を断ろうとしていただろう。だから彼から提案してくれたことで、かえって手間が省けた。
私は小さくうなずいた。
「分かった。カメラマンには私から連絡してキャンセルしておくよ」
その言葉を聞いた瞬間、冬翔の心が一瞬揺れた。まさか、こんなにもあっさりと私が了承するとは思っていなかったのだろう。
彼は、私が理由を聞いてくると思っていた。なにしろ、結婚式のすべての準備は私が何ヶ月もかけて調べ上げて、やっと決めたことばかりだったのだから。
今回のウェディングフォトのカメラマンだって、私がかなりの追加料金を支払って順番を飛ばしてもらい、ようやく撮影を受けてもらえたほど。完璧な一枚のために、妥協は一切しなかった。
なのに私は、彼の一言を聞いたあとも静かに、それでいて迷いもなく頷いたのだ。
冬翔は複雑な表情で、じっと私を見つめていた。
「キャンセルしなくていい」
「夏蓮が言ってたんだ。この先、結婚する可能性はないから、せめて一度、ウェディングフォトを撮りたいって。これで後悔することはなくなるって」
「明日、夏蓮と一緒に撮ることにしよう。後で改めて撮り直せばいいさ」
冬翔の口調は、まるで今日何を食べるかのように軽々しい。まるで一ヶ月前に夏蓮との人工授精の話をした時と同じだった。
表面上は相談しているように見えたが、実際には彼の言葉の隅々から、すでに決まっていることをただ知らせているだけだと感じた。
伏せた目が、私の中にある皮肉を隠していた。
「後で?」
冬翔は知らない。私がこの浜城市にあと13日しかいられないことを。
もう「後で」なんてない。
私は小さく「うん」と答え、そのまま寝室へと戻って休む準備をした。
どうせ、結婚するつもりはもうない。だから、冬翔が誰とウェディングフォトを撮ろうと、私には関係のないことだ。
冬翔は私の背中を見つめながら、心に不安を感じた。
私はあまりにも冷静だった。一言の問いもなく、彼が用意していた言い訳をすべて無駄にしてしまったからだ。
その時、夏蓮から電話がかかってきた。冬翔はその疑念をすっかり忘れ、バルコニーに出て電話を取った。
私はぐっすり眠り、目を覚ました時、ちょうど冬翔が外出しようとしていた。
靴を履きながら、彼は言った。
「ウェディングフォトの後、夏蓮と旅行に行く予定だ。彼女は海辺に行きたがってたから、俺も付き合うよ」
「結婚式は簡単にしておいて。リハーサルとか準備は時間がないから、すべて君に任せるよ。俺に聞かなくていい」
私はトーストを飲み込んだ後、答えた。「わかった」
ーー簡素に。
この結婚式には、ウェディングフォトも、ゲストも、司会者もいない。
そして、花嫁もいない。
冬翔は、ただ黙って朝食を食べ続ける私の穏やかすぎる様子に、胸の奥に微かな違和感を覚えた。そして少し考えたあと、ぽつりと付け加えた。
「式が終わったら、ヨーロッパに新婚旅行に行こうか。ずっと行きたいって言ってたよな」
もし以前だったら、冬翔の口から自分たちの新婚旅行の話が出た瞬間、私は間違いなく飛び跳ねるように喜び、さっそく旅行の計画を立て始めていただろう。
私はこれまで何度も冬翔に旅行に行きたいと頼んだことがある。だが、そのたびに彼は「旅行は疲れるし、あまり好きじゃない」とはぐらかしてきたのだ。
だが今の私は、黙ってトーストをかじるだけで、一言も返さなかった。
ーー式すらやらないのに、新婚旅行なんてあるわけがない。
冬翔はそんな私の様子に驚いたように目を向けた。何か言おうとしたが、視線が壁の時計に移り、慌てたように玄関へ向かう。そして「帰ってからまた話そう」とだけ残し、ドアを閉めて出て行った。
私はテーブルの上に置かれたカレンダーを手に取ると、マーカーペンで「ウェディングフォト」と書かれたその文字の上に大きなバツ印をつけた。
あと十二日。
朝食を済ませたあと、私は荷物の整理を始めた。ついでに、いらないものもまとめて処分することにする。
写真の枚数が五枚にも満たない古びたアルバム、すっかり埃をかぶったプロジェクター、一度も袖を通さなかったペアのパジャマーー
五年間、一緒に暮らしながら、この部屋にあるものは全て私が少しずつ揃え、空っぽだった部屋を居心地のいい空間に変えてきた。
だが、よくよく見てみると、そのほとんどを冬翔は一度も使ったことがない。
付き合っていても、自分はひとりの人間であり、ペアグッズなんて持つのは息苦しいと言っていたからだ。
私は思考を振り払い、また黙々と片付けを再開した。
どうせ自分がいなくなったあとは、これらのものも冬翔にとってはただの邪魔な物だ。だったら、今のうちにきれいさっぱり片付けてしまおう。
そして、ふたりの記憶も、一緒に消してしまうのだ。
第5話
これから一週間、冬翔は一度も家に戻ってこなかった。
だけど私は、彼が今どこで何をしているのか、すぐに分かる。だって、何でもかんでもインスタに載せたがる夏蓮がいるから。
二人で温泉に行ったり、海を眺めたり、朝日をバックに自撮りしたり……。
インスタのタイムラインには、今まで見たことのない冬翔の姿が映っていた。
あんなふうに普通のカップルみたいに振る舞える人だったんだ。
ただ、私の前ではできなかっただけで。
私は特に彼らがどこへ行ったか、何を食べたかなんて詳しくチェックしなかった。写真をさっと流し見しては、すぐに画面を閉じる。
その間、私は家の片付けに追われていた。物が多すぎて、何日もかけてようやく整理し終えた。
それから、実家にも顔を出した。父と母に、もうすぐ研究所にこもる予定だから、しばらくは連絡が取れないと伝えた。
父は少し驚いた顔をした。
「冬翔と結婚するんだろ?そしたら遠距離になるんじゃないのか?」
母も心配そうに私の手を握り、優しく言った。
「よく考えなさいよ、柚希。せっかくここまで来たのに。もしそのことで冬翔が反対したら、結婚式だってどうなるか」
親の気持ちは分かっていた。
長年、私がどれほど冬翔を想い続けてきたか、二人とも知っているし、彼の私への態度も知っていた。
婚約の話が出たとき、父と母は、彼の気持ちがそこまでないならやめた方がいいと、やんわり忠告もしてくれていた。
でも、私はあの時、自分ならきっと冬翔を変えられるって信じてた。
だから二人も、私の決意を尊重してくれたのだ。
もうすぐ結婚式なのに、両親は私が研究所に行ったら、冬翔がきっと反対するだろうし、最悪そのまま結婚式を取り消して私と別れるんじゃないかって心配していた。
私が傷つくのが怖くて、だからこそ今一度ちゃんと考え直してほしいと思ってるのだ。
だけど今、この結婚をやめると決めたのは、私。
婚約破棄のことを伝えると、二人は長い間黙っていた。
私は、冬翔が他の女と子どもを授かったことまでは話せなかった。そんなこと、きっと両親の心が耐えられないと思った。私はただ、「研究にもっと打ち込みたくなった」とだけ伝えた。父と母は顔を見合わせ、娘の決意を受け入れるしかなかった。
父はため息をつき、私の肩をぽんと叩いて言った。「自分で選んだ道なら、後悔するなよ」
家に戻ってから、親友の高梨日和(たかなし ひより)を呼び、荷物の片付けを手伝ってもらった。まとめたダンボールをリビングに積み上げ、何往復もしてようやく全て運び終わった。
部屋は一気にガランとして、静まり返った。
日和は感慨深そうに辺りを見渡した。
「ねぇ、覚えてる?二ヶ月前さ、柚希が冬翔にプロポーズして成功した時、あたしら朝まで飲み明かしたじゃん。『ようやく願いが叶った』って、あんなに喜んでたのにさ」
まさか、たった二ヶ月で私が結婚式をキャンセルすることになるなんて、私自身も驚いている。
「ねえ、柚希、本気で言ってるの?あの時、結婚式をやめるって言ってたけど、冗談だと思ってたよ」
「あなたがずっと冬翔の後ろを追いかけてきたのを、私は見てきたんだから、いったい何があったのか教えてよ」
もうすぐこの街を離れるからだろうか、私もつい、誰かに話したくなった。
この一ヶ月間に起きたすべての出来事を、日和に話した。
そして、冬翔が夏蓮の子どもを妊娠させたことも。
日和は、私と冬翔の関係をずっと見守ってきた。話を終えると、思わず大きな声をあげた。
「ふざけんなよ!あんたがどれだけ冬翔に尽くしてきたか知ってるけど、結婚前に他の女に子どもを作って、何でそれをあんたに許させようとしてるんだ!本当に理解できない」
私は静かに首を振り、心の中の苦さを飲み込んだ。
「わからないよ。彼は、夏蓮が命の恩人だから、彼女の願いを叶えるって言ってた」
日和は顔をしかめて、腹立たしそうに言った。
「なんで?柚希も彼の命の恩人だよ!それなのに、なんでこんな目にあわなきゃいけないの?」
私は何も言わなかった。
きっと、彼は私を愛していなかった。それがすべてだ。
でも、大丈夫。もうすぐ、彼と離れられるから。
第6話
あと5日。私は学校に退職届を提出した。
あのとき、冬翔と一緒にいるために、恩師からの「研究室に残ってほしい」という誘いを断り、冬翔のいる浜城市の大学で教員になる道を選んだ。
だからこそ、私の退職に同僚たちは驚きを隠せなかった。
「えっ、篠原先生、辞めちゃうんですか?」
「この前、結婚式の引き菓子もらったばかりですよね?もしかして、結婚して専業主婦になるとか?朝倉先生、羨ましいな」
冗談交じりの声が飛ぶ。
私は荷物を抱えたまま、ふっと笑った。
「違います。結婚式は、中止になりました」
家に戻ってドアを開けると、ちょうど一週間ぶりに見る冬翔と夏蓮がリビングのソファに並んで座っていた。
冬翔は、私が手に抱えていた荷物に気づき、思わず声をかけてきた。
「その荷物、どうしたの?」
私は適当に理由をでっち上げた。
「もう使わないものばかりだから、持ち帰ってきただけ」
冬翔は軽く頷き、部屋を見渡したあと、少し首をかしげた。
「たった一週間なのに、なんだか部屋のものがずいぶん減ってる気がする」
私は荷物を寝室に運び入れ、淡々と答えた。
「不要なゴミを整理しただけだよ」
冬翔がまだ何か言いたげだったが、夏蓮が口を挟んできた。
「柚希お姉さん、この数日間、冬翔お兄ちゃんが旅行に付き合ってくれて、ほんとに助かりました。ウェディングフォトまで撮らせてくれて、夢が叶いました」
「だから、今日は私がお礼にご馳走します。これからもしばらくお世話になると思うので、柚希お姉さん、どうか嫌わないでくださいね?」
夏蓮の、どこか勝ち誇ったような視線が痛いほど刺さった。
私は、まだ一言も責めていない。妊娠検査の紙を手にしたあの日から今日まで、何も言わず、何も問いたださずに来た。
でも、今さら無意味な争いはしたくない。あと五日。五日経てば、私はもう冬翔の前から姿を消す。それまでに、この部屋の整理を終えることの方が大事だった。
私が何も答えなかったせいか、夏蓮の目に一瞬で涙が浮かんだ。
「冬翔お兄ちゃん……柚希お姉さん、やっぱり怒ってるのかな……結婚の準備もあるのに……でも」
その言葉を聞いて、冬翔の眉がすぐに険しくなり、不機嫌そうに私を責めてきた。
「夏蓮は純粋に感謝してるだけだろ。なんでそんな顔してんの?ただの食事だぞ、毒でも盛られると思ってんのか?絶対行けよ」
私はまだ一言も発していないのに、すでに加害者のように扱われていた。
そして結局、私は冬翔に連れて行かれることになった。
レストランに着くと、店員が料理の注文を聞きに来た。
私がメニューを開いたばかりの時、冬翔が口を開いた。
「油っぽいものや辛いものはやめてください。セロリも全部抜いて」
料理が全部そろったあと、冬翔は夏蓮のために気を遣って料理を取り分けた。
そのあと、彼は大皿に盛られたエビを私の前に押し出した。
「夏蓮はいま海鮮が食べられないから、これは君のために頼んだんだ」
そのエビの皿を見た瞬間、私は一気に食欲を失い、箸を置いた。
「私、海鮮アレルギーなの」
ほんと、笑えるよね。
五年も付き合っていたのに、冬翔は私が海鮮アレルギーだってことを知らない。けど、夏蓮の苦手なものは完璧に覚えている。セロリを避けるみたいな細かいことまで。
冬翔の顔が一瞬だけ戸惑ったような表情を見せた。
そして私の方を見たとき、珍しく罪悪感のようなものが浮かんだが、すぐにまた何品か追加で注文した。
でも、その食事の間、私はもう箸をつけなかった。ただ、グラスの水を静かに飲んでいただけだった。
食後、階段を降りたところで、また研究室の先輩から電話がかかってきた。
「柚希、先生がもう一度確認してほしいって。実験は予定通り進めて大丈夫なんだよね?最初の実験は機密プロジェクトで、たぶん一年か二年は外部と連絡取れなくなるかもしれないんだけど」
私の視線は、前を歩く冬翔と夏蓮の背中に向かっていた。
二人は並んで歩いていて、階段を下りる時には冬翔が夏蓮の腰にそっと手を添えていた。
私はとても静かな声で答えた。
「問題ない」
先輩は私の返事を聞いて、ほっとしたように息をついた。
「よかった。先生が、旦那さんと離れられないんじゃないかって心配してたから」
私は目をそらし、別の方向へと足を向けた。
「結婚式は中止になった」
「もう、離れる準備はできてる」
ちょうどその言葉を口にしたとき、背後から戸惑った声が聞こえてきた。
「誰が、離れるって?」
第7話
冬翔が夏蓮を車に乗せたばかりで、最後の言葉を耳にした。
私は、彼が前の言葉を聞いていなかったことに気付き、適当に理由をつけた。
「私の友達、少し後に出発するんだ」
冬翔は頷き、それ以上は何も尋ねなかった。
あと4日、冬翔は夏蓮とのウェディングフォトを持ってきた。
片手にスマホで夏蓮とビデオ通話をし、もう一方の手に写真立てを持ってカメラに見せながら、優しさが溢れる表情をしていた。
「夏蓮、私たちの結婚式の写真が仕上がったよ。写真を取りに行った時、スタッフもすごく良い写真だと言ってたよ」
その言葉を聞いた瞬間、私はちょうど水を取りに出たところだった。
冬翔の目に一瞬、少し気まずそうな表情が浮かび、私に何か言おうとしている様子だった。
私はその写真に一瞥をくれ、真剣にコメントした。「確かに、綺麗だね」
私は最初、高額な料金でこのカメラマンを雇ったのは、冬翔と私の最も愛し合っている瞬間を残すためだった。
その時、完成した写真を見たら、きっと今までに感じたことのない幸福を感じるだろうと思っていた。
スーツを着た冬翔は、私が想像していた通り、とても格好良かった。
唯一の違いは、彼の隣にいる新婦が私ではないことだった。
しかし、私の心の中では、それによって何も揺らぐことはなかった。
夏蓮が妊娠していると知ったあの日から、冬翔への気持ちは完全に収められていた。
冬翔は、逆にぽかんとした。
ふと、彼は気づいた。最近、私とちゃんと話していないことに。夏蓮との旅行中、一度も私からメッセージが来なかったことにも。
それが少し気になった。
ビデオの中で夏蓮がまだ喋り続けているのを見ながら、冬翔はその不安な思いを振り払うように頭を振った。私は結婚準備で忙しくて疲れているのだろうと思うことにした。
結婚式の前々日、私は薬をもらいに病院に行くつもりだった。
しかし、思いがけず、ちょうど産婦人科の検診を終えたばかりの冬翔と夏蓮に出会った。
冬翔の目に珍しく慌てた様子が見え、何かを言おうとしたが、夏蓮が先に話し始めた。
彼女は私の前に歩み寄り、私の手を握って膝をつこうとした。声が震えていた。
「柚希お姉さん、私は冬翔お兄ちゃんと子供を作ることに、まだあなたが同意していないことはわかっているけれど、もう待てません。医者が言うには、あと一年が限度だそうです。本当に、子供が生まれるのを見守りたいんです」
「子供が生まれたら、すぐに冬翔お兄ちゃんから離れるつもりです。絶対にあなたたちの関係に影響は与えません」
私が何も言わないうちに、冬翔が心配そうに彼女を引き起こした。
「体調が悪いのに、どうしてこんなことをするんだ」
そして、彼は私を見つめて言った。
「もう知っているなら、隠すことはない。安心して、これが俺たちの結婚式には影響しない」
もしも一ヶ月前の私なら、怒り、崩れ、絶望し、自分に何か足りない部分があるから、冬翔が心から他の女性と子供を作ることを許しているのだろうかと自問していたかもしれない。
でも、この一ヶ月の経験を経て、私はすでに気づいていた。
私が足りなかったわけではなく、冬翔が私を愛していないのだ。
愛していないからこそ、私の気持ちを無視してこんなことができるのだ。
今では、夏蓮が妊娠していることも知っており、冬翔への気持ちはすでにすべて放棄しているから、もう二人には私が邪魔をするつもりはない。
私は黙って二人を一瞥し、視線を戻した。
「わかった」
そう言うと、薬を手に取り、静かに荷物の整理を始めた。もうすぐ出発の日が来るから、荷物をもう一度整理しないといけない。
二人は、私がこんなに冷静でいるとは思っていなかったようだ。
特に冬翔は、複雑な表情で私の背中を見つめていた。
一ヶ月前には妊娠のことであれほど騒いでいた私が、今は妊娠を知っても何の反応も示さない。その姿に、冬翔は戸惑いを覚えていた。
冬翔の心に、何かが静かに変わってしまったような不安が広がった。
私がちょうど階段に差しかかったとき、追いかけてきた夏蓮に袖を掴まれた。
その時、冬翔はまだ遠くにいた。そして夏蓮は、ついに本性を現した。
「篠原、あなたは自分の婚約者が他の女性と子供を作るのを見て、どんな気持ち?」
私は無駄な争いを避けたかったので、彼女の手を振り払ってその場を離れようとした。
予想外にも、私が力を入れた瞬間、夏蓮の体が傾き、倒れそうになった。
私は反射的に彼女の手を掴み、転ぶのを防いだ。
しかし、私が手を離す間もなく、背後から怒声が響いた。「何をしているんだ」
冬翔は最初、私がどうしてこんなに冷静でいられるのか不思議に思っていたが、この光景を見て、すぐに理解した。どうやら私はただ冷静を装っていただけで、心の中ではまだこの事実を受け入れられていなかったのだ。
冬翔が来るのを見て、夏蓮はすぐに今にも泣き出しそうな顔をして、涙を浮かべながらお腹を押さえた。
「冬翔お兄ちゃん、私はただ、柚希お姉さんがこんなに寛大であることに感謝したかっただけなのに、まさか彼女がこんな」
夏蓮の言葉を聞いた冬翔は、顔色が一変し、すぐに暗くなった。
「篠原、まさか君がそんな人だったとは思わなかった」
「今すぐ夏蓮に謝りなさい」
第8話
彼が何も考えずに私を責めるのを聞いて、思わず笑ってしまった。
「私が謝るの?監視カメラを自分で見て、それでも謝る必要があるか考えてみて」
冬翔が監視カメラも見ずに、私が夏蓮を階段から突き落とそうとしたって決めつけてることに驚いた。
「夏蓮は病人であり、妊婦だ。そんな彼女が自分の体を傷つけるようなことをするわけがないだろう?」
夏蓮の目に一瞬、慌てたような表情が浮かんだ。
「もういいわ、冬翔お兄ちゃん。柚希お姉さんが怒っているのも当然よ、私たち、行こう?」しかし、冬翔は譲らなかった。
「ダメだ。彼女は今日、必ず君に謝らせる」
私は一歩も引かなかった。
やってもいないことを認めるつもりはなかった。
夏蓮は、これ以上冬翔が監視カメラを確認しようとしたら、自分の不利になってしまうと気づき、手でお腹を押さえながら体調が悪いふりをした。
冬翔の怒った顔はすぐに心配そうな顔に変わり、慌てて夏蓮を抱えて医者を探しに走っていった。
私は二人の背中を見送りながら、心の中で抑えきれない苦さが広がっていくのを感じた。
二十年の付き合い、五年の時を共に過ごしてきたのに、冬翔は私に対して一度も信頼を寄せてくれなかった。
幸いにも、私は今、目を覚まし、タイミングよく距離を取ることができた。
その日、冬翔は帰ってこなかった。
今、彼は夏蓮の世話をしているに違いないと思う。夏蓮は今、体調が良くないから。
最後の日、私は荷物を整理して実験室に送り、ひとつのスーツケースだけを残した。
夜になり、冬翔が帰ってきた。
彼の顔にはまだ怒りが浮かんでいた。
「夏蓮はまだ病院に寝ている。彼女は病人だし、今お腹の中の子供も安定していないんだ。もし本当に故意じゃないとしても、少しは大人になって彼女を譲ってやれないのか?そんなに細かく計算しなくてもいいだろう?」
大人になれ、だと?
私はもう十分に大人になったと思ってる。
本来私のものだったウェディングドレスとカメラマンを夏蓮に譲り、もうすぐ私の夫になるべき人を夏蓮と子供を作らせた。
今度は、冬翔の隣の席も夏蓮に譲らないといけない。
冬翔は、視線をカレンダーに向けて大きな赤丸を見つけた。その表情が少し和らいだ。
「もう、明日結婚するんだし、もう君とは喧嘩しないよ」
「結婚式が終わったら、夏蓮に謝りに行こう。その後、俺たちでハネムーンに行こう」
「ハネムーンのプランは決めてる?」
私は答えなかった。
もし冬翔が少しだけ気を使っていれば、部屋には結婚式の飾りが一切ないことに気づいたはずだ。
「私たち」
本当のことを言おうとしたその時、冬翔の電話が鳴った。
携帯から聞こえる夏蓮の声に、冬翔の表情がこわばった。
「今すぐ向かうからな。待ってろ」
電話を切ると、冬翔は慌ててドアに向かった。
「夏蓮の具合が悪い。式前には戻る。明朝は先にホテルで待っててくれ」
ドアが閉じる音と同時に、喉元まで上がっていた言葉が零れた。
「もう終わりにしよう、冬翔。結婚式はやめよう」
声は空虚な部屋に吸い込まれていった。
壁にかかった時計の「カチ、カチ」という音だけが、静かに部屋に響いていた。
深夜から夜明けまで、私はリビングで時が過ぎるのを見つめ続けた。
携帯が振動し、画面に表示された。
搭乗時刻まで2時間。
寝室からスーツケースを引き出し、マーカーでカレンダーの赤丸を塗りつぶす。
大きくバツを描いた後、ためらいなく文字を綴った。
「冬翔、私たち終わりよ」
目立つ場所にカレンダーを置き、五年間暮らした部屋を見回す。タクシーで空港へ向かう道中、窓ガラスに映る街並みが流れていく。
「さようなら、冬翔」